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侵略勇者 ブレイダー  作者: テスタロッサ
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侵略者がやって来た

不定期更新です。文章力等まだまだ未熟なうえに書くのも遅いですが、頑張って書いていこうと思います。書いてるうちに上手く早くなれたらいいなと思います。よろしくお願いします。

          A


 家の近所の森林公園の大きな広場、そこに私はレジャーシートを敷いて座っている。目の前には五歳になる息子の勇太がはしゃぎ回っていて、夫がその相手をしているところだ。

 勇太がこちらに向かって手を振ってきた。こちらも手を振り返す。ただそれだけのことが堪らなく嬉しくて、涙が出そうなくらい幸せだと感じた。

 ――だから、これが夢なのだとわかってしまった。

 当たり前にあったはずの、今はもう永遠に失ってしまった時間。

 せめて今は、この夢が少しでも長く見られますように……。

 なんて、そんな儚い願いはもちろん叶わない。

 普段からあまり聞きたくない、しかし聞き馴染んでしまった緊急警報の音が遠くから聞こえてくる。つまり、もうすぐこの夢も終わってしまうということだ。

 私は勇太の近くまで行き、しゃがんで抱きしめる。

「ごめんなー。お母さん、もう行かなあかんわ」

「お仕事?」

「うん。せやからまたしばらく会えんくなるけど、それまでええ子にしといてなー」

 うん! と元気良く頷いてくれる。うちの子は世界で一番可愛くていい子だ。

 もう一度ぎゅっと少し力を込めて抱きしめた後、今度は近くに佇んでいる夫に話しかける。

「そのうち私もそっちに行くから、それまでこの子をよろしくお願いします」

 笑って頷いてくれる夫。本当に頼りになる人だ。この人と結婚できたことを私は心から誇りに思う。

 そして二人に手を振ったところで、夢の世界は幕を閉じた――


 目が覚めると同時に身を起こすと、その辺の床に脱ぎ散らかしてあった上着を手に取り自室を出る。

 歩きながら時刻を確認すると、夜勤明けで眠りについてから約二時間というところだった。

 上着の前を閉めて、髪を手櫛でなんとなく整えたところで通信司令室に到着。


 中に入ると、他のメンバーは既に全員揃っていた。当然、私の上司である天城隊長も。

「八神、遅いぞ」

「申し訳ありません」

 最高に幸せな夢を見ていたから、なかなか目を覚ますことができなかった。緊急事態だと場合によっては取り返しのつかないことになる可能性だってある。

「隊長、夜勤明けの副隊長に対して少し厳しすぎませんか?」

 ウェールズ隊員がかばってくれようとするが、副隊長としてはそれに甘えるわけにはいかない。

「ウェールズ、ええねん。ありがと。それより隊長、何が起こりましたか?」

「長門山に宇宙から飛来した何かが落下した。それを至急調査してきてほしい」

「単なる隕石か何かじゃないっすか?」

 ティーレ隊員が口を挟む。

「そうかもしれんが、それを装った侵略者の宇宙船の可能性もある。念のために調べておいた方がいい」

 そう言って、隊長は私たちに指示を下す。

「レーベはソーシャーク一号、ティーレはソーシャーク二号、八神とウェールズはグレートホワイト号でそれぞれ出動。現場での指揮は八神が執れ。ヘレナはオレとここで待機だ」

 そして最後に号令をかける。

「SHARK、出動!!」

「「「「フォー・リント!!」」」」


  長門山に到着すると、そこには明らかに隕石ではない物体があった。

「隊長の読みが当たったか……」

  レーベ隊員が呟いた。

 そう、そこにあったのは隕石ではなく、宇宙船だったのである。

「生命反応無し。中は空のようです」

  ウェールズが計器を使って確認する。念のために直接中に入って確かめたが結果は同じだった。

「散開して辺りを調査しよか。何か見つけた人は連絡するように」

「「「はっ!」」」

  私の指示で三人はそれぞれ別方向に向かって歩きだす。私もすぐに調査を開始した。


  そして十分後、まだ誰からの連絡もなかったが、私は怪しい洞窟を見付けていた。

「いかにも侵略者が隠れてそうな洞窟やなぁ」

  冬眠中の危険な野生動物がいる可能性もあるが、調べないわけにはいかない。


  ライトで照らしながら中に入る。想像以上に大きな洞窟みたいだ。野生動物どころか巨大怪獣がいたりして。

  なんてことを考えながら進んでいくと、ライトで照らした先に人影が現れた。あの宇宙船の持ち主だろう。

「さっきこの星に宇宙船で落ちてきたのって、あんたか?」

  話しかけてみる。すると相手はゆっくりとこちらに振り向いた。

  そこにいたのは、全身に黒い鎧を纏った騎士だった。


          B


  侵略予定の星に接近したところで、トラブルが発生した。

「エンジンが止まった……だと!?」

  かなり古い宇宙船だとは思っていたが、ここまでガタがきてるとは思わなかった。目的の星の引力圏内には入っているのでたどり着くことはできるが、このままでは侵略どころか地表に激突して死んでしまう。

「動け! 動け! 動けぇぇぇぇぇっ!!」

  何度もエンジンを始動させようと試みるが、一向にかかる気配がない。


  まずいまずいまずい!

  落ちる落ちる落ちる!


「ちっくしょぉぉぉぉぉっ!!」

  ダンッ! と拳を叩きつける。


  ブォーーーン


「お?」


  エンジンが! 息を! 吹き返した!

