15 『かくれんぼ』 挿絵有り
昼飯。
お皿に盛りつけられたクラブハウスサンドウィッチとサラダ。レモンが浮かんだ紅茶。
デザートはチーズケーキ。
メイドさんの給仕付き。
運動をした後なので食事が美味しい。トーストして熱々のパンにローストビーフやらトマト、レタスなんかが挟まれてる。串が刺さってるのでそれを持って食べる。
マスタードが効いてて食が進む。ローストビーフはすげー柔らかくて旨い。たぶん俺が本来は縁がなさそうな肉だ。そしてパンもカリッと焼けてさくさくしてる。胃もたれせずに軽く食べれる。
このサンドイッチはレベル高いな、この城は良いパン工房があるに違いない。
うまうま。
食べながら剣が怠け癖の防止の為という話題になった。
すると勉強もすべきとか望んでない方向に針が振れた。
「水取くんは勉強もすべき」
「え? いや、ここの学問学んでも、ほら外つ国では役に立たないんじゃないかな」
「語学はそう。でも数学なら役立つ。計算能力と論理思考も鍛えるべき」
「うげえー」
「ま、良いんじゃね? エイプリルどんが言い出したんで教師頼む」
「う……」
エイプリルが言葉に詰まった。表情に出してないけど内心焦っていそう。
「そうどすな。寝る前ぐらいが良いじゃろう。どうどすか?」
「ええ、お嬢様。魔法使いたる者は言葉に責任をもちませんとね」
「しまった。発言を撤回したい」
「午前中に一度撤回しましたから駄目です」
「ミムは意地悪だ」
「水取くんはでも嬉しそうですよ」
「それはスケベ人だから」
「なんかいきなりこっちに流れが来たな!」
午後は城を改めてミムさんに案内してもらった。
城の大きさは学校ぐらいの大きさだな、と思った。
王の間のある禁門は校長室あたりか。とか変なことを考える。
城はスケルトンの目隠し兵達と面を被ったメイド達がいた。
全員あわせてきっかり200人らしい。
255とかの方が区切りが良いのにな、と言うと何故? という顔をされた。
たまに文化の違いを思い知らされる。
「さてこの奥が王の間ですが、水取さんは入ってはいけませんよ」
ミムさんが昨夜少し案内した王の間への場所を改めて警告してくれた。
王の間への通路は白い城の中では異色の黒い大理石で敷かれていて一見で区別ができた。顔が映りそうな良く磨かれた黒い床だ。通路の奥の方は霧が濃くなって見えない。
「くれぐれも言いますが、入ってはいけませんよ?」
「かしこまりー」
メイドさんの口調を真似して了解。
「水取どん、ミムどん。かくれんぼでもして遊ぶべ。3人だけじゃ足りねえな。衛兵のおっちゃんとメイドも追加するべ」
小人がなんか言い始めた。ヨアヒムさんも含めて8人とあれよあれよと人員を確保していく。
「この水鳥の羽を頭につけておくべ。かくれんぼ要員を区別するためにな!」
白い羽を配りかくれんぼ開始である。手際の良さはプロの仕業だろう。
豆知識先生がウィンドウを出す。
「三国志の呉の将軍で鈴の甘寧と呼ばれた男の故事:夜襲の際に同士討ちを防ぐ為に水鳥の羽を兜につけさせた。100人の兵士で万の敵軍を大混乱に陥れたという。甘寧は死後カラスの神、河の神として崇められている」
日本でもっとも有名な漫画のキャプチャ入りで紹介。中学の図書館で読んだ記憶があるわ。豆知識先生がその単行本を持ってる。記憶から引っ張りだしたらしい。知らぬうちに楽しそうでなにより。
まったく今後に役たちそうにない雑学が増えていく。
かくれんぼの鬼になった。
中庭の巨大な剣を中心として庭とその周辺の廊下範囲と決められる。制限時間は大きな砂時計一時間。……長いな!
「忍者の訓練になるで。ハイドアンドシーク」
童心に戻ってやる事にする。
探索を開始する。庭の片隅の霧の濃いエリアへ入る。
茂みから声を掛けられた。
「おにーさん、今暇?」
女の子が逆ナンしてきた。
白っぽい金の長い髪、抜けるような白い肌。黒くて制服っぽいワンピースに盛り上がる胸、しまった腰。
丸みを帯びた女の子女の子した尻。首上に乗る艶然とした顔面は美しく愛らしい。
そう、お面を被ったスケルトンではなかった。




