010 妻の呟き 異世界来たけど新婚だから夫に依存したい その4
最後のディスり称号はさて置き、とりあえずヒロくんが使ったのは「浄化」らしいわね。状態のところが浄化状態になってるから。
ありがとうヒロくん。大好きよ。
でもなんでわたしにこんなたくさんの魔法?魔術?的な能力があるのかしら?わたしが出来ることといえば音楽くらいだもの。
チュートリアルさん、なんでか教えて。
"私チュートリアルではないんですけど…あなたの持つ異世界技能の音楽に関する技術はこの世界にはありません。近い技術としては魔術が該当するため構築、変換しました。現世にある音楽や楽器の技能を習得しても、魔法や魔術を習得することはありません"
かなり強引だけど理解したわ。まあ酷いご都合だけど役にはたつ。ちなみに魔法と魔術の違いって何なの?
"魔法とは魔術によって確立された技能です。魔術によって魔力の能力や指向を決定し文言等に変換したものが魔法です。魔法の質は属性に、量は使用した魔力量に依存、完成した魔術式に併せた文言や文字、陣となります"
なるほど〜魔法は魔術によって作られているってわけね。例えば炎魔術でMP2込めてメラメラ燃える火の玉を前方に真っ直ぐ飛ばすみたいに決めて、名前を「ファイヤボール」に決めて、名前を呼んだら発動するってことかな。
"魔法「ファイヤボール」を開発しました。魔法術式はステータス内炎魔術に保存されました"
おーすごい、出来た。ステータスの炎魔術を見たら視界の右にサブウィンドゥみたいなのが開いて「ファイヤボール」と書いてある。それを見たらサブウィンドゥの中の画面が切り替わって、"ファイヤボール:使用魔力2・小球状・直進・小範囲"と書いてあり、他にカクカクしたマークの羅列や魔法陣が書いてある。カクカク文字は多分この世界でのファイヤボールって意味の文字なんだろうな。
威力はどうなんだろう?まあそれはおいおい検証してみるかな?
"そろそろ大人しくしてください。意識をシャットダウンします"
とりあえず今は早くアップデート終了して、ヒロくんを助けないと。この魔法を作る能力があればきっと助けられるわ!
あれ?
ヒロくんなんか身体のパーツ増えてるし!赤と黒の手足が付いてるわ。ちょっとちょっと、どうなってるの?
フラフラと立ち上がってドラゴンに近寄っていってる。なにかドラゴンの中から取り出したわ。周囲に赤いつぶつぶの粒子が舞っていて紫色の手のひらくらいな大きさの綺麗な玉を持ってる。あれなんだろう?
あっ!お腹に入れた!吸い込まれたわ。
なによヒロくん、随分ファンタジーなことしてるじゃないのよ。きっとドラゴンパワーを身につけることで生き抜こうとしてるとかそんな感じね。
さっすが、わたしのダンナ様だわ。無駄がないわね!
あ、あれ?苦しんでる。何があったの?残った頭と腕から血が吹き出してるし!指とか取れてるし!あああ、きっとドラゴンパワーが暴走して拒絶反応みたいのが出てるんだわ。よくあるじゃん究極のチカラを手に入れる前に暴走状態になるやつ。あれよあれ。まぁヒロくんならなにか対応策を考えてるんでしょうけど。でもめっちゃキョロキョロしてるけど。
わたしも今なかなかのアップデートしてるし、きっとヒロくんも苦しみの中でのパワーアップなのよね。
わたしのアップデート寝てるだけだから、良かったわ。
ヒロくん自分のケータイ拾った。あっ!ケータイお腹にぶち込んだ!ヒロくんの身体の崩壊が止まった。そしてキラキラ光りながら治ってる。
ああ、再起動の為か凄く眠い。
最後に見たのはキラキラが収まってそこに佇む愛するダンナ様の姿…それは悪魔のように禍々しく、美しかった。




