プロローグ
「 拝啓、名前も知らない君へ。
君は今、何処で、何をしているだろう。
なぜだか、誰かも知らない君に、これを書かなきゃならない気がしたんだ。
君は、誰なんだろう。
多分君は、僕にとって、とても大切な人なんだろう。
どういう風に大切かはよくわからないけど、これを書いていると、すごく胸が熱くなるのを感じる。
君に、伝えたいことがたくさんある気がするけど、何を伝えたいのかはよくわからない。
変な感じだ。とても。
僕は、君について知りたい。
君の名前を知りたい。
君の性別を知りたい。多分君は人間だよね。
君の好きなものを知りたい。
好きな食べ物や、好きな物、好きなことや、好きな人のことを、僕は知りたい。
君の嫌いなものも知りたいな。例えばピーマンが嫌い、とか、幽霊が苦手、とか。
僕のことも知ってほしいと思う。
もしかしたら君は、僕のことを知っているかもしれない。
もし、知らないなら、これから知っていってほしい。
君は、どこにいるんだろう。
どうすれば君に会えるんだろう。
どうすれば、この気持ちは消えてくれるんだろう。
僕にとって、名前も知らない君のことを考えるこの時間は、とても、辛いんだ。
胸が苦しくなる。
熱くなる。
切なくなる。
そして、とても愛おしい気がする。
僕は、君を探そうと思う。
どれだけ時間がかかっても、どれだけ辛いことがあっても、諦めることなんて考えられないんだ。
だから、もし、君が、僕を待っていなくても、探し出して、会いに行くよ。
君に会えば、僕の中の欠けているなにかが、わかる気がするんだ。
君には迷惑かも知れないけれど、どうか許してほしい。
君に会える日を、待っているよ。」
誰に宛てた手紙なのか、僕にはわからない。
でもいずれ分かる時が来るはずだ。
その日を夢に見ながら、僕は、眠りについた。
この物語は、まだ始まったばかりです。これから地道に書いていこうと思います。
末長くよろしくお願いします。