混乱の末…できる事は善処いたしました。
爆発音等を聞いてやってきたと思われる壮年の男性がアリスタリナに近づき声をかける。
「アリスタリナ殿下お怪我は?一体これはどうなさったのですか!?」
「私は大丈夫です。宰相もありがとうございます。皆も落ち着きなさい。ニホンの方々は混乱しているのです。無理もないことなのです。誘拐だと言われても無理矢理こちらに喚んでしまったのは事実です。それに関しては謝罪を致します。ですのでニホンの方々も魔法の使用は控えて下さい。お互いの為に…話せばきっとわかりあえます!」
アリスタリナの言葉に、目を大きく広げた壮年の男性は、辺りを見渡すも見るも無残な塔が飛び込んできた。そして近くの兵士に問いただし、起こった事を聞いて唖然とする。
「こ、これがニホン人なのか…これが異世界人のすることなのか…?」
宰相と言われた男性の言葉に違いますと強く答えたいが、それよりもアリスタリナの言葉に希望を感じ、今二人を止めればまだ助かると思った尊は、二人に話しかける。
「ほ、ほら…あちらの姫様は話せば分かるって言ってくれてますし、一旦落ち着きましょう「うるせぇ!!」か、…お前は話してる最中に割り込まないと死ぬわけ?」
流石に2度目の30代サラリーマンの割り込み発言に、丁寧に話す気が失せた尊。そして30代サラリーマンは尊に向かって手のひらを向け、何かを撃つような体制を取り脅すように尊に話しかける。
「お前は分かっていない!俺達は帰れない!このままだと…俺達は良いように使われて殺されるぞ!俺は…俺は知っているんだ。テンプレすら知らないお前は俺に従っていればいいんだ!分かったか!?」
尊は両手を上げて刺激しないように一歩下り、首を横にふって拒絶を示した。
それを見たサラリーマンは顔を赤くし、アリスタリナに話しかける。
「姫さんはさ、話し合えば分かるって言ったよな?なら今すぐ俺達は帰れるのか?出来るものならやってみろ!」
「それは……」
アリスタリナはサラリーマンに返答できずにいると、サラリーマンは尊に従う様に声をかける。
「ほら出来ないだろ?どうせ魔王を倒せばとか言って、俺たちを使い捨ての駒にするつもりだぜ!?分かったか?今ならまだ助けてやれるんだぞ!?」
尊が返答を返す前にアリスタリナが答える。
「そのような事は決してお願いをするつもりはございません。お願いですから落ち着いて下さい。どうか話を聞いて下さい。どうか…」
「ふんっ!嫌だね、そっちの男はもう魅了済って事か…今度は俺が狙いか…」
どうにもアリスタリナの話を聞く耳を持たないサラリーマンは、OLにアイコンタクトを送るとOLは頷いてこちらに注意を向けながら、壁に空いた大穴に近付く。
「俺達は縛られない。自由に生きる!邪魔はさせない!!」
「ゴメンね、ハーレム作り終わって間に合えば助けるから!」
サラリーマンは尊に、OLは高校生達に向かい好き勝手に言い放ちながら透明な何かをまとい、これから魔法で何かをしようとしているのが明らかだった。
アリスタリナは必死に止めるべく近づこうとしたが鎧の兵が止め、他の兵も一度収めた剣をまた抜きいつ切りかかってくるか分からない状態になっていた。
尊はこの場をハチャメチャにした二人を逃さないように止めるべく近づこうとしたら、予想外の声が響いた。
「プリズムアタック!!」
それは先程魔法を試そうとした女子高生による尊への攻撃だった。
尊は警戒していなかった女子高生の魔力弾による攻撃を避けれるはずもなく、脇腹に直撃を受け前のめりに倒れ込む。
女子学生は更に容赦ない追撃を撃ちながら年長組に近寄る。
そしてそのまま追撃を尊のはずだったが、何故かいつの間にか尊の後ろにいた鎧の兵が、剣で尽く魔力弾を撃ち落とし尊を守った。
その間に女子高生は連れて行ってくほしいと二人に懇願し、OLとサラリーマンは頷き、脇を抱えられる女子高生。
強い風が3人を取り囲むように吹き荒れ、二人同時に呪文を口にする。
「フライ!!」「レビテーション!!」
そして…………
3人は天井に激突した。