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格ゲー少女、異世界に行く

折角なのでもう一話。

色々おかしなところもあるかも。

んん……ここは?

あれ、どうしたんだっけ? ここどこ?

……たしか家に帰る途中に子供が車道に飛び出して……。

それを助けるために代わりにボクがトラックに撥ねられて……。

地面に叩き付けられて、それで……。


「う……うえぇ……けほ」

……思い出した、地面に叩き付けられたあと同じトラックに「ミンチよりひでぇ」されて……。

え? じゃあここは死後の世界? にしては普通に夜の草原って感じだけど……。

あ、たき火と近くに……大男!?


「……ん? ああ、起きたか。体調はどうだ?」

体調……あれ? 全然平気だ、どこも痛くないし体温も脈もある。


「うん……なんでもないみたい……です。あの……貴方が助けて下さったんですか?」

この人、どこかで見た事ある……。どこだっけ?


「貴方とか他人行儀だな、カヅキ」

え? ボクの名前知ってる……って……嘘、まさか。


「えと……もしかして、ロマノ?」

言ってて馬鹿らしいと思う、でも身長2M越えの熊のようなガッシリした体格に右目の傷、その体格のせいで全然似合わないルバシカを着て、単純になめしただけにしか見えない武骨なシューバを羽織って、寒くもないのにシャープカをかぶってる。

どこからどう見てもステ5のロマノしか居ない。


「おう、俺様がロマノ・リピンスキーだ」

やっぱり……。でも


「でもなんでロマノがボクの目の前に?」

実はボクは本当は死んでて、ここが夢の世界とか死後の世界とかそういうんじゃ……。


「その辺は俺様も分からねえ。気が付いたらここに居てカヅキが倒れてたんだ」

少なくとも死後の世界ではないなぁ、ガハハ! とロマノは笑った。


「……全然状況がわからないよ……」

だめだ、頭が混乱してきた。


「安心しろ、俺様もさっぱりだ」

それ、安心できないよ?




ぐるるる……。



「ロマノのお腹の音?」

そういえばお腹すいたな……。


「……いや、違うな。……カヅキ、下がってろ」


「え?」


「囲まれてるな……狼か」

おおかみ……。


「カヅキ、いつものように指示をくれ!」

え? ボク指示なんか出したことあったっけ?

指示……しじ……あ! ひょっとしてキャラクター操作のことかな?


「えと……左の狼にバスターハリケーン?」


「おうよ!」

ボクの指示に従い、ロマノはその丸太のような腕で左にいる狼の首を捕まえる。


「バスタァァァァ! ハリケーン!!」

狼を捕まえたまま台風のように横回転し、そのまま天高く跳躍するロマノ。

跳躍の頂点に達し、横回転を縦回転に変化させて重力と体重と遠心力をたっぷり乗せた渾身の叩き付けを狼にお見舞いする。

その一撃で狼は頭をグチャグチャの肉塊に変え、絶命する。

スプラッタ? そんなのどうでもいい!


目の前で繰り出された【バスターハリケーン】


ボクは興奮した、ゲームの中では何度も見たことがあるロマノの象徴的な必殺の投げ。

もちろん対人戦ではほとんど決まらないけど、その力強さは一度見たら病みつきになる。

それが今、現実の肉体を以ってボクの前で行使されている。

たとえ夢でもこの感動は絶対に忘れない!


「ロマノ、右後方の狼が飛び込んでくる! ヘヴィラリアットで迎撃!」


「まかせろ! ヘヴィィィ……」

ロマノの右腕に力が籠められ、ボコン! と肥大する。

相打ち覚悟で何度となく放った対空技。


「ラァァリアットゥ!」

ミキィ! っと首の骨がへし折れる音が聞こえ、吹き飛ばされた狼は口から泡を吹いて痙攣している。

今はまだ生きてるけど、アレは程なくして死ぬだろうね。


あは! ボク、すっごい楽しくなってきた!


「次、右後方の狼ミンチメーカー!」


「よっしゃ! 大人しくしてろよ?」

ゲームでも聞いたセリフ「大人しくしてろよ?」……くうううう、カッコいい!!


