運命の日について…アリスタリナの場合①
アリスタリナ・ルブセイナ・ルーシエナこれが私の名前で、立場はルーシエナ王国の第3王女。
今日は王女として重要な使命があったのだが、思い返すと頭が痛くなる…。
やっと会議やら面談をし指示を出し終え、自室に戻ってこれたのは時刻を既に22時を回っていた。
「ふぅ…疲れたわ…マリー濃い紅茶お願い、砂糖多めで」
私は侍女頭のマリーに頼み、目をつむり今日の出来事を思い直す。
今日は運命の日…【ニホン人】をこの地に喚びだし、協力を仰ぎ、出来ればこの地に残り生きてもらう様に頼み込むはずだった…。
需要な役割を父から託され、この日の為に様々な用意や議論をしてきた。
そして満を持して12時を迎えたはずなのに……成果は無残な結果に終わった…。終わってしまった!!
アリスタリナは今日の失態を考えるとクッションを抱え身悶え低く唸るが、紅茶を持ってきたマリーに叱咤される。
「アリス殿下そのような事ははおやめくださいと何度もお伝えしているはずですよ。普段のお淑やかなイメージが作り物と皆様にバレてしまいますよ」
「だって無理よ!あれはお兄様がやっていたって無理だもの!!話が通じないのよ!?
言葉は通じてるけど、聞く耳持たないし…」
「そもそも室内でいきなり火炎魔法つかう!?ニホン人にとって壁って壊すものなの!?って叫びたくなったわ!!」
「そうですね!叫ばなかったのはようございました。髪のお手入れをしますので、普通にお座りくださいまし」
アリスタリナはマリーに問いかけるが、マリーはいつものこととし、返事はせずにアリスタリナの髪を解く。
髪を整えられながらアリスタリナはまとめられた書類を見ながらふりかえる。
はぁ……6名中3名死亡。1人大怪我。2人無傷。痛いわね…。アレに付け入るスキをみせる事になったわ、でも…まだ彼らを保護する立場を失わずに済んで良かったと見るべきしら…。
残ったニホン人は3人。
女子学生のタチバナ カエデ、私と同じ16歳。
男子学生のトウドウ ヨシツグ、17歳。
二人には塔を降りた後、一通りの説明はさせてもらったけど…カエデの方は気が弱いようで、護衛や侍女を複数つけただけで、泣かれるとは思わなかったわね。
逆にヨシツグの方は元来気性が荒いけど、カエデやあの怪我をした男性を気にかけてるあたり、根が悪いわけではないわね…。
そして二人の返事は保留。やはり怪我をした男性と相談をしたいとのこと。まぁ当然といえば当然か。
そして……怪我をして意識・名称・年齢が不明の男性。
あの状況化で自分の命が危ういのに、王国側の不備ではなく自業自得だとハッキリと宣言し、自分達も同罪と言い、そして責任者の立場である私に代表で謝罪をし、恩情の便宜を主張をしたのち意識を失った。
3人の中で唯一状況に流されず、自らの意思を持ち行動に示す度胸と立場と状況を考え自分達の利を考えられる冷静さ持った男性。
正直この方が居なかったら、どうなっていたことやら……私とニホン人の立場はかなり悪くなり、ほぼ確実に権利等は取られていたでしょうね…本当に助かったわ。
怪我もロゼン治療師が診てくれたおかげで、大事に至らなくて本当に良かったわ。
明日はこの方と話をして、是が非にでも協力をとりつけ、ニホン人側のまとめ役をになってもらわねば…よしっ!頑張ろう!……それにしても…あの方がこの男性に興味を示すなんて、どんな風の吹き回しなのかしら…。こちらも少し要観察かしらね。
さて明日に向けて今日は鋭気を養わないと…。あぁ…本当に今日は疲れたわ…。