光の先には…求めていたものがありました。
光と衝突し、意識を飛ばした尊はいつの間にか白い何も無い空間で横になっていた。
(なんか…フワフワ気持ちいい……ん?誰かが自分の頭を撫でている……?でも…とても優しい手つきで暖かい……)
そこは尊一人ではなくとても美しい女性が、尊を膝枕して頭を撫でていた。
それはまるで愛しい我が子をあやすかの様に。何度も何度も。
尊は今目を開けたら目が覚めて、いつもの日常に戻される様な気がして、そのまま寝たふりを続けた。
「あらあら…起きたかしら…?うふふ…甘えん坊ね」
女性の声を聞いた尊は、何故か無性に泣きたくなった。
初めて聴く声、だけど自分を包み込んでくれる様な淡い夢のような声。
それは小さい頃求めてやまなかった優しい声。
「泣かないで……もう大丈夫だからね……辛かったね…頑張ったね…」
その声を聞いた尊は涙か止まらなくなり手で顔を隠した。
女性は子供をあやすように背中を擦りながら頭を撫でくれた。
「これからは私がずっと見ているから、尊も勇気を出して人とぶつかって、人と関わろうとしてね……大丈夫…きっと貴方の思いは相手に届くから」
(嫌だ…ここに居たい…もう嫌なんだ…独りは嫌だ…)
「これからは独りじゃない…尊と一緒に居てくれる人が出会えるから…人を見限らないで…」
(嘘だ…そんな人はいない…いなかったんだ…これまでもこれからも……きっといないんだ)
「それは酷いわ…もう私がいるわ…だから信じて?」
そう言うと女性は尊を仰向けにし、尊の額に自分の額をつける。
(……信じていいのかな?その言葉を信じたい…誰かわからないけど…本当は俺は……誰かを信じたいんだ…)
「えぇ…信じて…私は嘘は言わないわ…だから覚えておいて私の名前は… …」
「私の愛しい子……もうそろそろ目覚める時間ね」
(…また逢えますか?)
「えぇ…きっと!必ずまた逢いましょう」
女性が額にキスをすると空間に光が満ちると、尊は幸福感に包まれながら目が覚めた。