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元男と親友と

作者: 牡蠣のたね

僕は涼風 鈴。前世では大学生で男だった。今はか弱い女子高生だけど。


え?僕の男の時の死因や名前だって?

そんなことはいいだろ。もう死んだことだ。


僕は今、高校で出会った相沢 拓人の家に泊まりにきている。高校生なのに一人暮らしなんてこれが俗に言うボンボンか。世の中すごいなあ。


「シャワー空いたぞ鈴」

「ありがとう拓人」


男女で一つ屋根の下。何も起きないわけがなく…なんてことはない。

なぜなら、僕はこいつに元男であることを打ち明けている。それに対して拓人も「ソウナノカ」と真顔で言ってくれた。だからなんの問題もないのだ。

僕も流石に男の家に好んで泊まるなんてことはしない。だが、こいつとは趣味や性格が合いすぎ、出会って4秒(流石に盛った)で親友と呼べるようになった。

さて、そろそろ行くか。


「シャワー、借りるね」

「おう」





女になってから体を洗うのもめんどくさくなったが、16年間もたてば慣れたものだ


「ふー、ありがとね」

「おう」


こいつはbotか。


「ちげーよ」


声に出てた。


「出てないぞ」


性格が合いすぎるとこうなる。ムカつくやつめ。


「えい」


むにゅ


「胸押し付けんな!」

「役得だろ?」


後ろから抱きついて平均的な胸を押し付けてやった。そのせいもあって顔を真っ赤にしてやがる。ザマァ


「お前ほんとに女かよ…」

「だからいつも言ってるだろ元男って」

「あーはいはい」


最近は何度も元男ということを言っているせいか返事が適当だ。解せぬ


「いい加減離れろ。押し倒すぞ」

「ご、ごめん!」


飛び跳ねるように離れる。押し倒すとか言われて声が大きくなってしまった…

む、胸押し付けるのは控えよう。そうしよう


「まぁいいか。もう遅いし寝るぞ」

「あ…う、うん…」

「どうしたんだ?」

「い、いや。布団一つしかないから一緒に寝るしかないよね…って」


シャワーを浴びる前まではホラー映画を見ていたせいで一人で眠るのはかなり怖い。そのせいでシャワーだって普段よりかなり早く済ませてきた。だから、この状況はかなり助かる。合法的?に一緒に寝れるからな。いくら男同士でも理由もなくくっ付いて寝るのは気持ち悪い。

しかし、この体になってからホラーやドッキリといった類のものに対しての耐性がかなり弱い気がする。


「い、いや。俺は床で…」

「一緒に!寝るよ!ね!?」

「…わかった」


僕は怖いというのを気づかれ始めているのではと感じて顔が熱くなった。拓人に関しては覚悟を決めた顔をしている。どうしたんだこいつ。


「わかったならいいんだ。で、でで電気消して寝よう」

「そ、そうだな。ね、寝るか」


暗くなるのが怖くて電気という単語がうまく言えなくてまた顔が熱くなる。ホラー映画で暗くなるのが怖いのを悟っていて気を使ってくれてるいるのか、拓人も若干吃ってる。元男の癖になんて情けない…

電気を消して、二人して布団に入る。

いやまったく。こいつが僕のことを元男ということを冗談と思ってくれなくてよかった。だからこそこうして男と泊まることができるんだからさ。女の子の家に泊まらないのかって?やだよ。恋バナか陰口ばかりで胃が痛くなったから。二度とごめんだね

こいつとはこれからも仲良くしていこう


「鈴」

「なに?拓人」


なんだろ。僕もう眠いんだけど。

ボーッとした頭で話を聞く


「好きだ」

「は…んっ」


目の前には拓人の閉じた目があった。いや、暗いから目の前まで来ないと見えないよな。

って


「ん!んー!んー!」


僕が叫んでるにも関わらずこいつは片手で体を抱きしめて離れないようにしている。てて、てか!口に!舌!入れようと!するな!!僕は断固拒否する!

一瞬拓人の力が緩んだ

いまだ!


「んはっ!…なにんっ!」


またキスされた!しかも即座に舌入れてきやがった!こいつ…わざと離して口を開いたところに…!


「んっ……は…ん」


や、やばい…この気持ち良さに抗えない…

は、早く離してくれないとやばい。ハマって後戻りできなくなってしまいそうだ…

ボーッとする頭でそんなことを考える


「ぷは…」

「ふぅ」


あ、危なかった…片足突っ込んでた…


「……!なにするのさ!!」


こいつ!絶対コ○ス!!


「好きだって言っただろ」

「は、え?なんの…あ」


言ってたな。こいつ。その後の行動のせいで印象薄かったけど


「だだ、だからって!普通返事聞かずに!」

「お、俺はお前の覚悟を感じて!」

「何言ってんだ!そんなことしてないわ!このバカ!」

「は?おま、あんな態度とったくせに何言ってんだ!」

「なんのこ…あ」


今までの態度を思い出す。シャワー浴びた後に一緒に寝ようetc…

僕が男側の立場なら襲わずにはいられないだろう。うん。弁解の余地なし。やばいどうしよう

そ、そうだ!


「な、なんで僕のことを好きなのさ!僕は元男だよ!?」

「その冗談このタイミングで言う?」


こいつ…冗談だと思ってたのか

ジト目でこいつを見つめる


「え、なに?ま、マジ?」

「本当だよ!お前ホモなの!?」

「まあ、俺お前の男の頃の姿知らないから関係ないけど」

「う、うぇ!?」


だめだこいつ…早くなんとかしないと

そうだ!


「だ、大体僕のどこが好きなの!?い、言ってみなよ!顔とかつまんないこと言わないでよ!」


実際僕はかなり美少女系だ。元男の僕がいうんだから間違いない。


「どうだ!い、言えないだ」

「耳に心地よい高さの声が好き」

「…え?」

「他の女子は愛想笑いが多いのに対して、お前は心の底から笑ってることがわかるあの笑顔が好き」

「ちょ、ちょっと」

「普段ガサツなのに今みたいに照れて焦ってるところとか可愛くて好き」

「や、やめてよ!」

「怒ってるけど満更でもないその表情も好き」

「もうやだぁ…」


視界がにじむ。なのになんでこんなにも嬉しくなるのだろう…僕はホモじゃないのに


「他にも」

「も、もうやめて!恥ずかしい!」


顔が熱い。暗いからこいつに顔が見られなくて助かった…けど、僕からは拓人の顔が見えなくてそれが少しざんね…

何考えてるんだ!


「鈴…」


顔を近づけてきている気がした。


「つ、次やったら嫌いになるから!」


拓人のいる方とは逆を向いて胎児のように丸くなる。心臓もうるさい


「ご、ごめん…もうしないよ。…おやすみ鈴」


後ろからゴソゴソ聞こえた。おそらく僕とは反対側を向いたのだろう。

しかし、さっきから名前を呼ばれるたびに嬉しくなる…なんなんだ一体。し、しかももっと名前を呼んでほしいなんて思ってる自分がいる

僕はホモじゃなかったはずなのに…


「…」


こんな気持ちにしやがった男への少し、ほんの少しだけどおやすみの返事をしないでやった。残念そうな雰囲気が伝わってくる

ザマァみろ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定最高です! 僕も連載かもう少し長いバージョンが見てみたいです!
[一言] めっちゃよかったです! 主人公可愛いですね 宜しければですが、連載したのも見てみたいです このあとの話とか……
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