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第三話 ちっちゃ、ちっちゃい!

「そういえばお前、色欲の悪魔とか言ってたな」

「ええ。僕は、色欲を司る悪魔ですよ」

「原初の魔族…ってやつは?」

「それもだよ」

「よくわからねえ… どこに街があるかとか聞いておけばよかったよ」

「僕が案内しようか?」


 これに案内されて無事にたどり着ける気がしない。


「いや、いい。道なりに進めば、いつか着くだろう」

「そうか。アキト、武器は持っていないようだけど、どうやって戦うんだ?」


 武器とかあるんだな、この世界。

 剣とか使ってみたいけど、金がないしなあ…


「拳は?」

「拳か。それなら、少し強化をしてあげるよ。素手で戦っても、骨が折れるだけだから」


 そんなに硬いのか…? まあそんなもんか。


「まあ僕は強化魔法、そんなに得意じゃないから僕のハニーに頼もうかな」

「え?」


 これに嫁がいるのか!? どんなやつなんだ? 屈強なムキムキな奴か? それとも華奢な奴か?


――聞こえる?

「うわっ、増えた!」


 よくネットで見る、わからせられる系のメスガキみたいな声してる!!


――ラストは迷惑かけていないかしら?

「迷惑しかかけてないです!!」

「ひどいなあ、暁斗。まだ夜這いもしてないのに!」

――そう。アキト君、私も実体化してよろしいかしら。

「もちろん! こいつを止めて下さい!」


 目の前に、ラストを実体化させたときと同じ魔法陣が現れ、ひとつ、人影が見えた。

 ちっちゃ、ちっちゃい! 幼い身体で身長が低いはずの俺よりもちっちゃい!!

 もしかしてラスト、男好きのほかにもロリコンまで併発しているのか!?

 というか服際どい! なにかの罪で訴えられない? これ、大丈夫なのか!?


 現れたのは上半身の布が少ない、細かく言えば胸元はリボンで隠れているだけの、上等な服を着た少女だった。その所々には高そうなアクセサリーがついている。これは多分金持ちだ。


「ラスト、あんたまた迷惑かけて!」

「誤解だよプライド、僕はまだなにもしてない! 信じてよ!」

「そう。とりあえずアキト君、こっちに来なさい」


 メスガキ… というか、オカンだろ、これ…

 とりあえず俺は少女の近くへ寄った。


「こうで、いいですか?」

「ええ。大丈夫よ」


【アークフルブレイド・ギビング・イビルグランツカース】


 なんか長い魔法名だな! なんかめちゃくちゃ強そうなのは伝わってくる!

 どれくらいの力なのか確かめようと手を打つと、ドンドンと、素手で鳴らしたとは思えない音がした。


「なんだこれ!?」

「これさえあれば向かうところ敵なしって感じ」


 どいつもこいつも強いな! どうなってんだよ!!

 弱いやつはいないのかよ!

 俺がそう思っていたとき、ラストが答えるように言った。


「弱い奴なんかいないよ」

「え?」

「貴方がはじめに『強いやつ来い』と願ったから、弱い奴はいない」

「え?」


 俺のせいなのかこれ? 強い奴しかこないのは!?


「貴方がそう願ったから、貴方が契約することができるものは、貴方より強いものしかいないよ」

「俺より?」

「そうよ、アキトさん」


 ってことは、俺は一生これみたいな強いヤツしか召喚できないってこと!? 制御もクソもねえじゃねえか!!


 俺は「とりあえず」で、変なことは言わないと、心に決めた。


「えっと… 貴方の名前は?」

「敬語はいいわ。あたしは、プライド。これと同じく原初の魔族で、傲慢を司る悪魔よ」

「えへへ…」


 惚気だとかそんなこと以前にこいつの笑っている顔はどこか身の危険を感じる。


「ひどいなあ、暁斗」

「男好きの次はロリコンかよお前!」

「ロリ? あたしはこんなだけどそんなに幼くないわ。年齢は… ラスト、何歳だったっけ?」

「そんなの数えてないよ、プライド。何万なんて、覚えてるわけがないよ」

「え?」


 こんなちっちゃい子が、何万歳? 怖い怖い! 怖すぎる! 悪魔って、みんなこうなのか!?


「あたしたちが特別長生きなだけよ」

「へ、へえ…」


 そんなの言われてもさあ… 何万ってなんだよ!


「暁斗、前!」

「え?」


 俺が前を向くと、そこには鎧で身体を覆った屈強そうな男がいた。いつの間にかラストとプライドは俺の身体の中に戻ったらしい。


「貴様、名をなんという?」


 え? 怖い、なになに? 俺、なんかしたっけ?


「あ、アキト… です」

「名字は?」


 名字!? どうすればいいんだ!? ラスト!! 「(はやせ)だ」なんて、言えないだろこれ!!

――正直に言った方がいい。これは、嘘をついちゃいけないんだ

 嘘をついたらどうなるんだ?

――最悪の場合、処刑されるよ


 処刑って…


「アキト… (はやせ)、アキトだ」

「そうか、ついてこい」


 面倒くさそうなことになった!! 最悪だ!!

――殺されないだけいいと思って。昔見たんだけど、嘘をついたやつは街の真ん中で本当のことを言うまで拷問されていたわよ。一晩耐えた奴は首を晒されていたわ


 首晒し!? 転生したばっかりで首晒しは嫌だ!!


 …ちなみに、このままついていったらどうなるんだ?

――さあ。こんなこと、されたことないからね


【バインド】


 男の手から網が出てきて俺を捕まえようとするが、俺の身体に触れそうになったとき、網は崩れ去った。


「!」

「えっと… その…」


 なんだこれ!! ラスト、お前か?

――僕じゃないよ、これはプライドがさっきかけた魔法の効果だよ!


「一同、引っ捕らえろ!! こいつはヒトの皮を被った悪魔だ!!」

「ひどい、ひどすぎる! 俺何もしてないのに!! ラスト、助けてくれ!!」

――それなら、ひとつだけ約束して

「もちろん!! なんでもするから助けてくれ!!」

「何を一人で話している! 逃げたって無駄だぞ!!」


 どうしてもラストと話す時は声に出てしまう。これだけは特訓して治す必要がありそうだ。


――ちょっと身体を借りるよ。「なんでもしていい」って言った、暁斗が悪いんだからね


 ラストがヤな目で俺を見ている気がする。

 …やっぱり、「なんでもしていい」なんて言わなければよかった!!

キャラ紹介・用語説明、あとがき

とぴっく「好きなタイプは?」


【瀬暁斗】

ハヤセ アキト

階段で足を踏み外して死んだ一般的な高校生。

骸骨からスキルを授かり、異世界へと転生した。

ラストの熱視線に怯えながら、過ごしている。

「うーん、かわいい女の子かな!!」


【ラスト】

原初の魔族であり、色欲の悪魔。つおい。

ひそかに(?)暁斗を狙い続けている。

実年齢は5ケタ。

「タイプとか言われても困るよ〜、僕はなんでもうぇるかむ! だよ!」


【理神ミレイ】

本名 ミレイ=レジスト

女神。めちゃくちゃロリ(スラっとした感じが)で、かわいい。

「わたし!? 優しくて強いひとがいいかなあ…」


【プライド】

ラストの嫁。

胸元はリボンでかろうじて隠れている。見た目だけはロリ。

実年齢は5ケタらしい。

「タイプ!? そんなの今まで考えたことなかったわよ…」


—―あとがき

ラスト君、お前はどれだけレーティングを上げにくるのでしょうか。やめてくれ!!


第四話

近日公開。

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