  でも! もう! 激突寸前!


「あの山に緊急着陸するしかねぇ!」

  機体を立て直しつつ目の前の山に向かって進む。

  そしてなんとか不時着に成功した。

「流石に……死ぬかと思った」

  かろうじて事故死は回避できたが、我が宇宙船は着陸の衝撃で完全沈黙してしまった。

「今のでこの星の住人、〝人間〟に気付かれちまったかな。一旦どこかに身を隠すか」

  本当なら颯爽と人間たちの前に現れて宣戦布告をして、正々堂々と侵略を開始したかったところだが、今の着陸劇でそんな余力は残っていない。どこかで一休みしてそれから行動を開始しよう。


  宇宙船から出て山を歩く。登りやすくて大きな木があればその上で休もうかと考えたが、ほどなくして身を隠すのに良さげな洞窟を発見した。

「凶暴な生物がいなければいいんだが……。今は何とも戦いたくない」

  そんなことを考えながら奥へと進んでいくと、先の方から気配を感じた。やばい。何かいる。

  立ち止まり、引き返すべきかどうか逡巡する。危険な生物がいるなら自分の身が危ないが、その代わりに人間がここに来る可能性も低いのではないか。

  そうして悩んでいると、暗い洞窟の中を突然光で照らされた。


「さっきこの星に宇宙船で落ちてきたのって、あんたか?」


  もう見つかった!?

  振り向くと、そこには一人の人間がいた。

  思わず身構えそうになるが、よく見てみると相手は軽い武装はしているものの、女のようだった。


  女は守るべき対象であって戦う対象ではない。これはごく一部を除いてほぼ全ての宇宙で共通の認識のはずだ。

  だから俺は目の前の人間に対して剣は抜かない。その代わりに、侵略するにあたって必要なものを用意してもらうことにした。


「この星を侵略しに来た。人間、この星で一番強いやつを連れてこい」

「はぁ?」

  こいつ何言ってんだ? みたいな反応をされてしまった。言葉が足りなかったか、もしくは単純によく聞き取れなかったのかもしれない。

「この星で一番強いやつを連れてこい。そいつと戦って俺が勝ったらこの星はいただく」

「あんた、何言うてんの?」

  ものすごくバカにされたようなことを言われた。

  おかしい。何か変なことを言っているだろうか。侵略するのであればその星で一番強いやつと戦って倒し、自分の強さを証明したうえで支配する。

  それが侵略というものではないか。


「ようわからんけど、侵略の意志があってこの星に来たんやったら、悪いけどこの場で拘束させてもらうで」

  どうやらこの人間とは意思疎通が難しいようだ。危害を加えるわけにはいかないが、軽く脅して言うことを聞いてもらおう。可哀想だが仕方がない。

「この星で一番強いやつを連れてこいって言ってんだろ!」

  近づいてきた人間に手を伸ばす。もちろん殴ったりするわけではない。胸ぐらでも軽く掴んで凄めば大人しく言うことを聞いてくれるだろう。

  しかし、その人間は俺の伸ばした手を絡めとると、不思議な動きで俺の身体の自由を奪い、気付くと俺は地面に組み伏せられていた。

  なんだこの人間は!? 非力な女のくせに戦士である俺を易々と!?

「いきなり何すんねん。応援を呼んだら本部まで連行するから大人しくしとき」

  俺を組み伏せたままその人間はどこかに連絡をしようとする。が、しかし。


「……地震?」

  突然 地面が揺れ始めた。最初は小さく。しかし揺れは徐々に大きくなっていく。

「これは……まずいかもしれへんなぁ」

  人間はそう言うと、すぐに俺の関節をキメたまま立ち上がって移動しようとするが――

「あかん、もう崩れる!」

  洞窟の天井が崩れて落ちてくる。身軽そうなこの人間なら俺を置いてさっさと逃げ出せば助かるだろう。

  そう思ったのだが。


「は?」


  俺の口から間抜けな声が出る。

  どういうわけかこの人間は、俺を洞窟の出口に向かって強く突き飛ばしたのだ。

  俺は崩れ落ちる岩の範囲外へ。そして人間は落ちてきた岩の下敷きになった。


  天井の崩落が収まり、洞窟に静寂が戻ると、すぐに俺の叫び声が静寂を破った。

「お、おい……おい! 人間!!」

  何故だ!? 何故あの人間は俺を助けた!? 俺はこの星を侵略しにきたんだぞ? そんな俺を助ける理由がどこにある!?

  急いで岩をどけながら人間に呼びかけ続ける。

  そして人間の上にあった岩をすべてどけたとき、俺は人間に呼びかけるのをやめた。

  人間はもう虫の息で、呼びかけても無駄だとわかってしまったから。

  このままだとこの人間は死ぬ。残されるのは侵略者であるこの俺と、侵略対象の星の住人に庇われて助かったという事実だけだ。


  ――そんな格好悪い事実、認められるか!


  この人間を助けられる方法が一つだけある。我が一族に伝わる秘術で、死んでさえいなければ必ず助けられる。もちろん大きな代償はあるのだが、相手が死んでしまうと使えないので迷ってる暇はない。

 急いで安全そうな場所まで人間を運び、意識を集中する。


「ユナイト・ベリック」


  ……本当に、侵略しに来たこの星で俺は何をしてんだろうな。

できるだけ早く続きを書けたらいいなと思います。

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