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いよいよ主役機登場!
これが俺の魔導人形だ!!
想いを込めてパワーを上げろ!!
今まで見続けてきたロボットアニメの記憶の全てが俺の力になる!!!
目覚めろ!俺の中のヲタク力よ、今こそ俺に力をっっっっ!!!
強くイメージしたのは原点にして頂点のスーパーロボットの姿。
そんな俺の想いに反応し、素体がその姿を変えていく・・・
全身に搭載された破壊力抜群の武器の数々。
どんな敵の攻撃にもビクともしない漆黒のボディ。
しかし、女性らしさを失わない美しいプロポーション。
頭部から流れるようにたなびく真紅の髪。
これだ!これそそが俺が求めた究極の魔導人形だ!!
「完成だ・・・これが俺の魔導人形だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
全長50cmの女性型ドールがテーブルの上に鎮座する。
上から下から視点を変えて確認。
頭髪は5mm単位に区切られたマナ電池になっており、エネルギー切れ対策はバッチリ♪
目からビームは当然として、オッパイミサイルは男のロマンとして外せない!!
当然、腕にはロケットパンチと言いたいところだが、技術的に無理なのでワイヤー巻取り式のワイヤードパンチ・・・
いつか実現してみせる!!!絶対にだぁぁっっっ!!!!
弱点になる核は胸の中心に装着。
この機体の心臓部とも言えるマナリアクターと連動させる。
マナリアクターを稼動させると大気中のマナを取り込み起動。マナリアクターの力でマナが全身を駆け巡り、余剰分は髪のマナ電池に蓄積される仕組みになっている。これにより連続戦闘時間を確保。
自己学習型AIも完備♪
うむ、パーフェクトだウォ○ター!!
そう言えばこの機体の装甲はどうなってるんだ?
まさか超○金○そのままじゃないよな?
すっげぇ嫌な予感がする・・・
ドキドキしながら鑑定してみると・・・
ゴッドメタルZ:漢たちの熱き想いによりこの世界に生まれた新金属。あらゆる攻撃を受け付けない無敵の金属である!!胸のZは俺たちの約束だゼェッッッッッッッッッット!!!!(何故かZマークが胸に浮かび上がる。)ゴッドメタルZを加工出来るのはあなただけ♪
「ぶふぅぅぅぅっ!!!」
鑑定結果に噴出す俺・・・
ヤッチマッタ・・・
このことは絶対秘密にしなきゃ俺の命が危ねぇ・・・
「スーハースーハー・・・」
深呼吸して落ち着きを取り戻し、見なかったことにして作業に戻る・・・
「さ・・・さて・・・次はマナストリングスを強化しようかな・・・」
自分に言い聞かせる俺・・・
強化型マナストリングス:細くしなやかで固いマナストリングス。魔力伝導率は従来品の30%増し。攻撃にも転用することが可能。
これで攻防一体のマナストリングスを使えば術者が狙われても反撃できるはず・・・
それじゃ、試験のルールを読んでおこうかね・・・
①魔導人形の身長は50~70cm以内とする。
②武器の使用は禁止。己の肉体のみで戦うこと。
③勝利条件は、機体の行動不能及び破壊・リングアウト・ギブアップとする。
④試合時間は30分とし、時間内に決着がつかない場合は機体の損傷の少ない方を勝ちとする。
あっぶねぇ、危うく失格になるとこだった・・・武器は全部ロックしておかなきゃ・・・
「ロック完了。これでよしっと・・・」
後やっておくのは動作確認だな。
機体にマナストリングスを付け、魔力を流していく・・・
魔導人形の体の隅々にマナが満ち、その目が徐々に開いていく。
「おはようございますマスター!これからよろしくお願いします!」
「よろしく!名前は・・・そうだ!クロガネ!今日からお前の名前はクロガネだ!よろしく!クロガネ!」
「了解!マスター!」
「次、コンビネーションパンチ!」
「了解!」
流れるようにコンビネーションパンチを繰り出すクロガネ。
まさにパーフェクト♪
動作もスムーズだし、天使ちゃんの言ってた魔法スキルの発展に貢献出来たはず!?
発展前の技術を知らんから、こっちの技術がどれだけ先に進んでいるかは試合になってみないとわからんな・・・
そんなことを考えていたら・・・
コンコンコン!
「時間です。お願いします。」
いよいよ試合か。
「はい!行くよ!クロガネ!」
「了解!マスター!」
私の肩に飛び乗るクロガネ。
ちょっとマントで包んで正体を隠して行きますか!
さ~てさてさてさ~て~、驚いてくれるかね?
試験の係の方に案内されて試験会場に到着。
部屋の中央部には1m四方のリングが鎮座する。
され、対戦相手はどんな人だろ?
室内に入った俺を待ち構えていたのは不機嫌な顔の貴族・・・
「遅い!遅い!遅過ぎますわ!!!この私をスプリガン男爵家令嬢、サーベラ・スプリガンと知っての狼藉かしら!?どうなのそこの庶民!!!!」
腰まであるシルバーブロンドの髪を振り乱し、親の敵でも見るような血走った目で俺を睨みつけてくる美女・・・
めっちゃ怖えぇ・・・まるで般若だ・・・
俺がビビッていると・・・
「何とか言ったらどうですの!?私の言葉もわからないんですの!?」
俺にズカズカと詰め寄ってくる男爵令嬢・・・
ズリズリっと後ろに下がる俺・・・
だってこの女めっちゃ怖えぇし・・・
そんな俺のピンチを救ってくれたのは試験官の女性だった。
「あなた、何をしているのです!今は試験中ですよ!失格にしますよ!!」
「くっ・・・いいでしょう!!試験でギッタンギタンにして差し上げますわ!!!」
かなり不満顔で引き下がる男爵令嬢・・・
目で殺す!と言わんばかりの目力を感じる・・・
正直、早く試験が終わって欲しい・・・切実に・・・
「さあ、その目をかっぽじいて見るがいい!!我がスプリガン男爵家の魔導人形の姿を!!!行きなさいガトランディア!!!」
「ぶっ・・・・くっ・・・ぷっぷっ・・・」
リングインした彼女の魔導人形を見た俺は失笑を抑えるのに必死だった・・・
何故かって?
それは、その姿がどう見ても昭和レトロ感漂うブリキのロボットの姿そのまんまだったからだ・・・
ボディの真横に申し訳程度に付いた腕、これはどう見ても攻撃手段が駄々っ子パンチだけ・・・
足に至っては歩くのがやっとでキックなんてもっての外な形状・・・
天使ちゃんが魔法の技術が200年遅れてるって言ってたのは事実だったわけだ・・・
「おーーっほっほっほっほっほーーーっ!私のガトランディアの前に怖気づいたのかしら?庶民のあなたの目にはさぞ恐ろしく映ったことでしょう!!」
自信満々のお嬢様・・・ドヤ顔ウザイ!!!
さて、勘違いしてるお嬢様の度肝を抜いてやりますか!!
「クロガネ!出番よ!!」
「了解!マスター!!!」
マントを華麗に脱ぎ捨てながら俺の肩から颯爽とリングインするクロガネ!
レベルの違いを思い知るがいい!!!
これが、のちにこの国最強と呼ばれることになる魔導人形クロガネの初陣であった!!
次回は天界よりお届けしますw