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第五話 とりあえず一発殴ってみよう!

 俺、ラスト、プライドの三名は兵士の命令で、彼らについて行っていた。ちなみに兵士の命令により、ラストとプライドには実体化してもらっている。


 陽が真上になった頃、地中から這い出てきたオークのような獣が現れた。会話可能なタイプのものではなく、明らかにこちらに敵対意識を持っているタイプのもので、今にも手に持った棍棒をぶん回して俺達をミンチにしてしまいそうな雰囲気を漂わせている。


「アキト君」

「大丈夫、二人は危なくなったら助けてくれるだけでいい」


 プライドの魔法の効果を試さないわけには行かないだろう! それにまだ、俺は戦闘をこの身体でしたことがないからな。この世界の魔物の強さを知っておかないと、後々大変なことになるだろう。


「…とりあえず一発殴ってみよう!」


 えいっ、と軽く叩いてみた。なにひとつ効くことがないと思っていたのだが、プライドの魔法の効果が強すぎたのだろうか。屈強そうなオークは一瞬でよろめき、倒れた。


「あ、ああ… なんか、弱い…」


 豆腐をつつくような戦いに心の底でちょっとがっかりしながら、俺は戦いの結果を噛み締めていた。


 オークを横目に兵士が案内するままついていった俺達は、オークが放つ小さな靄に気づかず、通り過ぎていくのであった。


ーーーーーー


 陽が傾きだしたころ、城壁に囲まれたにぎやかな街が見えてきた。薄暗がりを、街の光が明るくともし、視界を鮮明にする。


 だが、街に近づけば近づくほど、外から見たときに感じていたものと今感じているにぎやかさの差がはっきりとしてくる。これは、俺のせい…?

 俺は答えられなくてもいいから兵士に訊いてみた。


「あの~… ここってどんな街なんですか?」

「…アトリヒリェ、ガルンティア王国の首都だ」

「首都…」


 首都にしては賑わいが足りていないような気がする。どこの店も灯りはともっているが、人がいない。この街にはおそらく、なにかがある。


「ここから先、命が惜しくば声を出すな」

「…」


 数十分ほど歩いたところで兵士が一言忠告した。話したら何があるって言うんだ? 殺されるのか?

 どんどんと廃れた風景が広がっていく。取り壊され、焼け焦げた家、積みあがる瓦礫が足場を悪くする。先ほどまでの街と同じ街とは思えないほどの廃れようだ。


 そして俺は今危機に瀕している。「声を出すな」と言われたばかりなんだけど!? ふわりと飛んできた埃が俺の鼻をくすぐってくしゃみを出させようとしてくる。


「ふぇ… ぶええっくしょん!!」

「!」


 驚きと失望が混ざった兵士の顔を見たのは、人生で何回目だろうか。






 どこだ? ここは。真っ暗で、狭い。何故かここを懐かしく感じる。

 ラスト、プライド。


 不意に知らない名前を呼んだ。一体誰のことだ…?

 思い出せない。ここがどこなのか、俺は、誰だ?


「ようこそ、追憶の部屋へ」

「追憶の、部屋?」


 暗闇の中から煙のようにゆらゆらと現れたひとりの、人間…? らしきものは俺にそう話しかける。

 追憶… ここで、何かを見るということか?


「ここは、貴方が昔に行ったこと、罪を清算する空間。過去の過ちから目を背けず、向き合うことで道は拓けるでしょう」


 昔に犯した、罪?

 ゆっくりと視界が暗くなる。ゆらゆらと、いや、「巻き戻された」ように、声の主は消えていった。

2025年5月31日追記 あとがき

やっべ!! ここのメモ放置したままだったよ!!

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