43話 光輝の答え
「せっかくスーパーの近くに来たんだ。スーパーに寄って夕飯の食材を買おう」
「うん……今日は私が美味しい手料理を料理を作るね」
ひまりはお嬢様だが、料理長と家政婦さんから、料理を教えてもらっているから上手だ。
今夜の夕飯は期待できそうだ。
カートにカゴを乗せて、2人でスーパーの中を回る。
今日は肉料理らしく、ひまりは高級そうな牛肉のパックをカゴに入れていく。
財布の中身が足りるか心配だ。
全ての食材を買い終わって、レジへ行き、支払いの金額を見て、光輝は驚く。
光輝の1日の予算を大きく上回っている。
財布の中にも、それだけの金額は入っていない。
すると隣にいたひまりが当たり前な顔をして黒いカードをレジの店員に渡す。
「支払いはクレジットで」
これが噂に聞くブラックカードか。
初めて、本物を見た。
レジで暗証番号を打ち込んで、支払いを済ませる。
そして、テーブルへ移動して、カゴに入っている商品を袋に入れる。
「そのカードはどうした?」
「光輝と暮らすようになったら、必要だろうって、お父様がカードを渡してくれたの。家族カードだから、支払いはお父様がしてくれるって」
光輝は全身に冷や汗が流れるのを感じる。
やはり、ひまりはお嬢様だった。
このままでは、一般人の感覚とかけ離れてしまう。
「ひまりのお父さんの気持ちは大変ありがたいんだけど……これからは、必要な時以外はクレジットカードは使わないようにしよう。贅沢が身についてもダメだから」
「光輝がそういうなら、このクレジットカードは光輝に預けておく」
ひまりは、自分の財布からクレジットカードを出すと、光輝に預けた。
光輝は自分の財布の中へクレジットカードを入れる。
家に帰ったら、仏壇の引き出しにでも、クレジットカードは隠しておこう。
スーパーを出ると、ひまりが袋からコーラを2本取り出して、1本を光輝に渡す。
「私……シュワシュワが好きなの」
「シュワシュワ? 炭酸のことか?」
「そう……だからコーラも好きなの」
そう言ってコーラのペットボトルのフタを開けてコーラを少しだけ飲む。
「コーラって、いっぱい飲むとゲップが出るから嫌い……」
「コーラは炭酸がキツイからな。ゲップ出ても仕方ない」
「ゲップはダメなんだよ……下品だから」
そう言われると、光輝はコーラを飲むことをためらう。
光輝もコーラは大好きだが、必ずゲップが出てしまう。
確かにゲップは下品と言われているが、コーラのゲップだけは許してほしい。
光輝はコーラのペットボトルのフタを取って、少しずつコーラを飲む。
できることならゴクゴクと飲んでしまいたい。
「光輝は自由に飲んでいいからね。男子だし……光輝のゲップなら大丈夫だから」
その言葉を聞いて、光輝はゴクゴクと喉を鳴らしてコーラを飲む。
「やっぱり一気に飲んだほうが美味い……ゲフッ……ごめん」
「光輝のゲップ……可愛い」
ゲップに可愛いなどあるのだろうか。
ひまりが上機嫌なら、それでいいけれど。
スーパーからの帰りは荷物を両手で1つづつ持っているので、光輝の両手はふさがっている。
ひまりは光輝の腕に、自分の腕を絡めて寄り添ってくる。
さっきまで光輝を避けていたのが嘘のようだ。
「光輝に確認なんだけど……私達、同棲することになったのよね?」
「ああ……そうだ。これからは同棲することになった」
「もう、光輝と付き合ってると思っていいのよね?」
同棲までしておいて、付き合っていないと言って、どれだけの人が納得してくれるだろうか。
誰1人として納得して、理解してくれる人はいないだろう。
これはもう、現実を受け入れるしかない。
「そうだな……俺達はもう同棲してるんだし、ひまり……俺達、付き合おうか」
「ヤッター! やっと光輝と付き合うことができる。やっと光輝の彼女になれた……嬉しい」
「でも学校では、あまり言わないでくれ。学校中が大騒ぎになるし……恥ずかしいから」
「ヤダもん。彼女になったことは皆に公表するし……せっかく彼女になったんだから、隠さないし」
これで明日からの学校は大騒ぎになるだろう。
これで同棲がバレたら大変だ。
ひまりのファンから本気で刺されかねない。
「ひまり……俺とのことは彼氏と言ってもいい。ただ同棲のことだけは絶対に誰にも言わないでくれ。渚や雄太、武彦にも秘密だぞ。学校に知れたら、大変なことになるからな」
「わかった……同棲のことだけは絶対に言わないし……任せておいて」
非常に不安だ。
渚だけには、俺から少し話しておいたほうがいいかもしれない。
渚はしっかりしているし、頼りになる。
ひまりの扱いも上手い。
アパートに着くと、ひまりが嬉しそうに合い鍵で玄関の鍵を開けて、家の中へと入っていく。
そして、エプロン姿になって、夕飯の準備を始めた。
渚が包丁を砥いでくれてから、光輝の家の包丁の切れ味が増した。
夕暮れになり、ダイニングのテーブルの上にガスコンロが置かれる。
今日はすき焼きのようだ。すき焼き鍋がコンロの上に置かれ、肉が焼かれていく。
肉がタレとからまって、すごく美味しそうな匂いが漂ってくる。
「光輝……夕飯の準備ができたから、椅子に座って」
光輝は自室のベッドに寝転んでいたが、ひまりに呼ばれて、ダイニングのテーブルの椅子に座る。
光輝の前には卵が溶かれて、箸と一緒に置かれている。
「「いただきまーす」」
肉を卵に浸けて、一気に口の中へ入れる。
口の中へ入れた途端、肉が溶けて消えた。
こんな肉、食べたことがない。
「美味い。こんな肉、食べたことないぞ」
「私の家では普通だよ」
さすがひまりはお嬢様なだけのことはある。
いつも、こんな美味しい夕飯を食べているなんて、なんて贅沢なんだ。
「光輝と一緒に食べる夕飯は美味しいー」
「俺も最高に美味しい。料理を作ってくれてありがとう」
「まだまだ、お肉は沢山あるからね」
ひまりと楽しい会話をしながら、2人で夕食のすき焼きを楽しんだ。
そして片づけを終えて、2人でダイニングで楽しく過ごす。
ひまりが少し顔を赤らめて上目遣いでウルウルと光輝を見つめてくる。
「今日のお風呂どうしよう? 一緒に入る?」
「そんなことできるはずないだろう! ひまりから先に入ればいいよ!」
そういえば、風呂のことをすっかりと忘れていた。
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