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MTBで旅する異世界  作者: 只の鯨
1章 MTBと転移する異世界
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8話 算数界のお使い神で市場を調べる

『災難だな、主人』

 結局、俺は商団の部下に拘束されかかり逃げないと誓いながら出店を回る権利を手に入れた。

 サニカはいつの間にか居なくなっており、今は1人で市場を調べている。ついでにオッサンのMTB姿は非常に悪目立ちするので今は日本刀だ。制服のベルトのループが大きくて良かった。おかげで日本武者みたいないでたちになっているが。

「全くだ。2時間で40キロも移動出来ない馬なんて使ってんじゃねぇよ」

『恐らく遺伝子操作での優良種の勾配に失敗しているのだろう。馬という生き物は基本瞬発的な力を出す生き物だから長距離移動に向いてない種も多い』

「へぇ」

『両立は難しいぞ。ついでに人を乗せること自体難しい馬も多い筈だ。明らかに生活水準が下だからなあちらより、あちらで競技に出ているようなスペックはあまり望めないだろう』

「その点俺らはいい感じだったな」

『なんてったってあの頃の最新型である私は「車体の軽さ」と「充電USB」と「丈夫さ」と「移動距離の長さ」が売りだからな』

「なんだよ自分のセールスポイント丸暗記かよ。気持ち悪い。自分では動かないくせに。その点俺なんて坂に鍛えられた脚力があってだな。人よりすごい自信はある」

『それこそ笑わせてくれる、自転車に使われている筋肉は走りに使われる筋肉に比べて総合的な距離で見て長ければ長いほど負荷が軽くなっていくからトライアスロンの選手でもない限り只の自転車乗りはほぼ一般人と同じのようなもの、つまり主人の大腿筋はそうでもない……おいちょっと待て主人。日本刀はそれ以上反らないィィッ!』

「お前が折りやすそうで良かったよ!」

 そのまま俺とオッサンがやりあっていると目の前の八百屋の主人が心配そうに声をかけてきた。

「坊主、最近【御具の意志】が目覚めたか知らんが、一応言っとくが【御具】とは意識の中で話せるからな……?」

「……マジで?」

「マジだ」

 そんな……まさかね?

 意識の中で話しかける。

『おいオッサン』

『なんだ?』

 話せたァァァァァ!

 話せてしまったァァァァァ!

 じゃあこれまでの俺は見えない奴と会話してるヤバい奴じゃぁぁん!

『おいオッサン』

『なんだ?』

『この事実、知って――『当たり前だろう』

 喰い気味に言われたぁぁん!

『だって主人。私はたまに主人の思考シーンに入っていただろう』

 ………………。

 たしかに。

 ……………………。

 無言で、刀を膝に乗せ、両端に力をこめる。

『ん!? 待て主人! 私はさっき言ったぞ、これ以上私は反らないとォォォォ!』

 だって……ねぇ……?

 心配した八百屋が忠告してくれる。

「……まぁ、【御具】は大事に扱えよ?」

「おう。そうする」

『だから行動が伴ってな痛い痛い痛い!』

 こうして俺は着々と市場の確認を始めていった。


 リンゴ(らしきもの)、銅貨5枚。

 鳥肉っぽいもの、約100gで大銅貨3枚。

 ふむ……。算数界のお使い神、たかし君の買ってくるリンゴが50円だと考えると銅貨一枚で10円ってのが相場レートか。何にしろ銅貨といえば10円玉。レートが分かりやすくて非常によろしい。

 この通貨で思ったことは、紋様のレベルが高いということだ。彫刻のように彫られており、質は均一。なかなかに職人のクオリティが高い。

 そしてもう一つ。厚くて大きくて重い。

 異世界に輸入したマイ財布に収納しようとしたら2枚で小銭入れが満杯に。

 大通貨に関してはそもそも財布に入らない。

 使い勝手の悪さはピカイチ。

 ちなみにリンゴは買ってみたが普通にまずかった。これも日本のいきすぎた科学による功罪か! ……まぁ芯まで食べたが。

 そう言えばこの世界に来て初めての食事になる。毒になりそうなものとかないし大丈夫だろうか。

 それによく考えたら胃に物を入れた性で混乱によって休息していた俺の高度生体成長期な食欲が復活してしまう!

 学校に登校してから20分程度で終礼まで終わって帰らされてしまったから、こっちにきたのは10時半頃か? だとしたらこっちの時間と日本の経過時間が一緒なら今は丁度昼飯時……。

 グゥゥウウウ!

 腹の、胃の奥底から、腹が、なった。

 どうしょう! これどう散財してやろうかッ!

 駄目だ、先が不明瞭不透明な昨今で下手な散財はできねぇ!! あぁ恨めしや異世界!!

 腹減ったなぁ……朝飯のエネルギーは全部使ったよなぁ……そこから口に入れたのビタミンだからなぁ。

 サニカがいないと何をどうすればいいのか分からないな。今度は本当に姉御とでも呼んでやろうかな。

『なんだ主人、移動するのか?』

『まぁな。サニカの所にでも行って教えをこうんだよ。』

『私、もうあなたなしじゃ生きられないの! ……って奴だな?』

『いい加減にしないと折るぞ』

 そう言うとオッサンは口を噤んだ。口悪い奴はお口にチャックだ馬鹿め。

 じゃあ、サニカを迎えに行くとしますか。

説明回がこれでおわってやっとストーリーに入れそうです。

この村であと1アクション起こして旅立つ予定です。お願いします。

……算数でお使いに行く人って大体たかし君(偏見)

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