表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MTBで旅する異世界  作者: 只の鯨
1章 MTBと転移する異世界
5/103

5話 世界観はみんな違う

 言いたいことも言ったので白い目を周りから浴びながら帰ってくると、サニカと呼ばれたケモミミ美少女が怯えていた。

「あぁ悪い」

「あ、うん。あのお婆ちゃんから記憶がないって聞いたし突然意味不明なことを叫ぶからびっくりしちゃったよ」

「衝動的にな」

「衝動的な奇行!?」

「そんな危ない奴みたいな呼ばれ方は困る」

「充分その危ない奴に当てはまってるよ!」

「多分、魂の叫びだった」

「どんな叫びだ!」

「まさにロックンロール」

「失礼だーッ!?」

 ……閑話休題。

「さて。じゃあ色々教えるね。まずはここの名前、国の名前はランドノート聖公国。さっきの川……エイル川なんだけどあれを南に下って水が流れ着くのがタリア海。南海って呼ばれてるよ」

「待て。えーっと、太陽はどこから昇ってくる?」

「東だよ?」

「沈むのは?」

「西」

「……そこはあっちもこっちも一緒か」

 サニカが首を傾げる。

「あっちって?」

「俺の来た日本って国の常識だ」

「……記憶喪失なんじゃないの?」

 そういう設定だったな。

「……魔法ってゆうのの知識だけがないんだ」

「つまり【skill】についてだね? わかった。そっちを重点的に話すよ」

「ありがたい」

「やめてよ。お礼ならお婆ちゃんに言って。僕を説明員に雇ってくれたんだから」

「雇う…って、え? 慈善行為じゃねぇの?」

「まさか」

「なんだ金取ってんのか。シビアな世界だぜ」

「……そうかもね。ところでお金については知ってる?」

「予想しよう! 銅貨が最低価値の通貨、その上は大銅貨、そしてその上が銀貨、そしてその上が大銀貨、その上が金貨。10枚ごとに一つ上の通貨に交換可能。どうよ?」

 サニカは少し考えると。

「惜しい」

 と言った。

「惜しいってなんだ」

「金貨の制度は大分前に無くなったよ」

「え、なんで?」

「決まってるじゃん。金の流通量が足りないからだよ」

 ……なる程、昔は日本にも金本位制と言って、一定の金と紙幣を交換する制度を作ったが財政悪化解消のために制度は廃止された。こっちも金の流通自体が少ないようだ。

 サニカは順に説明していくよ、と言って解説を始めた。

「基本単位はマール。最小通貨は銅貨の10マールだよ」

「7マールとかだったらどうすんの?」

「そんな半端な計算は無いってのが本音かな。どんなに低くても物は10マールからの取引だよ。今日はこの村にも商団が来てるから、後で市場を見に行こう」

「あ、あぁありがとう」

「んで大銀貨の上はこれ」

 そう言って取り出したのは……数枚の硬貨。

「この辺りでも取れる金属で、イルファ鋼。それを精錬して通貨にしたのがこのイルファ通貨、所謂鋼貨ってやつ。これ一枚で10万マールだから相当重要だよ。100万マールは一応大鋼貨だよ。大銀貨以降は日常生活じゃほぼ使わないから覚えなくていいよ。僕も今回たまたま持ってるだけだから」

「へぇ」

「……で通貨のことがわかったから次は【skill】のことについて触れていくね」

「よろしく頼む」

 さっきから話してる【skill】、英語の意味だったら……なんだっけ。

 そういえば英和辞書を持ってた筈。なんか変なところで役だったぞ。

 リュックから取り出して意味を調べる。なる程「技能」ね。

 サニカは英和辞書の方に興味があるようだ。

「何これ?」

「これ? 英和辞書。お前のたまに挟む英語と俺らの話している日本語の単語を翻訳する素晴らしい本だぜ」

 ドヤる。お前らがどんなに難しい単語を使えど問題ないからねー。

「……エイワ? エイゴ? ニホンゴ? ……何を言ってるの?」

「え……ニホンゴってのはさっきから俺達が話してるこの言語のことだろ」

「な、何を言ってるの?」

 本当に困惑しているサニカ。俺の頬に冷や汗が垂れる。

 これ、もしかして。

 思い出すのは変な方言で話す爺さん。

 あれって……もしかして。

 そして、サニカは言った。

「さっきから僕達はリデア語で話してるじゃないか?」

 ……どうなってるんだ?


 あれから分かったことは2つ。

 1つ目は日本語はリデア語に、英語はヘクセリア語という言語に変換されているということ。ついでに固有名詞は変換がされていないこと。

 そして2つ目、その変換が行われているのは俺だけってことだ。つまり、俺はリデア語なる文字が日本語に見えるが、サニカには日本語がリデア語に読めるなんてことはないって事だ。

 何故かは分からない、要検証。


「ヘクセリア語は能語。リデア語は人語って呼ばれてるよ。他にも亜語って呼ばれてるティアー語っていうのもあるよ。獣族しか使えないけど」

「獣族ってことはサニカも使えるのか……?」

「一応ね。仲間と狩りに行くときしか使わないから普段は使わないけど」

「ふぅん」

「でね。ヘクセリア語は【skill】を表しているんだ。というか魔力を使った【skill】についての一切を表してるから、神聖な言語とされているよ。【skill】の内容の名前がヘクセリア語なんだ。例えば僕の【skill】は……【paw】」

「ぱう……?」

 調べてみる。

【paw】……動物の爪って意味だ。

「爪に特別な力が宿って攻撃力が上がるんだよ」

「へぇ、すごい」

「【skill】の内容は【御具】によって左右されるよ。君のそこの……」

 サニカは自転車を知らないらしい。

「自転車だよ自転車」

「なにそれ」

「自分の足で車輪を回して移動する道具だよ。知らないのか?」

「うん」

 サニカは気になったのかじっと見つめている。

 耳がピコピコと揺れている。

「……気になる?」

「うん。すんごく」

「分かった、後で使い方を教える」

「いいの!?」

 すごい目がキラキラしてる! 好奇心に満たされている!

 自分の態度に気づいたのかサニカは一度咳払いをした後、話を再開した。

「【skill】を発動するにはね、【魔力】が必要なんだ」

「さっき婆さんが行ってた奴か。で、俺の持つ隠された大量の魔力が発動されてすげぇってなるんだな」

 その言葉にサニカは何度目かの不思議そうな顔をした。

「え……俺なんか間違ってた?」

「うん。【魔力】はね」

 そしてサニカは一言分息をおいて、言った。

「おそらく、生命体の共通資源なんだよ?」

 ……つまりどういう事だってばよ?

次回にも続くのですが今回は説明回です。なんだか不自然なのですがやっぱりチュートリアルくらいないと物語が始まった気がしないんですよね。

一気に説明するとその後の物語が進めやすいとかいやそれだと飽きるとかと友達と話したこともあります。

これってどうしたらいいんでしょうねぇ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