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加速するオッサンの試練!?
どうするオッサン!?
「|あ・・・あなたが犯人ですの《お・・・お前が犯人か》!?」
異世界拉致犯が目の前にいた件・・・
「犯人とは言いがかりです!ちゃんと言質はとったのです!訴えて勝つですよ!」
このナマモノは言うに事欠いて何を言い出すんだ?
アレのどこが了承なんだよ!!完全に誘拐じゃねぇかよ!!!
「まずは話を聞きましょう!それ次第では・・・覚悟を決めなさい!!!」
バキッボキッと指を鳴らしファイティングポーズをとる俺。
そんな俺に追い討ちをかけてくる自称天使・・・
「ち・な・み・に先に言っておきますが元の場所には帰れないのです!しっかりきっかりあきらめて異世界生活をエンジョイするのです!」
満面の笑みで爆弾発言を言い放ちやがった・・・
神様よ、こいつ握りつぶしてもいいよな!?俺にはその権利があるはずだ!そうだろ!!
「まず、話を聞く前にこの二重音声を何とかしてちょうだい!!このままじゃまともに会話も出来ません!!」
頭に響いて反響までしやがるこれが思考を邪魔しやがる。まずはこれを何とかしなきゃ始まらないぜ!
「な・・・折角付けたチートスキルが迷惑だって言うのです!?チッ・・・はい、スキルを削除したのです。これで普通にしゃべれるのです。」
オイ・・・今、露骨に舌打ちしやがったよこいつ・・・これでも本当に天使か?
「ふぅ・・・やっとまともにしゃべれるぜ。いちいち二重音声で何を言ってるかわかったもんじゃねぇ!」
「なんて言いぐさなのです!”乙女の心”スキルは美しい言葉遣いと礼儀作法に補正が付く選りすぐりのチートスキルなのですよ!それを完全否定だなんて信じられないのです!!プンスカプン!」
ご立腹の天使ちゃん。
怒ってるのはこっちだっつうの!
大体、チートスキルってのはすんげえスキルのはずだろ!?女言葉の二重音声と礼儀作法補正のどこが選りすぐりなんだよ!!
うん!?・・・チートスキル・・・?
「おい、チートスキルって言うのはひょっとしてまさか・・・」
それってもしかしてラノベでよくあるアレか!?
「ふふん♪そうなのです!異世界転生&異世界召還につきもののアレなのです!あなたたち地球の方なら誰しもあこがれる夢のスキルの数々なのです!!」
無い胸を張りドヤ顔でふんぞり返る天使ちゃん。
胸なんかねぇくせに・・・
しかもチートスキルを選りすぐってアレかよ・・・センスねぇな・・・
「何か言ったのです?」
「何も・・・」
チッ、心が読めたりしやがるのか?厄介なナマモノめ・・・
「それじゃ、俺を拉致した理由を言え!」
俺を無理矢理連れてきた理由があるはずだ!何で俺だった!?
「実は・・・」
ゴクリ・・・
まさか、勇者になれ的なアレか!?だが、俺を女の子にする理由が無ぇ・・・
「天使ちゃんの女神試験の助っ人なのです!!!!」
ガクリ・・・とっても私的内容だった件・・・
「天使ちゃんたちは現在、女神試験の真っ最中なのです!私を含めた女神候補5名がそれぞれ1つの国を任され、その国を発展させる競争をしているのです。文化レベルも人口レベルも順調なのです!ただ・・・魔法レベルがこの200年、全然上がらないのです・・・」
急に下を向き項垂れる天使ちゃん。
次にいきなりクワッと目を開き上を見上げる天使ちゃん。
「そこで思い出したのです!困った時は地球から召還すればいいことに!!」
オイオイオイオイッ!何でそこでいきなり拉致なんだよ!?
思わず握り拳を作る俺。
待て、まだだ!まだ真実があるはずだ!殴るのはその後だ!!
「で・・・何で地球からなんだ?」
最もな疑問を口にする俺。
「あぁ、それは地球の特に日本には自宅で正座して召還待ちをしている大きなお兄さんたちがいっぱいいると天界で聞いたのです!困った時は地球からが天界でのお約束なのです♪」
嫌なお約束だな・・・オイ・・・
「一応、現地の人の話もリサーチしたのです!京都在住のテンプレラノベ作家のU様に質問を書いたファンレターを送ったら”YOUやっちゃいなYO!”って返事が来たのです♪お陰で心置きなく召還出来るのです♪」
オイオイオイオイッ!U様、何でこんな危ない奴に許可だしちゃってんのよ!!!
まさかの日本人の許可・・・同族に売られたのか俺・・・
「ちょっと待て、だったら俺じゃなくてもよかったんじゃねぇ?」
日本人なんていくらでもいるんだ、俺である必要がねぇだろ!?
当然の疑問をぶつける俺。
「それなのですが・・・自宅待機のお兄さんたちはとっても血走った目で俺が勇者だ!!って叫びながら迫って来まして・・・怖かったのです・・・はい・・・」
遠い目をする天使ちゃん・・・
うん、日本人が怖くて悪かった・・・俺が謝ってやる・・・本当にスマン・・・
「途方に暮れていたら異世界に行きたいと強く主張するあなたがいたので、問答無用で拉致しました♪テヘ♪」
「・・・」
タイミングか・・・俺のタイミングが悪かったのか・・・
こいつと巡り合っちまった運命を呪うぜ、神様よ・・・
「それで俺か・・・異世界に行きたいとは言ったが俺にメリットがねぇだろうが!!!ど・こ・に女の子にちやほやされる要素があるんだよ!?」
「メリットならあるのです!女の子がいっぱいいる環境なのですよ?あなたの理想通りなのです♪何か問題があるです?」
あなたが何を言っているのか理解できません?と言わんばかりに小首をかしげる天使ちゃん。
コイツ・・・本気で理解してねぇ!!
「それじゃ俺を女の子にしたのは何でだ!まさかお前の趣味じゃねぇのか!?」
異世界に拉致するだけならともかく女の子にする理由は何だよ!キッチリ説明してもらおうか!
「それなのですが・・・魔法の仕様なのです・・・魔導人形の魔法は女の子限定なのです・・・」
ガックリ項垂れる天使ちゃん・・・
「魔法選択じゃんけんで負けたばかりにハズレ魔法に当たったのです・・・結果、200年経過したのに魔法レベルが上がらず今に至るのです・・・」
「ちなみに他の魔法はどんなんだったんだ?」
「ごく普通のファイヤーボール等の魔法に召還魔法、精霊魔法、変り種だと魔導兵装ですかね?魔力で作った武器や鎧で戦うのです。」
うわぁ・・・そっちがよかったわ俺・・・
「もう、藁にも縋る気持ちであなたを召還したのです。お仕事次第では報酬も出すのです!」
ほう・・・報酬とな・・・
「じゃあ、俺を男にしてくれ!魔法レベルが上がれば俺が女でいる必要は無いんだろ?」
ふふん、完璧だ!さっさとこんな仕事を終らせて異世界ライフを堪能してやる!
「そんなことでいいのです?では、魔法レベルを上げてくれたら男の娘にしてあげるのです!」
「「うん!?」」
「男の子だよな?」
「男の娘なのです!」
2人、小首をかしげながら確認し合う。
この時、キッチリ確認していたら後日起こる悲劇を回避できたのだが、今となってはあとの祭りである・・・
ツイッターで無理な出演依頼にも快く受けてくださったU先生ありがとうございます♪
また、機会がありましたらよろしくお願いします。
報酬は男の娘!?
オッサンが男の娘になるまであと○○日!?