オカルト研究部の事件①
5月だというのに、雪が降っていた。
黒崎幸人は、暖房で温まった教室の窓から、雪の降る空を、頬杖をつきながらボーッと眺めていた。
「…崎、おい、黒崎、今日、19時に部室集合だからな、遅れんなよ。っておい、聞いてるかー、おーい」
不意に後ろから声をかけて来たのは、後ろの席に座っている比良和健斗だ。
健斗はヒソヒソと声をひそめながら背中を小突いて来る。
「ああ、わかってるよ」
幸人が無愛想にそう答えると、健斗はニタニタ笑いながらウインクしてきた。
19時になると、部活は全て終了し生徒たちは蜘蛛の子を散らすように下校していった。
幸人は帰宅部だったので一度帰宅したが、健斗との約束があったので第一音楽室へ向かった。
第一音楽室は旧校舎にあり、今はオカルト研究部の部室となっている。
オカルト研究部、通称オカ研は非公式な部活で、先生もついておらず、部室も与えられていなかった。
旧校舎は立ち入り禁止となっており、普段は鍵がかかっている、はずだった。
健斗から鍵を渡されていた幸人は(健斗がどこから旧校舎の鍵を入手したのかは考えないようにしていた)、周りに誰もいないことを確認し、旧校舎の中へ入っていった。
集合場所の第一音楽室は旧校舎3階の廊下の突き当たりにあった。
外はもう暗かったが、旧校舎内は、月明かりと、少し離れた新校舎から漏れる明かりが入ってきていた。
3階の廊下を少し歩くと金属の音楽室の扉が見えてきた。
幸人はゆっくりと扉を開け、中へ入った。
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