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22話 お泊り会、次の日の朝

 光輝の頭を包みこむように柔らかい感触が体を包み込む。

とても良い香りがして、とても落ち着く。

その柔らかい何かに手を伸ばして、ギュッと抱き寄せる。

とても抱き心地がいい。

顔が2つの柔らかい双丘に挟まれる。

とても暖かくて、スベスベしていて……


 そこで光輝はハッと気がつき、抱いているモノから手を離す。

そして目を開けると、ひまりの瞳が目の前にあった。



「あん……もっと甘えていてもいいんだよ……もっとギュッとしていいんだよ」



 自分がしてしまったことに気づいて、光輝は顔を赤らめて、顔を背ける。



「寝ている間に、ベッドの中に入ってくるなんてダメだぞ」


「だって、早く目が覚めちゃったんだもん」



 頭をあげて、部屋を見回すと、雄太と武彦はまだ布団に包まって眠りについている。

こんな2人で抱き合っている姿を見られなくて良かった。

雄太と武彦が起き出す前に、起きたほうが良さそうだ。


 ベッドからそっと起きあがり、ひまりと手をつないで部屋から抜け出す。

すると、渚がテーブルに座って、ニッコリと微笑んで紅茶を飲んでいる。



「ひまり……どっきり作戦はどうだった? 光輝は優しくしてくれたかな?」


「うん。優しくギュって抱きしめてくれたよ。作戦大成功」



 ひまりだけの計画ではなかったのか。

渚まで悪乗りしているようだ。



「そう……良かったわね。光輝……ひまりを抱きしめた感触はどうだった? 気持ち良かった?」


「……」


「これでひまりを振ったら、学校中にひまりをベッドで抱っこしたことを噂にしちゃうわよ」



 それが狙いか。

段々とひまりのことを避けられなくなっているような気がする。

まだ付き合っていないのに既成事実だけが積み重なっていく。


 渚は既にネグリジェ姿から着替えて、首回りが広く開いたオフショルのニットにデニムという服装を着ている。

スタイルが良いので、まるでモデルのような着こなしだ。


 ひまりは体のラインが強調された薄ピンク色のネグリジェを着ている。

ひまりの豊満な胸が強調されて、目のやり場に困る。



「ひまり……早く着替えてきてくれ……見ていて恥ずかしい」


「恥ずかしがってる光輝も可愛い……でも、私も恥ずかしいから着替えてくるね」



 ひまりは少し顔をピンク色に染めて、隣の部屋へ入っていった。

これで、やっと落ち着いて紅茶が飲める。

テーブルの椅子に座って、渚が淹れてくれた紅茶を飲む。



「思っていたよりも女子って積極的なんだな」


「今の男子が行動的じゃないから、女子から積極的にいくしかないじゃない。ひまりは積極的な性格だし」


「もう少し刺激を抑えてくれたら、嬉しいんだけど」


「光輝のほうから積極的になったら、ひまりも嬉しくて大人しくなるわ」



 女子の気持ちがわからない。

今まで女子とまともな会話をあまりしたこともないので、女子の心理がわからなくても当たり前なんだけど。



「渚も好きな男子ができたら積極的になるのか?」


「ひまりほど積極的には動かないわね。私は待つタイプの女子だから」


「それじゃあ、男子が積極的にしないと、渚とは付き合えないんだな?」


「さあ、どうかしら? ご想像にお任せします」



 そう言って、渚は上品に微笑む。

おっとりとしていて、清楚な雰囲気の渚は待つタイプの女子なのか。

性格やタイプによって女子も色々とあるようだ。

それは男子も同じだけど。


 ひまりが着替えて部屋を出てきた。

オレンジのニットに花柄のスカートを履いている。

とてもよく似合っている。

ひまりは嬉しそうに光輝の隣に座って、紅茶を飲む。


 窓から朝日の陽光が差し込んで、2人の美少女の髪をキラキラと輝かせる。

なんとも贅沢な朝だろう。

雄太と武彦にも見せてやりたいと思った。

しかし、あの2人を起こすと、また騒ぎになるからやめておく。



「まだ、光輝と出会ってから1カ月も経っていないのに、もう何年も経っている友達のように思えるわ」


「私なんて、1年の時から光輝のことを知ってたんだから。やっと友達になれて、すごく嬉しい」



 渚は紅茶を飲みながらリラックスしている。

ひまりもリラックスした雰囲気で、とても嬉しそうに光輝に微笑む。



「なぜ……ひまりは1年の時から、俺みたいな影の薄い男子のことを知ってたんだ?」


「ちょっと気になって……気が付いたら、いつも目で追いかけるようになってたの。その時は気づかなかったけど……段々と光輝に惹かれて……いつの間にか大好きになってた」



 ひまりは何が気になったんだろう。

少し、そのことは気になるが、ひまりが話したい時に聞けばいい。



「光輝って不思議よね。影が薄いって言われているのに、そこにいるだけで場が落ち着く感じがするの。だから安心して雄太も武彦も周りで騒いでいられるんだと思うわ」


「雄太と武彦も、とても光輝と仲が良いもんね。性格はバラバラなのに、とてもバランスが取れてるみたいで、私は雄太と武彦も大好きだよ……だって光輝の友達だもん」


「そうね。私も雄太と武彦と友達になれて良かったと思ってるわ」



 渚の中では雄太も武彦も高評価のようだ。

2人が聞いたら、すごく喜ぶんだろう。

後から雄太と武彦に教えてやろう。



「今日は何時頃に帰る予定なんだ?」


「結局、宿題していないし、予習も復習もしていないから、私は早めに帰ろうと思っているわ」


「私は光輝ともう少しだけ一緒にいたいかな。もっと光輝と仲良くなりたいし」


「そうか……後は寝ている2人がどうするかだな」



 光輝とひまりと渚は朝の陽光の中を楽しみながら、ゆっくりと眠っている雄太と武彦が起きてくるのを待つ。

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