35 『ゴーレム無双』
阿修羅ゴーレムの元に沼の魔女の部下の巨大な鎧がやってくる。
大きさとしては同じぐらいあるだろう。
中身がヘドロの騎士。大斧を持っている。
油断ない構え。元が英雄であるプレイヤーとあって雑魚ではない。
剣を構えてみる。思ったよりも動かしやすい。
ヘドロの騎士が笑ったような気がした。
次の瞬間大斧が叩き込まれる。
うお! ん!? すり抜け? 勝手に避けた?
「勇者殿、今が機です」
脳内ヨアヒムさんの声がする。
慌てて剣を叩き込む。ヘドロの騎士が吹っ飛ぶ。
「ダメージゲージ、ですな。例の能力が適用されているようです」
まじか! 助かるチート!
ダメージを受けると二秒間無敵というのがゴーレムにも適用されてた。
「そして剣ですが、どうやら勇者殿の剣技がベースのようです。
私の切り札を使いましょう」
おっけー。
切り札『騎士ヨアヒム』を用いる。
最大一時間の間剣聖ヨアヒムの剣技を使えるチートだ。
ダメージを受けると解除されるけども、まず喰らわないだろうと。
「ふむ。どうやら私が直接動かせるようです。手足がある感覚があります」
任せた!
「コマンド魔法を空いてるもう二つの手で行えばどうでしょうか」
やってみる。
コントローラーで操作。阿修羅ゴーレムの腕が動く。
コントローラーを何も疑問に思わずに下、右下、右に半回転させる。攻撃ボタンを押す。
魔法のコマンドは雰囲気。
それで十分だった。できると思ったから魔法が発動する。
魔法のリボンが描かれる。ターゲットロックした先の大鎧へ炎が叩き込まれる。
いつもの炎よりも確実に強いのが入った。一気に蒸発する。
うわお!
「流石です。では一気に殲滅しましょう」
四本の手で戦う。
上の手をヨアヒムさんが担当して剣を、下の手を自分が担当して魔法の呪印を使う。
移動はおおまかには自分が行うけども細かい立ち回りはヨアヒムさんが動かす感じだ。
魔法の射撃に専念できる。
味方の骨兵達はこちらを味方認定して各々の戦闘に戻っている。
元々玉座に安置されてるのは城にいれば判っていたのもあるだろう。
敵のヘドロの騎士の駆逐に入る。
剣聖の剣技を持ったゴーレムが敵を切り伏せる。
同時に炎の魔法が敵を蒸発させる。
ケーキを食べるぐらい容易く始末していった。
敵の魔法が飛んで来る。魔法の矢。それをヨアヒム技で大剣ではたき落とす。
こちらも相手に魔法を飛ばして蒸発させる。
おお。圧倒的だ。
50は居ただろう。
あっという間に中庭を一掃した。敵を探す。
吸血鬼の王が一番の厄介だろうというのが事前の会議の結論だ。
前回と同じく影縛で無力化が一番良いだろうという事になってる。
その間に沼の魔女ブラムシリカを叩く。
ブラムシリカは吸血鬼の王よりも強いが影縛はおそらく効かないだろうと。
ターゲットを正しく見極める必要があって自分の目では判らないだろうという。
称号、出歯亀で視力が上がりますぜ!って言ったら、
ネリカは何その称号、やめてよ、とか却下された。
視力の問題でもないとかどうとか。
イデア界を見る事が出来る魔術的な目が必要らしい。
超一流の魔術師ですら難しいので駄目だろうと。
視力の上昇は良い効果なので称号に目をつぶって使う。
「――確かにもっと見栄えの良い称号が欲しいですな」
とヨアヒムさん。脳内なので称号も丸わかりである。同情が沁みる。
視力の効果もあってミムさんを発見。他のメイドたちと固まって応戦していた。
拡声器で声を掛けると、なんで引き返してきたんですか! と怒られた。
だけども嬉しそうだった。
メイド服もボロボロだ。
本来の骨の姿が所々見えて、ミムさんは見ないでくださいと隠した。
すると他のメイドさんが自分の服を貸し与えてた。
せっかく奇特な人に出会えたのだから
お嬢様よりも同僚を全力で応援します、という。何の応援だ。
そのお嬢様、エイプリルの安否を尋ねる。
エイプリルは塔の上階で精鋭の護衛と一緒に籠っているという。
塔から射撃して支援しているそうだ。
声が響いた。
「勝敗は付いたのである。武器を捨てるのである」
吸血鬼の王がぐったりしたエイプリルを抱きかかえていた。
塔から中庭へ飛び降りてくる。
「投降すれば良しである。
――それにしても何と美しい処女であることか。味見をいたそう」
「さがれ、下郎!」
ミムさんが短剣を構えて吸血鬼の王へ飛んでいった。
「骨の女か。処女とはいえ不要である」
吸血鬼の王が面倒くさげに手を振る。
爪が伸びて赤い線が空間に走る。
*
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