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✧ 詩 ✧ ふたり

花吹雪

聞こえるのは 地軸が(きし)む (かす)かな音だけ


穏やかな 春の昼下がり 

僕はひとり 桜色に染まる


回転する銀河と

銀河を周回する太陽系と

命を刻む二重螺旋(にじゅうらせん)

時計の歯車のように噛み合って

刻一刻と 未来のある一点へ向かって 針を進める


 

針を止める(すべ)がどこにもないことと

針の向かう先に存在するものに初めて気付いたのは

あの日だった


いつの日か 誰もが光と共に 飛び立つ


あの日 切り花に全身を覆われた君は 無言で微笑(ほほえ)

見送る僕は 桜色の花吹雪に包まれていた


僕はどこまでも遥か遠くへ

まだ見たことのない場所へ行きたいと 望んでいた

決して一人旅に憧れていたのではなかった

君と手を(たずさ)えて

どこまでも歩きたかった


笑い声も笑顔もあった 

忍び泣くこともあった


ずっと 君の手の温もりに包まれていた

時に 指先が冷たく凍えていたこともあった



突如(とつじょ) 轟轟(ごうごう)と風が吹いた


ゼンマイを巻き上げ過ぎた地軸が一瞬で(はじ)け飛んだ


桜が一気に散り乱れる


押し寄せる花弁(はなびら)に圧倒され 

稜線(りょうせん)吹雪(ふぶ)かれたように

立ち尽くす


今になって気付く


君と歩いてさえいれば

目的地はどこでもよかったのだと


いや、違う

君がいさえすれば

目的地すら必要ではなかったのだと



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― 新着の感想 ―
[一言] 春の昼下がり、時を止める術がないことに気がついたあの日。 桜色の花吹雪に包まれながら、君と手を携えてどこまでも歩きたかった・・・ 神秘的で、どこか狂おしい詩です。
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