表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

色の濃い芯と、色恋心

作者: 島猫。

放課後の教室で

机と机の頭をくっつけ、向かい合わせに座る

傾き始めた夕陽が窓から差し込んで

君の黒髪にキラキラの粒を落とす


時折ゆらりと揺れる両サイドのおさげと制服のリボン

くくり(そこ)ねか、首筋を(つた)うほんの少しの髪の毛


宿題のプリントに添えられた君の手

ほっそりした指に

綺麗に切り揃えてある清潔感のある爪

きっとマニュキュアも化粧もしていないだろう

問題文を小さく呟き、わずかに動く自然な色の唇

目を奪われていることに、はっと気付いて

またそっと視線を自分のプリントに戻す


ぽきんっ


「芯、また折れたよ?」


相変わらず、今も昔も、少し舌足らずな喋り方

声変わりした俺とは明らかに違う、女の子の声


シャープペンシルをカチカチとノックする

(みじか)過ぎるのか出てこない


「新しいの、入れる?」


差し出されたのはB芯


「何でB? 普通、HB使うっしょ」


Bと言いつつ何気なく君のリボン……の下の、胸のふくらみをちらりと見遣る

Hと声に出したことで胸のどくどくが増す

エロは健全、俺は健全


「Bの方が濃いから見えやすくて好きなの」


君の口から飛び出した「好き」の言葉

じゃあ、俺のことは?


いつもより濃い芯を先っちょからゆっくりと差し込んで、またカチカチとノックする


試し書き

プリントの余白に小さな黒い丸を3つ「●●●」

そこに触角と脚を生やして(あり)()き、横に「×10」と追記


君の顔が(ほころ)


淡い恋心はより色濃くなって

俺のエロ心もより色濃くなって

俺の鼓動は一層早くなって




「なぁ、俺のこと好き?」








挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あまーーーーい!と言おうとしたら既にもう((((;゜Д゜))))))) くそう、出遅れた……. ああ、なんだかすごく楽しそうというかなんというか いいなーと思いました(*´∀`*)
[良い点] 「色の濃い芯と、色恋心」  タイトルでまずふむふむと……。  「芯」という字、「心」があるんですね。語源を調べたら面白そう。  ちなみに。  私にも「心」はありますが、人間に「芯」が入って…
[一言] いい話でした。 なんでもないただの放課後の教室にふたりの情景はアオハルそのものでした。 いい話でした。でもちょっと吹き出しました。 「エロは健全、俺は健全」名言です。(*´Д`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