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20話 お泊り会の夕食

 夕陽になる頃、やっとひまりが目覚めて、部屋から出てきた。

皆を前にして、顔を赤くして、俯いている。



「皆……ごめんなさい……私、あの手のゲームをするとパニックを起こす癖があって……本当にごめん」


「誰にでも苦手なもんはあるよ……そんなに気にすることないって、俺達も気にしてないからさ」



 武彦が場を明るくしようと、陽気な声でひまりを慰める。



「そうだぜ……誰にだって苦手はあるからよ……俺なんてクイズのゲームは絶対に無理だからな」



 雄太もひまりを励ます。

その言葉を聞いて、ひまりは涙をためて、光輝の胸に抱き着いてくる。

光輝はひまりを抱きしめて、優しく髪をなでる。



「誰も怒ってなんかいないぞ。皆、ひまりの心配をしていたくらいだ。だから安心していい」


「うん……ありがとう……渚もごめんね」


「もう、無茶はダメよ」


「うん……」



 渚はひまりに近寄ると、まるでお姉さんのようにひまりの頭をなでる。

こうしてみるとタイプの違う美少女姉妹のようだ。

もちろん、ひまりが妹のように見える。



「それじゃあ……夕飯は唐揚げだから、今から下準備をしましょう。ひまり手伝ってね」


「わかった……みんなに美味しい唐揚げを食べてもらう」



 2人はエプロンをしてキッチンに立って、唐揚げの下準備に入った。

男子3名は、テーブルに座って、ひまりと渚の後ろ姿に見惚れている。



「やっぱり女子のエプロン姿ってグッとくるよな」


「2人共にスタイルが良いから、エプロン姿も画になるな」



 雄太と武彦はヒソヒソとそんな会話を交わしている。

光輝も同じ意見だったが、ひまりと渚に声が聞こえていると思い、何も言わないことにした。



「聞こえてるわよ……2人共。スタイルを褒めてくれてありがとう。でもスケベな目では見ないでね」



 渚が優しい声色で雄太と武彦をたしなめる。

2人は急いで自分の口を両手で押さえている。

そんなことをしても、もう遅いと思うぞ。


 下準備を終えた2人がエプロン姿のまま、紅茶の用意をして、皆に紅茶をふるまう。

 そして自分達2人もテーブルの椅子に座る。

渚は紅茶が好きなようだ。


 唐揚げの鶏肉に味がしみ込むまでの間、皆で紅茶を飲んで、雑談を楽しんだ。







 テーブルの上には、唐揚げ、ポテトサラダ、コンソメスープ、ご飯が並んでいる。

料理を見た途端に空腹を感じる。



「「「「「いただきまーす」」」」」



 唐揚げを口に中へ入れると、肉が柔らかくて、肉汁がジュワッと口の中に広がって、とてもジューシーで美味しい。

ポテトサラダも、程よく甘くて、口の中で溶けていく。

ひまりは毎日、家政婦に食事を作ってもらっていると聞いたが、料理上手のようだ。

渚も料理をしている姿は手慣れている。



「スゲー美味い」


「唐揚げ、最高」



 雄太と武彦が、唐揚げを食べる度に大絶賛をしている。

確かに絶賛するほどに料理が美味い。

光輝も箸が止まらない。



「ひまりは料理は家政婦さんに教えてもらったのか?」


「そうだよ。それと料理長さんかな」



 料理長までいるのか、ひまりの家はどれだけ金持ちなんだ。



「渚もすごく料理が上手いな。母親から習ったのか?」


「私の家は2人共、仕事で海外赴任しているの。だから自分で自炊しないといけないの。毎日作っている間に、料理が上手くなったわ。いつも1人で食べているから、皆と一緒に食べる料理って、本当に美味しいわね」



 渚のご両親は海外赴任しているのか。

毎日、1人で自炊しても、あまり美味しくないよな。

やっぱり、皆で食べる食事が一番、美味しいような気がする。



「今日は、皆と一緒に食事ができると思って、楽しみに来たの。いつもよりも美味しく作ったつもり。お替りは沢山あるから、沢山食べてね」



 男子3名は、お茶碗を渡して、ご飯のお替りをもらって、大量にあった唐揚げを平らげていく。

ポテトサラダは既に空になっている。

ひまりはコンソメスープを注いでくれる。


 あっという間に、全ての唐揚げを食べ尽くして、夕飯は終わった。

男子3名は、椅子に座ったまま、お腹をなでて、満足な顔をしている。

その顔を見てひまりと渚も嬉しそうだ。


 こんな美味しい食事をさせてもらったのだから、少しはお返しをしたい。

昼食の片付けと同じ要領で、男子3名で夕飯の片付けをしていく。

ひまりは光輝と一緒に食器を片付けてくれる。


 その間に渚が風呂場に入って、風呂の湯を貯め始めた。



「食事も食べたし……今日も少し肌がベタベタするから、女子から先にお風呂に入ってもいいかしら?」


「ああ……そうだな。風呂ぐらい最初のきれいな湯に入ってくれ」


「それじゃあ、お風呂に入る準備をするから、男子は光輝の部屋に入っていて。ダイニングだと見られちゃうでしょう」



 片づけを終えた男子3名は、渚に言われた通りに光輝の部屋へと入っていく。

光輝の部屋へ入った雄太と武彦がガッツポーズをしている。



「これから、ひまりと渚が風呂だってさ。これはチャンスが来たに違いない」



 雄太と武彦がヒソヒソと相談を始めた。

光輝は思わず、2人の顔を見て呆れ顔になって、天井を見つめた。

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