無造作に狼の頭を掴んだロマノはそのまま地面に叩き付け、ダッシュで引きずっていく。

怪力と地面のサンドイッチでゴリゴリと肉が削られていく狼の頭。

ある程度の所で立ち止まり、100キロを超す体重での踏みつけ。

まさにひき肉製造機(ミンチメーカー)! ……狼は後二体。なに使おうかな……。


「あ、ロマノ危ない! ガード!!」

さっきまで味方が一方的にやられたために怖気づいていた狼がヤケクソで突っ込んできた!


「ふん! ぬるいぬるい、俺様の体力を一ドットでも削りたければ多田野正拳突きくらいの威力を出せ!」

多田野正拳突き、ステ5の主人公「多田野拳示(ただのけんじ)」の必殺技。


「……ナイスガード! ここはやっぱりアレだよね、正面アルティメット()バスター()ハリケーン()!」


「くたばりやがれ!」

「くたばりやがれ!」入りましたぁ!


「アルティメェェット」の掛け声で捕まえた狼を自分の背後、正面と交互に合計五回叩き付け。

「バァァァスター!」台風のような回転からの跳躍。

跳躍までは同じだがここからが違う!

遠心力と渾身の力で先に地面に投げつけ、「ハァァァリケェェェン!」の雄叫びと共にそこから重力と体重と落下の速度を加えたパンチ! 正直普通の人間だったら自分の腕がへし折れるとボクは思う。


「最後ボスっぽいの、ストーム()オブ()デストロイ()!」


「祖国の白き大地を貴様の血で赤く染めてやろう!」

キター! きたきたきた来ましたよコレ! ボクの一番大好きなセリフ!


あれ? なんか力が抜けてくる……。いや、そんな事より生SOD!

全身に目一杯力を溜め、足元に爆発を起こすような勢いで三歩突進。


「この三歩が邪魔なんだよね、どの位置に居ようと必ず三歩走るから小Pで止められるんだよ……」


まるでスチールボールが建物を破壊するような威力で繰り出される合計7発の両手乱打【サイクロンブレイク】から始まるロマノの究極の技。

サイクロンブレイク、ヘヴィラリアット、ミンチメーカーと繋いで最後にU・B・H。

ロマノの必殺技の詰め合わせともいうべきこの技は一撃一撃に爆破のようなエフィクトと攻撃がヒットするたびに入る別視点のストップモーション。

さらに地面が抉れる演出があってかなりド派手になっているんだ。


ただ、一々ストップモーションが入る上に長いからやられる側はかなり嫌らしく、間違っても絶対に食らってはいけない技に指定されてるのは愛嬌。

でもこれ、連続技に組み込むと相手が浮いててヘヴィラリアットから先が繋がらないから威力が激減するんだよね……。


「極寒の地で鍛えられた俺様の肉体はどんな奴にも砕けん!」

勝ち名乗り決まった! くわぁぁぁ、カッコいい! カッコいいよロマノ!


「うわっはぁ! ロマノ最高! あ、あれ? 身体に力がはいんない……」

腰が砕けたみたいにへたり込んで動けない。


「だ、大丈夫か? カヅキ」


「うん、どこか怪我したとかじゃないんだけど……」


『プレイスキルが1上昇しました』


「うわ! ななななに!?」


「どうしたんだ、カヅキ!」

あれ、ロマノには聞こえてない?


『ハイ、使用キャラであるロマノ様には聞こえておりません』


「ひゃ! あ、そ、そうなんだ」


「ホントに大丈夫か? カヅキ」


「……ロマノに説明しても大丈夫?」


『ハイ、構いません。ワタシはアナタの旅を快適にサポートするアナウンス兼ヘルプです、名前はないので好きにお呼びください』

色々突っ込みたい。


「あ、そうなんだ……えっとねロマノ」


――――――――――――――――――――――――


「ふむ……ではその『ぷれいすきる』とやらが上昇してアニーが解放されたのか」

我ながら安易かな? と思ったけどアナウンスって事でアニーって名付けた。機械音声だけど女性の声だし。


「そう……みたいだね。うん、そうみたい」


アニーの説明で判明したこと、ここは地球ではなく「グリドマ」という世界。

ボクがまさかのトラック異世界転移? ラノベか、読んだことないけど。


プレイスキルはRPGのレベルみたいなもので、キャラクターを操作することで経験値が蓄積する。

一定で上昇と分かり易い。

アニーに聞いたらボクの倦怠感はアーツゲージのストックが足りてない状態でインフィニットを使ったせいで足りない分をボクの体力で補われたことが原因。


アーツゲージは最大4つストック可能でインフィニットは3つ消費。

さっきはその前にハイパー使ったから2つ減ってる状態でさらに消費したから起きたみたい。

可視化しといてよね!


