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最後に

 アルスは六聖王帝の第一位に名を連なると同時に、名をアルスから「アルスレッド」へと名前を改めた。


 せっかく自分が最強になったのだから、かつて憧れた最強の名が欲しくなったのだ。


 アルスはしばらくの間は、最強の座を楽しんだ。


 しかし、そこにアルスの座を脅かす出来事が起こった。


弱くなった現代の人間とはいえ、天才は産まれる。


産まれた天才は成長し、第一位の座を狙った。


アルスはその座を護らんと、その天才と戦った。


結果は辛くもアルスの勝利。しかし、アルスの左手は欠損。天才は殺せたものの、アルスは久方ぶりに人間に恐怖した。


 どうしよう、また僕が最弱になっちゃったら。嫌だ。そんなのもう耐えられない。


 そういう思いから、アルスは自分が古代人だという特権をフルに活用して、記憶にある古代魔法を片っ端から覚えまくった。


 それと平行して、産まれた、いわゆる神童やら天才やらが話題に上がれば、成長しきる前に。子供の時にアルスはそいつらを全てこの世から葬り去った。

 

 

 そんなある日、アルスにとってはあの天才以来の恐怖が舞い降りた。


 ふと、耳にした、なんでも見た事のない魔法が世間で出回っているとか。


 アルスに部下は1人もいないので、町で聞いた噂話だ。


もしや、と勘付き、アルスは町の住人に詳しくその魔法の詳細を訊き糺した。


 すると、やはりと言うか案の定。その魔法は古代魔法であった。


詳しい調べていると、どうも何者かが古代魔法の魔法書を作って、それを配っているらしい。


 アルスは考える。古代魔法を今の時代に知るのは己、ただ1人のみ。


 それなのに、現に今。何者かが、古代の魔法を配布している。


 と、すると、アルスだけしか知らないというのは自分の勘違いで、他にも古代大戦の生き残りはいたのではないか?


 そう仮説を立てて、アレスは世界中を飛び回った。


そうして、とある地下の奥底。現代で言う迷宮の奥底に、1人の人間を見つけた。


 男だった。見覚えがあり、懐かしくもある服装をやつれ、骨が浮き出るその体に纏い。


 男は震える手で、古びた本に、なにやら書き込んでいた。


「貴方、もしかして古代の…?」


アルスを見た途端に、男は生気のない顔を顰めて、強くアルスを睨み付けた。


 「そうか。君がアルス。いや今はアルスレッドだったか…


隊長の名を使い、何を企んでいる?」


 嫌悪感たっぷりの声に、アルスはこの男を生かしておくべきではないと強く思う。


「それより、貴方は何を書いているんです?」


「私の問いには…答えないか。」


男は咳き込む。もう男に残された時間はとても少ないものなのだろう。


 「…私が、書き、遺しているのは今や古代と言われる、素晴らしく偉大な先祖の作った魔法の数々だ。」


 男はより一層にアルスを睨む。


「隊長の名を語り…我々の顔に泥を塗るお前を…許し、生かしておくつもりはない。」


 男はアルスに手を向け、その手に魔法陣を纏わせ、何かの魔法の発動を見る事なく、アルスは男にトドメを刺した。


 男の胸目掛けて、思い切り鋭利にした、魔力の槍を突き刺した。


 

 そんな、アレスにまたも恐怖が襲う。


なんと、再び、世間に見た事のない魔法が出回っているというのだ。


 アレスは再び飛び立つ。しかし、探せど探せど。世界の隅まで探せど、古代人は見つからない。


 住人に聞き込みを行うと、どうやら既にあの男は、沢山の魔法書を世界にばら撒いていたようだ。


 もう、新たな生き残りが居たとかいう訳ではない。


そうと、分かれば、アレスは世界各地の魔法書を回収する旅に出た。


 自身の顔を隠す仮面と、真っ黒のローブを身に纏って。


アレスは自分が古代の魔法書を集めているとは知られたく無かった。


 もしそれが知られれば、何か古代の魔法を知られてはいけないわけが私達にあるのでは?


 と人々が勘づく可能性を危惧した為だ。


 そして、もしやアルスレッドは最強なんかじゃないのでは?と知られるのを防ぐ為でもある。


 ―――――


アルスは、最近見つかったという迷宮。つまりあの男の部屋に、魔法書の回収に赴いていた。


 最深部に行き、魔法書を見つけた所で、扉付近に誰かいる事に気づく。


 アルスの右眼に宿る未来眼が反応する。


敵は3人。それも全員子供。僕の相手では無い。


扉が開いたと共に、アルスは閃光の如く、真ん中の女を仕留める。


 次に隣の女に手を掛けようとした所で、アルスは背筋にとんでもない。今までに感じた事の無い圧倒的な恐怖を感じた。


 例えるなら神の逆鱗に触れてしまった感じ。


アレスは急いで、その場から距離を取る。


 「な、何者だ!」


 声が震える。怖すぎる。なんだあの女。


「ソウカです。」


 女の名前には聞き覚えがある。


何だったか。確かもう引退しているけど、昔神童だと話題になった魔法使い。


 の名前だった気がする。


いや例え神童だとしても、あそこまでの圧倒的な恐怖感を出す事は出来ない。


 出す事が出来るのは、それこそこの世界の神。この世界を創造したという神しかいない。


 神は、大昔に姿を消して以来、今日に至るまで、その姿を人類の前には表さなかった。


 もしや、ソウカの中に神がいるとか?考えたくはないけど。


 「違う、神はそんな名前では無かった!」


神に決まった名前はないけど、伝わっている名前はソウカで無いのは確かだ。


 「スレイヤです。」


 何で名前変わったの?僕馬鹿にされてんのかな。


 分かんないけど、神がソウカの中にいたとして、それをソウカは知らないのか。


 

 話を聞くと、ソウカ一行は古代の魔法書を求めてこの迷宮にやって来たという。


 しかし、この迷宮にあった魔法書は、お目当ての物でなかったらしい。


 帰ろうとする一行。それを引き止める僕。


自覚無しとはいえ、僕の座を脅かしかねない神を放置するのは絶対駄目だ。


 アレスはソウカ達の目当ての魔法書を渡す代わりに、絶対にアレスに服従する部下になってもらった。


 そしてアレスは逃げるようにその場を立ち去った。


 これで、神のご機嫌取りは出来たかな。部下になれっていうのはマズかったかな。


 アレスは怖くなるが、一旦考えないようにして、しばらく自分の城に引き籠った。



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