聖女!? はぁ? 俺は男だぞ!!
やっぱり思いつきで書いてみた。ちょっと反省してる。
「いや! 止めて!!」
聖女様が魔物の触手に辱めを受けている。
触手の先端より謎の液体が流れだし、聖女様の服を溶かし始めた。
何故かそれ以外には影響が無いのはお約束である。
「だ、誰か…」
聖女の祈りは届か無かった…
・・・・
「はぁはぁはぁ…フヒヒ、プリシアたん、最高です。………うっ!」
お気に入りのエロゲでスッキリした俺は、賢者モードへと移行した。
「あぁ、何てこの世界は素晴らしいんだ。今ならどんな悪事でも許してしまいそうだ。」
俺がそんなことをつぶやいた瞬間頭の中に声が響いた。
(まぁ、なんて心が澄んだ素晴らしい人なのでしょう!)
「えっ?」
(そんな貴方ならきっとこの混沌な世界を救ってくれるでしょう!)
「はぁ? いや、ちょっと何の話?」
(貴方に『聖女』の称号を与えます。)
「ん? 聖女?」
【聖女の称号を習得しました。併せて聖魔法のスキルを習得しました。】
頭の中に声が聞えたと同時に一瞬体が光った気がした。
(それではこの世界を頼みましたよ。)
「ちょっとまて! 世界って何の話だ!!」
しかし、俺の言葉は空しく響いただけだった。
そして俺の賢者タイムは終了した。
「まあ良いか、違うエロゲで2回戦と行きますか!
次は女騎士とオークが良いかな。フヒヒ…」
俺は声のことを忘れて自家発電に励むのだった。
・・・・
チュン、チュン、チチチチ…
スズメの鳴き声で目が覚めた。朝チュンである。
目覚めたばかりの働かない頭で昨日のことを思い出す。
「そーいや、聖女がどうのとか言ってた様な? どういうことだ?
普通聖女って女と字が付いている通りに女がなるものだろ? 俺は男だぞ!
…はっ! もしかして!!」
俺は胸は…有る!! が、これは俺がデブだからだ。何時もの通りである。
股間には…こっちにもお世辞に大きいとは言えない慣れ親しんだマイサンが…(涙)
結局何も変わっていないみたいだ。…チッ!
「と言うことは、単なる俺の思い込みだったってことか。」
あー余りにも自虐的な妄想に落ち込むのだった。
「まあいいや、さっさと着替えて仕事にでも行くか。」
俺は立ちあがり、顔を洗うために洗面所へと向かう。
ガツン!
その途中で扉の出っ歯に足の小指を思いっきりぶつけてしまった。
「痛てえぇぇぇぇ~~~!!」
俺は小指を両手で包み込むように掴んで蹲った。ちなみに涙目であるが誰得である。
「朝っぱらからついてね~!! 痛みよ早く収まれ!!」
俺がそう叫ぶと、手のひらから暖かい何かを感じた気がした。そして小指の痛みが収まった。
「なっ!」
痛みが消えたことは勿論のこと、赤くなっていた指は何時もの指へと戻ったのだ。
「もしかして、これは本当に聖女になってしまったってことか!?
だったら、ステータス!!」
俺は叫んでみた……が何も起こらない。
「あれ? だったらステータスオープン!!」
やっぱり何も起きなかった。
「う~ん、気のせいだったのか?」
でも、やっぱり気になるので検証をしてみることにした。
針を使って指先に指してみる。
「痛っ!」
ぷく~っと血が出てきた。
俺は手で抑えて叫んでみた。
「治れ!」
叫ぶと同時に先ほどと同じ様な温かい何かを感じた。
血を拭ってみると、そこには傷一つ無い綺麗な肌が有った。
「まさか…本当に俺は聖女になってしまったのか!?」
とは言っても俺に何もすることは出来ない。宝の持ち腐れとはこのことである。
「まあいいか。」
とりあえず怪我した時に使う便利な能力とだけしておくことにした。
「おっと、余計な時間を使ってしまった。さっさと準備しないと遅刻しちゃうな。」
俺は急いで顔を洗って着替え、冷蔵庫の中の物を適当に腹に詰める。
髭を剃って歯を磨いてアパートを後にすることにした。
「いってきま~す。」
誰も居ないが何となく癖で行ってしまうのはご愛敬である。
俺は仕事に出かけた。
・・・・
ぐるるるっ!
「うっ、もしかして朝食べたのって痛んでたか?」
突然の腹の痛みに顔をしかめた。
「次の駅まで後5分か…早く着いてくれ~!」
俺は脂汗を流しながら必死に耐える。
しかし無慈悲にも電車は止まてしまった。
『この先の踏切内で故障車両が立ち往生しているため、電車を停止させて頂きました。
お急ぎの所申し訳有りませんが、安全が確保されるまで、もうしばらくお待ちください。』
「OH MY GOD!!」
何でこんな時に限って電車が止まるんだよ!!!
