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21話 お泊り会の夜

 ひまりと渚が風呂へ入ってドアを閉めた音がした。

雄太と武彦は、ドアの音が聞こえないようにして、そっと部屋から抜け出す。

光輝も仕方なく、後ろから付き合う。

2人が変なことをすれば止めなくてはならない。


 ダイニングには2人が脱いだ服がきちんと畳まれている。

雄太と武彦はその服をジッと見ている。



「さすがに、その服に触れるのはマズイから、やめておけ」


「今まで2人が来ていた服だぞ……興奮するだろう」


「興奮するのは勝手だが、絶対に触るな。触るとひまりと渚に言うからな」


「光輝の裏切り者」



 しかし、誰かが止めなければ、女子2人に見つかった時に大惨事になる。

雄太と武彦は、光輝だけ良い子ぶっているのが気に入らないようだ。


 そんな時に、風呂場から声が漏れて、聞こえてきた。



「ひまり……また胸が育ったんじゃない? 今のブラで入るの?」


「うん……まだ大丈夫かな。渚こそ、胸が大きくなったような気がする」


「そうなのよ……今のブラだと少しキツクなったから、今度、買い直そうと思ってるの」



 生々しい女子2人の会話に、しっかりと聞き耳をたてる男子3人。

それぞれに自分の口を両手で押さえている。



「渚は腰が細くていいな。私も、もう少し腰が細くなりたい」


「ひまりって、着やせするタイプだものね。今でも腰は細いわよ。気にしすぎよ」



 シャワーの音に交じって、女子2人の秘密の会話が続く。

男子3名は、耳を大きくして、顔を赤らめて、ダイニングで固まっている。


 この状態はマズイ。

会話を聞かれていることをひまりと渚が知れば、絶対に怒られる。

光輝は雄太と武彦の腕を引っ張って、自分の部屋へと戻る。


 光輝の部屋に入ると、3人で深呼吸をして気持ちを落ち着ける。



「おい……聞いたか。ひまりの胸って今でも大きいのに、今も育ってるだってよ」


「渚もそれなりに大きいのに、今度ブラを大きいサイズに変えるってさ」



 雄太と武彦は大興奮でガッツポーズを繰り返している。

光輝はそれを聞いて恥ずかしくなって、顔を赤くする。


 ひまりが着やせするタイプとは知らなかった。

光輝はひまりのことで頭がいっぱいになった。


 女子2人は1時間ほど風呂に入っていたが、やっと風呂から出てきたようだ。



「お風呂から出たわよ。次の人、入ってね」



 武彦と雄太が真剣にじゃんけんを始めた。



「何をしてるんだ?」


「女子2人が入った後のお湯だぞ。こんな貴重なお湯はない。次に入る者を決めているんだ。光輝は自分の家だから一番最後な。これで後は雄太との勝負だけだ」


「武彦に譲らねー」



 2人は真剣にじゃんけんを始めた。3回あいこになり、4回目に雄太がパーを出して勝った。



「ウォオッシャァアア―――」



 雄太が勝利の雄たけびをあげる。



「そういえば……お風呂のお湯は入れなおしておいたからね」



 渚の声がドア越しに聞こえる。

雄太は勝利の雄たけびの姿のまま固まった。

武彦は声を忍ばせて、大笑いをしている。


 男子3人で一緒に風呂に入るなんてイヤに決まっている。

それから雄太、武彦、光輝の順で風呂に入った。


 風呂から上がって、光輝の部屋で3人でくつろいでいると、渚とひまりが麦茶を持って部屋へやって来た。

ひまりは薄ピンク色のネグリジェの上にピンク色のカーディガンを着ている。

渚は白のネグリジェで、首回りが大きく開いている。

ネグリジェの上には青色のカーディガンを羽織っている。


 カーディガンを着ているとはいえ、着ている服はネグリジェだ。

高校2年の男子にとって刺激が強すぎる。

とてもセクシーだ。


 男子3名はひまりと渚の姿を見て、顔を赤くして俯くしかなかった。

その前にコップが並べられ、麦茶が注がれる。

急に喉がカラカラに乾いていたので、一気に麦茶を飲みほす。

光輝が勇気を出して指摘する。



「あのさ……ひまりも渚も、ネグリジェは刺激が強すぎるよ。とても似合ってるんだけどさ……見るのが恥ずかしいよ」


「やったー! 作戦大成功! 光輝が私のことを意識してくれるよ! 嬉しい!」



 ひまりはすごく嬉しそうな笑顔で光輝に近寄ってくる。

光輝は緊張のあまり、後ずさる。



「そうね……良かったわね、ひまり。そう言われると私は少し恥ずかしいかも……」



 渚は恥ずかしくなったのか、カーディガンをきちんと来て、ボタンをきっちりとはめる。



「それじゃあ、私達は少し早いけど、隣の部屋で寝かしてもらうわね」


「おやすみ光輝……部屋へ来てくれてもいいんだよ」


「何を言ってるんだ……大人しく早く寝ろ」



 渚とひまりは手を振って隣の部屋へと戻っていった。

2人が部屋から出て行った瞬間に、雄太と武彦が抱き合って喜んでいる。



「おい……ネグリジェだぞ。俺、初めて見た。スゲー……セクシー」



「胸なんて、2人共大きくて、腰が細くて……スタイル抜群だったな。目に焼き付けておこう」



 確かにひまりの胸は大きかった。

それにすごくスタイルが良かったな。

光輝の心の中の1ページにひまりのネグリジェ姿が記録された。



「俺達もそろそろ寝るか」



 電気のスイッチを切って電灯を消す。

雄太と武彦は布団を2つ敷いて、布団の中に体を入れる。

光輝は自分のベッドに横になった。



「今のネグリジェ姿が焼き付いて、眠れねーよ」


「俺もそうだ」



 雄太と武彦がまだ布団の中で騒いでいる。

今日は1日、騒がしい1日だったが、楽しい1日だった。

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