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005 プロローグ…夫婦で異世界に来てしまった その5

 まずは右腕だ。手のひらをグーパーとしてみる。


 出来ん。なぜだ?


 グーにしたらチョキになるし、パーにしたら肘が曲がったぞ?


 そっか、神経の伝達が違うんだな。


ぼくには 医療に関する知識はないしそもそもドラゴンの神経がぼくの脳でコントロール出来るとは限らない。


 でもとりあえず動いた、なら構築スキルと並列化スキルを使って神経を慣らしてみよう。


 並列化スキルはなぜ発現したのかな?もしかしたら会社でいつも言われてた報告連絡相談、いわゆる「報連相」の賜物かもしれない。


 たしかにあれは情報の並列化をして効率を上げる考え方だからね。めんどくさいと思いながらちゃんとやってましたよ。会社ではたいして役に立たないと思ってたけど、異世界ではめちゃ有能!


 上司の方々ご指導ありがとうございます!


 グーパーグーパーしてたらなんとか思い通りに動く様になってきたな。


 よし、じゃ立ち上がってみよう。


 足を動かす。並列化スキルががんばってくれたのか右膝が曲がった。こいつ、動くぞ!


 状態を起こし立ち上がる。ちょっとグラグラしてるな。いちおうぼくの脳内の各器官と連動しているのか、バランスを保とうとして両手が揺れた。


 上手く行きそうだ。



 "これ以上生成物を起動させるには生体力と魔導力が足りません。心臓の負担が高まっているため後160秒で破裂するか停止します"



 ま、待って!どういうこと!?


 ドラゴンマッスルはまさかの高燃費だったのか!やばい!心臓が停止したら脳が酸欠を起こして意識障害が起きる。当然そのままなら脳死だ。


 不味い!考えろ!どうすればいい!?


 というかドラゴンはどうやってそのエネルギーを得ているのかな?なにかコントロールとタンクを担う器官があるのかも!


 鑑定先生!ドラゴンのエネルギーは何処から来てるの?


(ドラゴンは大地や大気に充満する魔素を呼吸や食事によって取り込み、体内の心臓部にある魔石で生体力や魔導力、魔力やブレスに変換している)


 おお、魔石!あるんだ。とりあえずドラゴンから魔石を取り出して空っぽのお腹に入れてみよう。


 ドラゴンの胸周辺を分解してみた。あっでっかい心臓みたいなパーツの右側に紫色の塊が付いてる。これかな?


 急いで取り出してみたが、かなりデカい。ぼくと同じくらいの大きさだ。流石に入らないよ。


 あまり時間はないが効率良くなるように精製と構築をやってみよう。スキルちゃんお願いします。


 ぼくが念じると左手から赤い粒子が出てきて魔石を包んだ。とたんものすごい疲労感が頭を包む。うぁぁ!これはキツイ!何がが吸われる!


 ぼくは意識を失わないようにドラゴンの魔石を睨み付けて集中すると、魔石は真っ赤な輝きを放ちメリメリと音をたてながら小さく縮みソフトボールくらいの大きさの真っ赤な玉になった。


 これをお腹の中に入れてみよう。


 ステータス画面の精神力の値が3になってる。これが倦怠感の理由か。生命力は1でもなんとかなったのに精神力は減るだけでキツいのか。


 でも迷ってる暇はない。


 付けてみる!


 ぼくは魔石を掴み、お腹に押し当てて構築スキルを使用した。魔石がお腹の中に吸い込まれた瞬間、とんでもない頭痛が始まる。


 ぐあぁぁぁ!キッツーー!


 目が飛び出そう!どうやら鼻血も出てる!左腕の血管が腫れ上がり、血が噴き出す!爪が毟れてきてはげ落ちた。


 "魔石の生体力と魔導力が身体に対して出力過多のため拒否反応が出ています。排除しますか?"


 排除て!でもこのままじゃ死ぬ、でも魔石を出してもガス欠で死ぬ。なんとかしなきゃ。死なない方法を鑑定してみよう。お願いします!


(全ての生命はやがて死ぬ。抗う方法は、外法や異世界テクノロジー等の処置、霊格化神格化等解脱を実行すること。)


 なんか聞いたことあるやつや。そうかそういう鑑定方法はダメなんだね。じ、じゃあ、魔石のエネルギーをセーブする方法を鑑定してみよう!


 てかこれって鑑定なのか!?鑑定というよりこれはもはや検索ですね。


(魔石の出力を制御するには魔導具<アーティファクト>を使用するのが一般的。低出力なら魔道具製作者等の作成する魔導回路で制御出来る。高出力な魔石は希少度:秘宝級、伝説級、神級<アーティファクト>が必要となる。)


 鑑定先生、説明がシビア過ぎて辛いです。知らない言葉がいっぱい出てます。魔導回路とか秘宝級とかアーティファクトとか調べてたら間に合わないし、作るにしても出来るかどうか…


 ぐうう、キツい!立ってられない!


 あまりの苦しさにぼくはその場に座り込んでしまい、お尻で何かを踏んずけてしまった。なんだろ?


 あ、カバンだ。


 勢いよく踏んでしまったためカバンから中身が出てしまっている。読みかけの本やペン、お気に入りの赤い財布、飲みかけのペットボトルのお茶、リンゴのマークでお馴染みの携帯端末…


 ん?携帯端末?精密機器は集積回路……魔道具に…魔導回路……


 鑑定先生!これを鑑定して!


(<アーティファクト>異世界の生命の木の実

 希少度:伝説級

 異世界の技術で作られた全知全能なる木の実を模した魔道具。使用することで全てを知ることが出来る。使用することで登録されているその他の魔道具等を遠隔操作管理出来る。使用することで金銭や物品を入手することが出来る。この<アーティファクト>を完全に使いこなすのは難しいとされている。)


 こ、これだっ!!


 ぼくは携帯をお腹の中に押し込んだ!

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