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私は私の家の芝生しか踏めない

作者: 荒方義信

最近子供の教育に力を入れているので

自分の子供時代を少し振り返ってみようと思う


私が生まれたのは一般家庭からみると裕福な家だった

田舎だが、使用人を雇うような邸宅だ。

父も母も私に必要な教育には熱心で習い事も多く、跡取り息子として大切に育てられ、家の敷地から出る事は特別な時以外無かった。


秋も深まる昼下がり、いつもの休憩スポットである窓際で物思いにふけっていたはずだったが、いつのまにか眠ってしまっていたらしい。起き上がってみると、門の外に同い年くらいの男の子がうちを覗き込んでいるのが見えた。

この大きい家が気になるんだなと思ったと同時に、

自分はあの子の暮らしが気になった。

この時期果実の栽培が盛んなこの地域では、子供達も家の仕事を手伝ったり、ひょっとすると柿泥棒なんかを友達としたりするのだろうか。思えば家の外の事なんて殆ど私は知らないままだ。その時私の頭を埋め尽くしたのは、いつか本で読んだ「隣の芝生は青い」という表現だった。

私は外への好奇心と押し込められたよくわからない感情で一杯になった。今まで高く見えていた私の家の塀は随分と低く感じられ、外へ抜け出すのは思った以上に簡単だった。

しかし、いきなり得られた解放感は結果的に言えば私を縛り付けた。私には到底扱いきれない大きさだったのだ。農家に置いてある道具はどれも魅力的で私の興味を惹きつけ、楽しませてくれた。だから、遊んでいるうちにうっかりレバーを壊してしまった時は酷く焦ったと思う。この感情の落差は私に落ち着いた判断を許さなかった。無我夢中で家に戻るとすぐさまベッドに潜った。それしか私に選択肢は無かった。


そこから何の変化もなくいつもの生活を続けた。

最初は何も起きない事に安堵したが、そのうち何もない事へ焦りに似た感情を持ち始めた。とてつもない後悔にも襲われた。そしてとうとう自分から罪を告白する決断をしたのは、あの日から1週間経った後だった


私はまず、両親に報告する事にした。

両親に罪を告白すればこの苦しみから救ってもらえると思ったからだ。父は「そうか、わかった」とだけ言うと使用人に指示を出してお金を持たせた。

そして私に「また何かあったら言え」と言った。

告白が簡単に終わってしまった事に違和感を覚えたが

その後の生活の中でそんなものはどうでもよくなった。前に感じていた外への憧れは無くなった。

私が欲しかったのは「解決」じゃなく、もっと別の「何か」だったはずだが。今になってもその時感じた「違和感」と「何か」の正体はわかっていない。

記念すべき1本目を投稿することができて嬉しく思っています! 今回はあまり長くし過ぎないように思いついた案を削って物語を書いたのですが、展開が早すぎになってしまいましたね笑(しかも短くしたのに1000字近い)荒い作品ですが色々と表現に気を遣って書いたのでちょっとしたことでも感想お待ちしておりますm(._.)m

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