アーツゲージの蓄積は攻撃をヒットガード問わず受ける、攻撃を当てる、空ぶってもいいから必殺技を出すの三つで少しづつ溜まっていく。

この辺はゲームと一緒だね。


『それで、プレイスキル上昇の特典なんですが』

え、特典なんかあるの?


「なになになに! すっごい気になる!」


「ぬう……俺様に聞こえないのが何とも不便だ」

ロマノが少しすねてる、ちょっと可愛い。


レベル2の特典はキャラクター枠1追加。

最大で3人まで連れて歩けて戦いに参加できる、連れてないキャラクターはいつでも交換可能。

ちなみに体力上限は一律で100。体力が尽きたキャラは消滅、再召喚(?)には最低一日おかなければいけないとか。

チーム制かー……うん、ますますゲームだね。

いろいろごっちゃになってるけど。


「という事は、好きなキャラを一人呼び出せるってこと?」

キャラ枠追加すっごいイイ!


『ハイ、ただしレベル制限もございますので全てのキャラの中から……というのは出来ません』

あ、そうなんだ。キャラ性能とかキャラランクとかかな? ノーマル、レア、レジェンドみたいな。


「一覧みたいのあるの?」


『ハイ、只今展開いたします』


「おー……」

目の前に一覧が出てきた、SFだー。どれどれ?


おお、結構いる……あ、ステ5以外の格ゲーもいっぱいある!

え? ちょっと待って懐かしい! 「モンスターファイトフェスティバル」あるじゃないか!


モンスターファイトフェスティバル、略してモンフェスはステ5と同じ会社が昔出した格闘ゲーム。

異形の戦士たちが戦うというコンセプトの格ゲー。


決めた、一人目の追加はこのモンフェスからにしよう!

えーっと……選べるのは……。


「嘘、メイ・リー選べる!」

あー、メイ・リーはキャラ性能低かったもんねー。


モンフェスのメイ・リーは珍しい女性の投げキャラ。

種族はキョンシーで、線が細くて少し小さめ。

くりくりの目であどけない顔の少女キャラなのにアンデッド特有の怪力と打たれ強さを駆使して戦うスタイル。

設定は16歳で盗賊に母娘皆殺しにされた恨みでアンデッド化、お札なしで徘徊するので映画なら悪役ポジかラスボスポジ。技を放つときの顔は「見せられないよ」が張り付きそうなくらい凶悪だったなあ。

特徴は全必殺技にスーパーアーマーが付いている事、なので発動すれば何が何でも掴みに行く。

でもそれが逆に仇になってしまった不遇なキャラ。


妙なところにこだわって通常の移動アクションは跳ねる。

しかもしっかり一歩一歩踏みしめるように跳ねる、そのせいでかなり足が遅い。

そこそんなにリアルにしなくてもいいじゃんってくらい遅い。


でもそんなことは問題じゃない、何と言ってもこのキャラの売りは強烈で巨大なバスト!

本当にアンデッドで16歳なの? と疑いたくなるような勢いで揺れる。

もう何をしても揺れる、立ちアクションでもブルンブルン揺れる、ロリ巨乳!

昔のドット絵なのに細かな乳揺れはスタッフの欲望がふんだんに詰め込まれてるといっても過言じゃない。

そこだけで容量大分使ったんじゃないかな?

そういえばメイのバストにあこがれた事もあったっけ、せめてメイの半分くらいボクにもあれば男の子に間違われなくて済んだのに……。


もうこの娘にするしかないよねコレ。

ボクこの娘使って地方大会準優勝してるしね、扱いは誰よりも上手いつもり。

メイ・リー、でてこーい!

戦闘描写甘いかもしれませんが、戦闘楽しい。


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