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16 『狐のネリカ』





「おにーさん、童貞? 僕が相手してあげよっか?」

「ど、どうていちゃうねん! 2年前の冬にさ、こう鴨居かもいに縛って」

「素直に認めた方がいいよ? せっかく誘ってるんだから」

「はい」

黒ゴスロリ服の美少女に逆ナンされた件について。


あれ、こんな娘いたのか。エイプリル以外で生身の人を初めて見た。

黒みのない金髪の長い髪だ。この色は亜麻色というらしい。


そしてけもみみだ。おお。猫耳、じゃねえな。とにかく獣耳で可愛い。

胸も大きくて凄いスタイルが良い。外観はドストライクである。ドストエフスキーは罪と罰を書いたロシアの文豪なので受験生は覚えておいて欲しい。by豆知識先生。



金髪けも耳美少女は後ろ手に指を結び、膝を伸ばしたまま片足ずつ歩く。

目の前を行ったり来たり。ちょっとした仕草のひとつひとつがクオリティ高い。

白い霧の下で陽光を浴びる姿は目を奪われる。表情豊かな少女だ。


「プレイヤーはさ。僕たちは選べないんだよね。僕はおにーさんみたいなのが凄いタイプなんだ。男はさ、駄目なぐらいが良いんだよ。完璧すぎると支えがいがないからね」

――暗に駄目人間って言われてる気がする。


「うん、おにーさんが好きだから肩入れしちゃおうかな。問題ないはずだよ。多分。

 うん、そう思う。僕の良識がそう言ってる。


 おにーさんは玉座に行った? そこに行けばおにーさんの求める力は手に入るよ。チート、っておにーさんが言ってるタイプかな? 神々の秘宝だよ」

「そこは立ち入り禁止だって言われた」


「ほら、お約束としてさ。覗くのが基本じゃないかな。魔女にも、それ以上にも対抗できる力があるよ。そしておにーさんはその為にここに呼ばれたんだ。迷い込んだのは偶然じゃないのさ。おにーさんを中心に運命は回っているんだよ、ただのプレイヤーじゃない。おにーさんは待たれていた勇者なのさ」


ほら来て来てと手を引っ張られる。美少女によるボディタッチのエスコートをどうして童貞が断われようか。


王の間へ続く黒い通路を足音高く堂々と歩いていく。霧が濃くなる。

亜麻色の髪の少女が笑う。

「おにーさん、手を放さないでね。紅公子こうこうしが結界を張ってるね。

このまま直進するといつまで経っても奥にいけないのだけど」


少女が近づく。おでことおでこをくっつける。

「わわっ」

「おにーさんの記憶を覗いちゃった★」


語尾の星は実際に見えた。不思議な現象である。


「あった。これだ。紅公子こうこうしはね、ちょっとした癖があるんだよ。おにーさんの記憶からまじないを抜ける方法を設定してる。コマンドで前、左、後ろ、左に入れてごらん。これで迷いの道は抜けれると思うよ」


言われるがままに指で宙にコマンドを描く。魔法のリボンが現れる。

炎の呼び鈴と違ったコマンド。

リボンが蛇になる。双方が相手の尻尾を咥える。回る。回る。


「……すげえ」

魔法の技は何度見ても新鮮だ。魔法は魔法であるからだ。それは幼い頃に見上げた迫ってくる夕闇の奇跡を思い出させる。日常に埋没する前の輝きが魔法にはあるからだ。


「おにーさんのそういうとこ、好きだな。それじゃいこっか」

手をつないだまま少女が蛇の間をくぐりぬける。

途端に霧が晴れた。


大きな扉が目の前にあった。


「中に入ってはいけないのなら、ここから覗き見してごらんよ」

促されて中を見た。



王の間は広い暗い部屋でまるで教会を連想させるように色ガラスの光が差し込んでいる。中央に光がスポットライトのように落ちている。光の中に巨大な人影がうずくまって眠っている。



巨人の王様?


四本の腕と四本の足を持つ白い巨人。鎧を着込んだ上から飾り布のサーコートを羽織っている。距離があるので正確には判らないけど人の数倍は身長がありそうだ。


鎧が一瞬動く。


いつの間にか王の間に足を踏み入れていたのだ。


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