鏡の中の豚
最初は学者に憧れた。
しかし俺には学びたい事がなかった。
次は弁護士に憧れた。
しかし俺には護りたいものがなかった。
次に政治家に憧れた。
しかし彼は口髭を生やしただけだった。
その次は革命家に憧れた。
しかし俺は愛を知らなかった。
最後に芸術家に憧れた。
しかし俺には何もなかった。
鏡を見ると俺が居る。
通った鼻筋、整った歯並び、完璧に思えた。
酒を一杯飲んでもう一度鏡を見ると、鏡の中には豚が居た。
豚はこう言った、お前なら何にでもなれるさ。
俺は酒をもう一杯飲んで、眠った。