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66話 生徒会長選挙①

 昼休みが終わると浩平が光輝の席へと歩いてくる。



「光輝には伝えておこうと思ってね……今回の生徒会長選挙に俺は出馬することに決めた」



 生徒会長になれば責任も多く圧しかかるが、生徒会長権限も大きい。

校則も必要であれば、変更できるだけの権限がある。

もちろん、教師達の賛同がなければいけないが。



「俺はこの三雲高校をもっと進学校にしていくつもりだ。校則も今の緩い校則ではなく、もっと厳しいものに変更していきたいと思っている……そのほうが皆のためだ」


「別に俺は今のままの三雲高校でいい。平和で穏やかで、校則もゆるやかだが、皆、校則を守って穏やかに授業を受けている。これでいいじゃないか」


「三雲高校を進学校にすれば、それを率いた生徒会が評価を受ける。校則をキツクしても、進学校になれば、皆も納得して生徒会についてくるはずだ。もし校則違反者が出れば厳重な罰則にすればいい」


「そんな高校を誰も望んでいない。だれも浩平の案には乗ってこない。それだけは忠告しておく」



 校則を厳しくして喜ぶ生徒など1人もいない。

三雲高校はこの区域では進学校で名が通っている。これ以上の名声はいらない。

他の生徒達も、色々な意見はあると思うが、光輝に似た意見が多いだろう。



「この三雲高校を変えて見せる。そしてそれを牽引するのは生徒会であり、生徒会長の僕だ。」



 そして、学校の内部評価をもらえるのも浩平ということか。

内部評価が良ければ、推薦枠で大学へ推薦してもらうこともできる。

他人のことを気配っているようで、浩平は常に自分の利益のことしか考えていない。

そういう者に生徒会長になってほしくはない。


しかし、生徒会長に立候補するのは、三雲高校の学生であれば自由だ。

浩平を止めることなど光輝にはできない。

それに光輝が対抗馬として生徒会長選挙に立候補するつもりもない。

他のクラスで、浩平に対抗する生徒が立候補してくれれば良いのだが。



「光輝には俺の応援を頼もうと思っていたが、意見が違うようだ。他の者に頼む。光輝は静かに見ていればいい」


「今回はそうさせてもらう。浩平の意見には反対だ。だから他の立候補者に票を入れることを言っておく」



 浩平は光輝を睨みつける。

光輝もジッと浩平を見つめる。



「僕が生徒会長になったら、学校内の風紀を正すため、カップルの過度な接近は禁止という校則を作ろう。そうすれば、ひまりと光輝も、いつも一緒にいられないからな」


「いやがらせをするなら生徒会長になってからにしろ。まだ選挙も始まっていないぞ」


「僕は必ず当選をする」



 そう宣言をして浩平は光輝の席から去っていった。



「すっごく感じ悪いし……浩平の本当の性格を知ったら、皆、嫌がると思うし」



 ひまりが隣で浩平の文句をいう。

浩平はクラスの為と言って、今までクラスに貢献することで、自分の評価をあげてきた。

そのことで、クラス内での浩平の評価は高い。

イケメンということもあって女子の支持者も多く集めている。

A組内であれば、選挙で浩平が当選するだろう。

しかし、今回は三雲高校の1年生と2年生の学生全員が対象となる。

クラスを騙すように、浩平も簡単にはいかないはずだ。


 光輝の前の席に座っていた雄太が立ち上がる。



「俺も浩平の考え方には反対だ。これ以上、校則を厳しくされてたまるか。他のクラスで、誰か生徒会長に立候補する生徒がいないか確かめてくるぜ」


「俺も一緒に行くから待ってくれ」



 武彦も席を立って雄太と一緒に教室から飛び出していった。



「私も女子の中に生徒会長に立候補しそうな女子がいるか聞いてくる……このまま浩平に生徒会長になってほしくないし」



 そう言って、ひまりも席を立つと、渚の席まで行き、一緒に教室を出ていった。

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