1、加護と魔法
イメージで形を作る系の魔法ってオタクと厨二最強だと思いません?
「どうだ?スキルとかはあったか?」
野次馬のおっさんが話しかけてきた。
恐らくこのスキルやらはバレちゃまずい類いの物だと思うし、幸いステータスは他人には見えていないらしいので、ここは普通のそれを装おう。
「えっと···鑑定っていうのが」
「おお、鑑定か!良いの引いたじゃねぇか!」
そのおっさんが言うには、鑑定はまあまあ良スキル。物の材質が分かったり、他人のステータスが覗けるようになるらしい。
その後もおっさんとか他の野次馬とかが、聞いてもいないのにいろいろ教えてきたからある程度わかった。
スキルにはレベルが無く、本人のレベルが上がれば強力になっていく。
才能はスキルの取得に補正を掛けるもので、レベルが高ければ補正も大きくなる。また、最大レベルは10で、MAXというのは無いっぽい。
加護については何も言っていなかったから、恐らく普通は無いんだと思われる。
それと、魔法を初めて取得したときに《魔法》の欄が出現するらしい。称号なんてのもある。
一通り喋り終わったおっさんは満足したのか、数人のおっさんを引き連れて帰っていった。それを合図にするかのようにぞろぞろと野次馬が帰っていった。
私も帰ることにした。
私は部屋のベッドに寝転がってステータスを眺めていた。
(そういえば、加護の左についてる三角、なんだろこれ?)
何気なくステータスを触ってみた。
▽神々の加護
・創造神の加護
・地母神の加護
・土着神の加護
・鍛冶神の加護
・闘神の加護
・風神の加護
・雷神の加護
・戦神の加護
・炎神の加護
・海神の加護
・
思わずビクッとしてしまった。
とりあえず流れてきた冷や汗を拭いながら一つ一つに触れてみる。
〈創造神の加護〉
レベルアップに必要な経験値を30%にする。
lv.100で種族が《現人神》もしくは《天使》に変化する。
スキル〈威圧〉〈並列処理〉〈高速演算〉〈王者〉を取得する。
精霊に愛される。
〈地母神の加護〉
土属性魔法の消費魔力量を半減する。
召喚魔法、モンスターテイムの成功率を100%まで引き上げる。
〈土着神の加護〉
土属性魔法、呪術の威力を2倍にする。
lv.35でスキル〈大地同化〉を取得する。
〈鍛冶神の加護〉
鍛冶スキルの成功率を100%まで引き上げる。
人間では扱えない鉱石を扱える。
〈闘神の加護〉
戦闘時、ステータスに補正。
アイテムドロップ率上昇。
lv.50でスキル〈限界突破〉を取得する。
〈風神の加護〉
風属性魔法の威力を2倍にする。
lv20で風属性神級魔法〈テンペスト〉を取得する。
lv.50でスキル〈風纏〉を取得する。
〈雷神の加護〉
雷属性魔法の威力を2倍にする。
lv.20で雷属性神級魔法〈迅雷〉を取得する。
lv.50でスキル〈避雷針〉を取得する。
〈戦神の加護〉
戦争参加時にステータスに大幅補正。
付与魔法の威力を2倍にする。
lv.35で付与神級魔法〈疾風怒濤〉を取得する。
〈炎神の加護〉
炎属性魔法の威力を2倍にする。
lv.20で炎属性神級魔法〈獄炎〉を取得する。
lv.50でスキル〈炎吸〉を取得する。
〈海神の加護〉
水、氷属性魔法の威力を2倍にする。
lv.25で水属性神級魔法〈属性水〉を取得する。
lv.25で氷属性神級魔法〈アブソリュート・ゼロ〉を取得する。
lv.50でスキル〈水身〉を取得する。
〈 〉
新たな加護を取得する可能性が発生する。
スキル〈完全記憶〉〈眷族化〉を取得する。
■■■■■■の権利を得る。
一部のスキルや魔法による反動を0にする。
神格を得る。
これを見た瞬間、私は決意した。
─────どうせいつかバレるんだから、いっそ最初から自重無しで行こう、と。
ステータスを可視化した次の日、私は村で唯一の魔法士を訪ねた。
なぜなら、毎日魔法の練習をしていたのに《魔法》の欄が無かったからだ。
あの程度じゃ魔法とは言えねぇ!と世界が判断した結果なのだろうが、腑に落ちない。
「べリアさーん、いますかー」
と声をかけてから十数秒、緑髪の美人が出てきた。
この20代前半に見える女性が魔法士のべリアさん。ハーフエルフなのでこれで100は超えてるんだから驚き。
「あら、レーナちゃんじゃない。どうしたの?」
私はべリアさんと結構仲が良い。なので、魔法を教えて欲しいと言ったら笑顔で了承してくれた。
「まず、魔力を体の中から探すんだけど、これがなかなかの鬼門なのよね~。私は1年かかったわ」
「あ、それならもうできますよ。3年かかりましたけど。ほら」
私の体が淡く発光する。
ちなみに3年かかったというのはもちろん嘘。
「あら、すごいじゃない!それができれば後は簡単よ!」
そう言ってべリアさんは、簡単な詠唱をして手のひらに水の玉を出した。
「水の初級魔法、ウォーターボール。これができてやっと半人前って感じかな」
元日本人としては火とか水とかが浮いてるのはイメージしづらかったけど、やっぱり実物を見ると分かりやすい。
見ればイメージも固まるので、速攻で無詠唱発動した。
「むっ、無詠唱!?すごいわ!レーナちゃん、魔法の才能高いでしょ!これならすぐ一流になれるわ!」
それでも私はまだウォーターボールを使えるようになったばかりだし、調子に乗ってはいけない(戒め)
「うーん、魔法を上手く使うコツってあります?」
「コツ?そうねぇ···魔法っていうのはね、言ってしまえば想像力の塊なの。だから、元になる魔法がしっかりしてればいくらでもアレンジは利くし、オリジナルの魔法だって創れるの。つまり、魔法のコツはイメージかな!」
イメージ···なるほど、アニメみたいなのを想像すればいいのか。
────あれ?そういえば、普通に日本の記憶はあるな····でも、私自身の記憶が無い。
ステータス開いた時も、ソードでアートなゲームの事思い浮かんだし····やっぱり私自身に関する記憶だけが抜け落ちてる。違和感あるなぁ。