12 『夢の中の夢』
寝室に案内された。ランプの光で暗い廊下を歩く。なかなか新鮮な体験だ。
ふかふかの天幕付きのベッド。サイドテーブルには水差し。
トイレと洗面台もあってちょいとしたホテルの部屋だ。
ベッドに腰を掛ける。
「御用がありましたら呼び鈴を鳴らしてください。真夜中でも駆けつけますよ」
とミムさんが言う。
「なんなら添い寝してあげましょうか?」
ミムさんが頭を撫でながら言った。遊ばれている。
「一人で寝れます!」
「そうですか。お化けが出るかもしれませんよ、本当に大丈夫ですか?」
スケルトンの娘がそんな事を言う。自虐か。
ミムさんが引き下がってから洗面所で歯を磨く。鏡を見る。
あれ、俺こんな顔だったっけ。髪の毛切ったから印象が変わったのかな。
……元の世界に戻ったらこちらと同じように髪を切ろうと思った。
ベッドで大の字になって今日の事を考える。
魔女達の事、魔法の事。指でコマンドを途中まで実行して止めた。
灯りの代わりになるな、と思った。
それからこの世界の文明の発展具合にも考えを及ぼす。
洗面所の歯ブラシは電動歯ブラシと似たようなものだった。
いやさらに高性能ともいえた。
振動の他に少量の水が凄い勢いで打ち出されて汚れや隙間を打ち抜いたりした。
歯磨き粉もクオリティが高そうなのが置いてあった。ドライヤーもあった。
あと使い方の判らない器具もちらほら。それらはなんとなく日本より進んだ世界の器具をモデルに作られた代物な気がする。
異世界チートの定番だと元の世界の文明を持ち込んで大儲けがあったけど使えそうにないな、と思った。
ま、強制送還の方向になってるしどうでも良いか。
ごろんとベッドを転がる。
そして泥のように眠った。
■
灰色の空に鐘が鳴った。
黒いローブの修道士が木の板を槌で叩きながら歩き、後ろに灰色のローブの者達が続く。
木の鈍い音が曇天の不気味さに合うリズムで響く。
水取はそれを良いようのしれない不安に襲われながら眺めた。
灰色のローブの男達の行列が蔦で覆われた家の前に止まり、中に入っていく。
そして棺を持ち出し運ぶ。
棺は空なのが判る。
糸杉が一本高く立つ丘に行列がうねり歩く。突然槌の音が止まった。
一斉にこちらを振り向く。
ローブの下の顔は全員目がくりぬかれていた。
そこで水取逸角は目が覚めた。
■
「おはようございます。
うなされていましたので起こしましたが大丈夫でした?」
ミムさんが心配そうに声を掛けてきた。
スケルトンな人だけども不思議と怖い感じはないのでほっとする。
「夢の中でまた夢見るって良く判らないな………」
「私達にとってはここは夢ではなく現実なんですけどね」
「もーにん!」
小人がどたどたと足音を響かせながら部屋へ来た。
「水取どん、朝の体操するべ」
満面の笑みで小人が来たので悪夢をすっと忘れた。
昨日ゾンビみたり沼の魔女みたのが悪かったのだろう。
意図的にミムさんの仮面の下は忘れる。
中庭に下りて人参を両手に謎の体操をした。
そして毎日の日課になったのである。
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『ぶれいくたいむ』
キャスト:水取逸角、ちゃっきー
『モテる秘訣』
「ちゃっきーさん。女の子にモテたいんだ。どうすれば良いと思う?」
「良し、禁呪を教えようどす」
「凄そうな予感」
「陰部を丸出しで日光浴をしろ。
警官に問われたら宗教上の理由と言え!
これで絶対きゃーきゃー言われるべ」
「禁呪だ」




