第八話「捜索と先祖」
翌日の放課後、あの一件以来ユネ、マコト、セン、アキラはよく集まって話すようになっていた。今日も彼らは集まって、雑談をしている。そこで、ユネは問いかける事にした。
「ねえ、みんなに聞きたいことがあるの。聞いてくれるかしら?」
「うん、いいよ。」
「この前の小説の事か?」
「いえ、違うわ。」
一呼吸置いて彼女は真剣な声色で言葉を放つ。
「私達のこの物語を書いている人って、誰だと思う?」
きっと理解してもらえないかもしれない。そう思いながら、恐る恐る音にしたのだ。その音を聞いた彼らは真剣な顔つきで悩みだす。たった一人を除いて。
「…おもしろい考えだねえ。」
声の主はセンだった。にやりと笑って、ユネを見つめている。
「僕は神だと思う。だってそうだろう?僕らの人生からこれからの生き方だって、決められるとしたら神しかいないんじゃないかなあ。」
確かにそうかもしれない。だが、ユネにはしっくり来ない。彼女が求めている答えはそれではないのだ。
「なら、もしその神までもが、物語の一部だとしたら?」
そう問うと、センは顔を背ける。
「私達からしたら、生身の人間ではあるのに、もしもこの一連の流れが作られているのならば、私達の続くはずの未来は、どうなってしまうの?」
その問いに全員が黙る。
「…私達の物語は、終わってしまうのかしら。」
「…そうだ。」
アキラが思いついたように声をかける。
「もしかしたら、俺の先祖の遺した本を読めば、何かわかるかも知れねえ。」
「アキラの先祖って、誰なの?」
アキラは一瞬躊躇したようだったが、すぐに答えた。
「本郷谷アヤ。日本が誇る、大作家だ。」
本郷谷アヤ。その名を聞いてユネははっきりと理解した。アキラの苗字を聞いた時に引っかかっていたものの正体は、歴史的大作家の本郷谷という苗字だったのだ。
「君がその子孫だったのか。」
「ああ。あまり広まると面倒だから黙っていたがな。」
「それじゃあ、その本郷谷アヤの本を読めばいいのかな?」
「だと思う。ちょっと調べてくる。」
「ええ、ありがとう。各自でも調べてみましょう。」
「ああ、賛成するよ。」
「うん、また明日!」
彼らは、それぞれの家路へついていった。
帰宅したアキラは、早速本郷谷アヤの書斎を漁っていた。その最中、気になるものを見つけた。
「なんだこの封筒…?」
本郷谷アヤ宛の封筒だった。封筒の中身を取り出してみると、家系図が入っていた。本郷谷家の家系図が彼の両親の世代まで書かれている。そして、アキラは今まで自分が想像もしなかった事実を知った。
「…あいつらに見せねえと。」
アキラは本を探すのも忘れて、ユネ、マコト、センに連絡を取った。
その頃、マコトは古本屋で本郷谷アヤの書籍を探していた。その中で、ひとつの本を見つける。
「作られた物語の結末を…」
非常に気になる題名だった。彼女はその本を購入し、家へ持ち帰って早速読み耽るのだった。