ぐるるるっ!
「はぅわ!」
再び腹痛の波が襲ってきた! もうヤバいかもしれない…
そんな限界ギリギリの所で天啓を得た気がした。
「そうだ、聖女の力でこの腹痛って治るんじゃね!?」
俺は腹に手を当てて祈ってみることにした。
「この腹痛を治してください!」
すると手から溢れる温かさを受け、俺の腹痛は収まった。
「おぉ!」
すっかりと落ち着いた腹を撫でて俺は気分が良くなった。
恐らく解毒効果も持って居たのだろう。さすがは聖女だ。
『ご乗車中のお客様に連絡です。
只今、踏切内の故障車両が撤去されましたので電車を発信致します。
ご迷惑をお掛けして申し訳有りませんでした。』
もう腹の問題は済んでしまったが、電車が動いてくれるのは良かった。
こうして俺は問題無く仕事に向かうことが出来た。
・・・・
「終わった~!」
刺身の上にタンポポを乗せる仕事を終わらせた俺は帰ることにした。
「木村~、一緒に飲みに行かないか?」
同僚の佐々木さんが声を掛けてきた。
「いいっすね、奢りですか?」
「馬鹿言うんじゃねーよ。割り勘だよ、割り勘!」
「うぃーっす。お供します~」
ま、たまには良いか。
俺は飲みに行くことにした。
・・・・
酔っぱらった佐々木さんが聞いてきた。
「で、木村って童貞なの?」
「どどどどどど、童貞ちゃうわ!!」
「その慌て方が童貞なんだよ。
そっか、童貞か…だったら今から風俗行くか?」
「ふ、風俗っすか?」
俺は勿論風俗も未経験だ。
「でも、風俗って高いっすよね? 俺そんなお金なんか無いっすよ?」
「そうだなぁ~、よし! 今日は初体験の記念だ。俺が出してやる!!」
「マジっすか! 俺佐々木さんに一生付いてきます!!」
「そうかそうか、なら行くぞ~!!」
「おー!!」
俺は佐々木さんと一緒に夜の街へと消えていくのだった。
・・・・
「ふぅ~えがった~!!」
「そうかそうか。これで木村も音の仲間入りだな!」
「うす!」
「じゃあ俺は帰るわ、また明日な。」
「ありがとうございました!!」
俺は大人になった。童貞を捨てた相手が俺と同じデブでおばさんだったとしても捨てたのには間違いない。
しかし、佐々木さんがデブ専だったとは驚きだ。付き合わされたこっちの身も考えて欲しかった…まぁ、タダだったから文句を言うつもりは無いけどさ。
「…もしかして俺も狙われている!? まさかね…」
おれはブルリと体を震わせるのだった。
「帰ろうっと。」
俺は家に帰ることにした。
「ただいま~」
相変わらず誰も居ない部屋に向かって声を掛ける。
「ま、返事なんか無いんだけどね。」
酔っぱらった足取りで部屋の電気スイッチを探す。
ガンッ!
「痛でぇ!」
冷蔵庫の角に小指をぶつけてしまった。
酒が入っていると言っても痛い物は痛いのだ。
「でも、俺には聖女の力が有るから平気だもんね~」
俺は鼻歌交じりに小指に手を当てて、
「治れ!………あれ?」
小指はジンジンと痛み続けている。
もう一度声を掛けてみる。
「痛みよ無くなれ!」
しかし小指は痛いままだった。
「あれ? 治らない!?」
もしかして、今まで治っていたと勘違いしていたのだろうか?
いや、あれは確かに治っていたハズだ。電車の腹痛もそうだ。
だったら何で今は治らないんだ!?
「ん?」
俺はふと、嫌な予感が頭を過った。
よく有りがちな聖女って清らかで生娘がなるパターンが多いよな。
ゴブリンに奪われたり、盗賊に襲われたり、PTの男性と結ばれて処女じゃ無くなった時点でその資格が無くなったって聖女も居た。
俺は処女では無いが、童貞だった。でも、さっきそれを卒業したばかりだ。
「まさか!?」
俺は聖女としての資格を失ったってことか!?
デブでおばさんで失ってしまったって何の冗談だ?
素人童貞では駄目でなんですか?
俺は必死に小指に手を当てて叫んだ!
「治れ! 治れ! 治れえええぇぇぇぇぇぇ~~~~!!」
でも、やっぱり小指の痛みは引かなかった。
どうやら聖女としての力は無くなってしまったみたいだ。
「なんてこった…」
こうして俺は聖女としての何の役割も果たせず何時もの生活に戻るのだった。
おしまい。
だから何? って言われると困る(汗)
テンション上がって書きたくなったから書いただけさ。
正直、自分でも下らないと思ってます。はい。