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第22話 ――止まる階段/新しい敵と、刃の選択

二十一階層から二十五階層。


数字だけ見れば、たった五層。


だが、その五層が――

やけに遠かった。


最初の異変は、二十二階層だった。


「……倒しきれない」

「回復、追いついてない」


石畳の通路。

構造は、今までと同じ。


だが、ゴブリンたちの動きが違う。


アーチャーは射線を限定し、メイジは必ず遮蔽物の裏。

キングは、前に出ない。


「完全に、“死なない戦い方”してる」

「長期戦前提だね」


結果、消耗するのはこちらだった。


二十三階層。


罠が増えた。


落とし穴。

天井からの射撃孔。


「……管理課の資料より多い」

「更新、追いついてないかも」


一度、撤退。


二十四階層。


今度は、魔物の数が異常に多い。


囲まれる。

逃げ場がない。


「……無理、下がろう」

「うん」


二十五階層。


ボス部屋。


キング三体。

役割混成。


「……これは」

「初見殺しだね」


撃破はできた。

だが――


ポーションは底をつき、武器も、欠け始めていた。


「……進めない」

「うん。今は、ここが限界」


帰還後。


管理課の職員は、淡々と告げた。


「二十一~二十五階層は、Cランク最初の壁です」

「多くの探索者が、ここで足踏みします」


つまり――

順当。


それが、悔しかった。


夜。


自宅ダンジョン。


同じ階層帯。


だが、敵の動きは少し違う。


「……ゴブリン、もう主役じゃないね」

「うん。次、来る」


二十五階層を越えた瞬間、空気が変わった。


二十六階層。

石畳の床に、引っかき傷。


「……これ」

「爪」


出現した魔物は、ゴブリンではなかった。


《リザード系魔物》

《鱗持ち》


刃が、弾かれる。


「……硬っ」

「鱗、物理耐性高い!」


さらに、別方向から。


《獣系魔物》

《牙・爪持ち》


速度が、違う。


「……二系統同時!」

「役割じゃない、“構造”が違う!」


これまでの人型・戦術型ではない。

純粋な肉体性能。

撃破はできた。


だが――

恒一の剣は、明確に限界を見せていた。


「……武器、合ってない」

「うん」


地上に戻ると、ひよりは、すぐに地下工房へ向かった。


「素材、見せて」

「頼む」


鱗。

角。

牙。

爪。


鑑定。


「……硬度、靱性、どれも高い」

「今までの剣、“切る”前提だもんね」


ひよりは、少し考え――言った。


「刀、作ろう」

「……刀?」


「うん。“断つ”刃」


作成は、一晩かかった。


錬金術。

魔核加工。

自宅ダンジョン産素材。


刃文が浮かび、黒に近い鋼身。


「完成」


恒一は、そっと受け取った。


重さ。

重心。


「……手に、馴染む」

「兄向けに、調整したから」


鑑定。


《ダンジョン産刀》

《対鱗・対角補正》

《魔力伝導・中》


「……すごいな」

「当たり前」


ひよりは、少し誇らしげだった。


翌日。

普通のダンジョン、二十六階層。

同じ系統の魔物。


恒一は、一歩踏み込み――

斬った。

鱗ごと、断ち切れた。


「……通った」

「相性、完璧だね」


自宅ダンジョンでも、同様。


牙も。

角も。

爪も。


「……やっと、進める」

「うん。武器を更新した意味、大きいよ」


二十一~二十五階層で、足踏みした理由が、ようやく見えた。


あそこは、“戦術の終わり”。


二十六階層からは、“構造の違い”。


敵が変わったのだ。


恒一は、刀を見下ろした。


「……ありがとう」

「どういたしまして」


妹は、静かに言った。


「兄が前に出るなら、私は後ろで支える」

「それでいい」


二人は、地下の奥を見た。


次の階層には、さらに強い“形”の魔物がいる。


だが――

もう、止まらない。

Cランク最初の試練と、その突破条件がありました。

・21~25階:戦術理解の壁

・26階以降:魔物構造の変化(鱗/牙/角/爪)

・武器更新=成長の必須条件

妹が刀を作るのは、兄妹の役割分担が完全に固まった瞬間でもあります。

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