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その後、春香は透と偶然病院前で再度出会う。
「 おう、新人。ここで何してる?」
「あれ?先生……。やっぱり医局に差し入れをと思いまして」
春香は片手に持った茶菓子の袋を透の前に掲げた。
「そうか?まあ、大したもんだな」
彼は時計を見ると
「 あぁ、もうこんな時間か。腹減ってるなら飯でも行くか?」
「いいですよ。とりあえず、コレ医局に持って行ってからでも良ければ」
春香は医局に茶菓子を届けてから、病院前で待っていた透と合流する。
「よし、じゃあ行こう」
二人は近くの定食屋に入り、少し広めの席に向かい合って座る。この時間は少し早めなので、客足も少ない。
「新人、何食べる?俺はとんかつ定食にするけど」
「なら私は唐揚げ定食ですね」
「そうか、じゃあそれで注文しよう」
透が店員を呼び止め注文をしていく。
料理が出てくるのを待ちながら何気ない会話をする。
「 新人、夜って何してるんだ?」
「基本、映画鑑賞ですね。見たいものが多くて」
時間を有効に使いたいが、勉強だけでなく趣味もそれなりに楽しみたい。
「映画鑑賞か…いい趣味だな」
料理が運ばれてきて、食事をしながら
「どんな映画を見るんだ?」
「え?結構色々ですよ、恋愛もアクションも…ホラーは一人では見ませんけど」
作りものだとわかっているが、作品だからこそ怖い。
「恋愛か…まあ、人生の一部だよな」
意味深な反応で透が答える。
しかし、春香は気にも留めず、
「先生は映画とか見ませんか?」
「俺?俺は映画より本物の人間が好きなんだよ」
「ああ…患者さんですか?」
(患者には優しいし、腕も確かだ。だからこそ人望があるんだろうな)
等といい方に捉えていた割に返ってきた答えは……。
「患者さんもそうだし、女もな」
「 なんだよ、その反応は?」
「……え?先生、それ今私に言います?患者さんって言ったら凄ーい、カッコいーってなるところだったのに……」
豪快に透は笑う。
「ハハッ!そうか?でも本物の人間を見てる方が面白いんだよ。映画は二番目さ」
「先生って、人間観察が得意そうですよね」
ふふっと笑い唐揚げにかぶりつく。
「人間観察?ああ、それなりに興味ある方だな。人間って面白い生き物だろ?みんな違う考え方、行動パターンを持ってるんだ。そういう意味でも、医者っていう職業は本当に面白いよ。毎日患者の症状と対話して、治療法を見つけていくわけだからな」
「そうですね。この仕事も究極の人間観察ですね」
(医師の仕事は患者をしっかり観察し、判断する仕事だからね)
「そうだな。そういうことだな」
食事を終え、店を出る。
「さて、じゃあこれからどうする?映画一緒に見るか?」
「先生と?」
「ああ。どうせ家で一人で見るつもりだったんだろ?俺と見てもいいんじゃないか?」
少し躊躇していた透が提案する。
「よし、じゃあ俺の家に行こう。ちょうど俺も見たい映画があったんだ」
「わかりました。先生にお付き合いします」
「いいね。行こう」
二人は透の家へ向かう。住んでいるところは医局から10分ほどの場所だ。もちろん定食屋からもほど近いことになる。
家に着くと、かなり広い1LDKのマンションだ。洗練されたインテリアに、さりげなく置かれた高級ブランドの小物。まるで生活感の少ないモデルルームのようだった。
「広いですね……」
「ああ、広さはある方だな。一人暮らしには少し大きいかもしれないけど」
ソファを指さして
「 とりあえず座ってくれ、ゆっくりしてていいぞ。何か飲むか?」
「ええ、何でも大丈夫です」
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