表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/37

第17話 ――選択/管理課とダンジョンの狭間で

翌朝。


恒一は、学校を休んだ。


理由は「体調不良」。

だが実際は、判断に時間が必要だった。


管理課からの再連絡は、今日か、遅くとも明日。


一方で――

胸の奥に残る、あの感覚。


《選択猶予、短期》


急かしている。


「整理しよう」


ダイニングテーブルに、ノートと端末を広げる。


「管理課に協力した場合」

ひよりが言う。


「メリット:公的保護、装備補助、情報」

「デメリット:行動制限、監視、自宅ダンジョンの秘匿不可」


ほぼ、詰みだ。


「じゃあ、完全拒否は?」

「目をつけられ続ける。最悪、強制調査」


どちらも、楽な道じゃない。


「……第三の道」

「あるとしたら、ダンジョン側」


恒一は、ノートに線を引いた。


昼。


二人は、再び地下へ向かった。


「今日は、奥まで行く」

「うん」


躊躇はなかった。


自宅ダンジョン内部は、静まり返っていた。


敵の気配が、意図的に抑えられている。


「……歓迎ムード?」

「たぶん」


中層を越え、例の半開きの通路へ。


今回は――

完全に、開いていた。


通路の先は、今までとは明らかに違った。


戦闘エリアではない。


円形の広間。

中央に、台座。


そして、その上に浮かぶ光。


《管理権限:限定提示》

《対象:探索者 日高恒一》


「……名前、完全把握」

「隠す気なくなったね」


光が、言葉を紡ぐ。


《外部管理組織、接触確認》

《当ダンジョンは、探索者の生存と成長を優先》


恒一は、唾を飲んだ。


「……俺たちを、使ってる?」

《結果的に、相互利益》


否定しない。


《選択肢を提示する》


光が、二つに分かれた。


一つ目。


《提案A:外部管理組織への合流》

《当ダンジョンは、観測のみへ移行》


「……要するに、手を引く」

「安全だけど、成長は止まる」


二つ目。


《提案B:非公開協力関係》

《探索者を、当ダンジョンの“内部代理”として登録》


ひよりが息をのむ。


「内部代理……?」


《外部への直接干渉は行わない》

《探索者が、外部世界で行動する》


――尖兵。


だが、自由度は高い。


「管理課には?」

《秘匿を支援》


「代償は?」

《探索継続》

《選択権は、保持》


完全な従属ではない。


沈黙。


恒一は、ひよりを見た。


「どう思う?」

「……怖い」

「うん」


正直だ。


「でも」

ひよりは、続けた。


「管理課の“管理”より、このダンジョンの方が、ちゃんと私たちを見てる」


恒一は、目を閉じた。


考える。


自分は、守られるだけでいいのか。


それとも――

選ぶ側に立つのか。


「提案Bを選ぶ」


声に出した瞬間、空間が、静かに応えた。


《選択、受理》

《内部代理:仮登録》


光が、恒一の胸へ沈む。


痛みはない。


だが――

何かが繋がった感覚。


《段階:観測から育成へ移行》


「……育成」

「言われると、ちょっと重いね」


だが、拒否感はなかった。


帰還。


地上は、いつもと変わらない。


だが――

世界の見え方が、少し違う。


「これで、管理課は?」

「しばらくは、様子見だろう」


恒一の端末が、震えた。


管理課からの通知。


《再面談:延期》


「……効いてる」

「ダンジョン、仕事早い」


完全な安全ではない。


だが、主導権は、まだ手の中だ。


夜。


恒一は、ノートの最後に書き込んだ。


・自宅ダンジョン

・内部代理(仮)

・管理課:延期中

・次の目標:Dランク安定化


「……忙しくなるな」

「うん。でも」


ひよりは、少し笑った。


「やっと、自分で選んだ感じがする」


恒一も、同意した。


この選択が、正しいかは分からない。


だが――

逃げなかった。


それだけは、確かだった。

物語の大きな分岐点です。

管理課=国家的管理

自宅ダンジョン=非公開・育成型存在

兄妹たちは「守られる側」から

「選び、関与する側」へ移行しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