07.
「あの人、どうしたんでしょうね」
朝の掃除をしながらフラウが背中に声をかけてくる。無視するのだが、
「どうだろねぇ?」
「私も気になる、お姐さん」
便乗してくるのが二人。ざっくばらんな性格のキスカとぼうっとしているようで抜け目ないヤーネルだ。フラウを含めたこの三人は歳が近いこともあって仲がいい。そして、
「ラウラ姐さん」
「ラウ姐」
「お姐さぁん」
三人揃うと鬱陶しく、姦しい。
「うるさい! 知ったこっちゃない! 手を止めずに仕事しなさい!」
「終わりました」
「終わった」
「終わったよー」
「……ッ!」
本当に終わっている。部屋の隅の小さなシミと格闘していた私だけが残っている…。
「まったく……何を騒いでるの」
部屋の入り口で機嫌悪そうに立っているのはまたカーチェだ。娼婦は客を帰した後、食事をし、風呂に入り、寝て、また夜に備える。今は寝ているはずの時間だ。
「目覚めの悪いアンタが、珍しいわね」
「うるさいって言いに来てんの、後輩にからかわれてるラウラ姐さん」
「アンタ、何で最近突っかかってくるの? 私何かした?」
「いつも余計なことしてくれるけどね。女を連れ込むとか」
「……」
「それで? 久方ぶりの客はものにできそう?」
「バカじゃないの、アンタまで…」
「ああ、それとも―――もしかしてライラお姐さまの方が夢中?」
「なっ…んで、そんな、あるわけないでしょ…」
どうしてしどろもどろになってるんだ、私は…。
と、カーチェが柱にもたれかかっていた身体を起こし、こちらへ―――真っ直ぐ私を見つめながらこちらへ近づいてくる。
真ん前に立たれると、線が細いはずのこの女の圧力は物凄い。くそババア……グレイズ女将に通じるものがある。
瞬き一つせず、髪の毛一本一本まで見透かすように凝視され、さすがにたじろいでしまう。
「な、なんなのよ…」
「あー……キスでもされた?」
「―――ッ!?」
「「「えー!!?」」」
私が声を上げる代わりに三人娘がハモる。
「い、いきなり何バカな事言ってんのよ!」
「人はね、じっくり観察されると無意識に弱点を隠すのよ」
口元に当てていた左手首を掴まれる。
「キスされて感じちゃったの? 女の唇は柔らかいものね」
「え!? カーチェ姐さん経験あるんですか?」
フラウが素早く反応するが、カーチェは意味深な笑みを返すだけだ。
「内緒」
細い指に唇をつつかれ、息ができなくなる。
「いやいや、勝手なこと言わないでよ! そんなの、したともされたとも言ってないし…!」
「もう一人の当事者に聞けばすぐわかるけどね」
「アイツに…?」
「女将から伝言。アンタはシロモリさんの専属だって」
「はあ!?」
三秒間、思考停止――。三人娘は黄色い声を上げて騒ぎ出す。
「どういうことっ…だって、アイツ女なのよ!?」
「だから?」
「だから?って…私、そんなの―――」
「『シロモリさん』は、この店のオブザーバー件用心棒として来てくださるそうよ。アンタはそのお世話係。ククッ……『そんなの』? ナニ想像したの? やらしい」
「~~~~っ」
この女はいつもこうだ。私をからかって弄ぶ。おまけに、
「よかったじゃない、アンタにしかできない仕事ができて。ようやく『客の取れない穀潰し』から卒業ね」
――毒まで吐いて去っていく…。そして、アケミが現れたのはすぐだった。
「一体どうなってるのよ!!」
ドアを蹴破るように飛び込むが、グレイズは全く動じず、一秒ほどこちらに目を向けたあと、すぐに視線を手元の書類に戻した。
「あのアケミって娘、また来てるじゃない! 裏口から剣持って堂々と! しかも世話を私にやれってどういうこと!? 具体的に何なのよ、アイツは!」
「用心棒で相談役だよ。カーチェに聞いたろうに」
「用心棒って軍人でしょ!? 軍を辞めたの!?」
「『シロモリ』は軍と大いに関係あるが、軍人じゃないよ。まあアンタにはどうでもいい話だ。用心棒ってのは表向きさ。実際にはアンタの客だよ」
「だからそれがわかんないって…!」
書類を置いて老眼鏡を外し、グレイズはタバコを取り出す。
「向こうさんはアンタに相手してほしいんだと。でもこっちは女は客として受け付けないし、あっちは馬鹿長い剣は絶対に手放せないと言う。だから堂々と裏口から入ってくるかわりに、名目だけ用心棒になってもらったのさ。こちらとしても『長刀斬鬼』の異名を持つアケミに出入りしてもらえば頭の沸いた奴は寄り付かないだろうからね」
「そんなやりとりはどうでもいい! 私が相手するなんて嫌よ!」
「何も夜の相手をしろってんじゃないよ。世話ってのは飯やら寝床の世話だ。要するに、ここを秘密の場所にしたいのさ。お偉方にはよくあることだろ?」
「知らないわよ。なんて贅沢な…! 貴族の金って辿っていけば税金でしょ!? ふざけんじゃないっての!」
「フ……アンタはそんなだからダメなのさ」
「はあ!?」
タバコをぐしぐしと灰皿に押し付けて揉み消すと、グレイズは二本目に手を伸ばす。
「あの子はあれで当主……稼げるだけの仕事をしてんのさ。あの長い刀は飾りじゃないんだよ」
「………」
シロモリが武術のエキスパートというのは知っている。アケミも当主を名乗るからには、女でもそれなりの腕があるんだろう。しかし軍人ではないのなら、その実力はどこで発揮するというのだろうか?
「ああ―――メインは武器作ったりとかかな。作るっていってもプロデュースだけど」
アケミ本人に聞くとあっさり答えてくれた。ちなみに今は私の部屋だ。客室はグレイスが使わせてくれない。普段の仕事に加えてアケミの相手、その上部屋も占領されては気が休まる時がない。
「兵士の声なんかをリサーチして、最新の武器を提案する。場合によっては新しい戦法を編み出してそれにマッチする武器を開発するとか。でもエレステルの兵士は基本的に武器をカスタマイズしたり一点ものに拘ったりするから、あんまり役に立ってはいないかな…。どっちかっていうと兵士個人の使い勝手よりも軍が運用しやすいようにって視点で考える方に重きを置くっていうか。でもあたしはどんな武器も大体使えるようになっちゃったから実際どれくらい効果があるのか実感湧かないんだよね―――」
「あ、わかった…もういいから」
こんなにもペラペラ喋るとは思わなかった。てっきり軍規に引っかかるものだと…。
いや、でも―――だとしたら、どうして「長刀斬鬼」なんて異名がつく? 裏方なら敵と戦うなんてことはないはずだ。それにこの間あんなだったのに、こんなに気軽に話すものか? 何か隠している……?
……だけど、それは私には関係ない。言いたくないことまで無理に聞くのは娼館においてタブーの一つ。前提としてコイツを客として認めたわけじゃないけど……。
「………」
「ん? 何?」
「…別に」
目の前でご飯にありつくアケミにため息を吐く。
コイツは女と付き合っていたという…。娼館に来るくらいだから、当然体の関係もあったんだろう。女を求めたのは自ら手にかけた恋人を忘れるため……それはわかる。じゃあ、コイツは私にベッドの上で相手をして欲しいのか? でもそれはできないと言ったはずだ。
「……改めて言っとくけど」
「うん?」
「私はアンタと肌を重ねる気はないからね。仕事と言われても拒否する。アンタが剣を抜いたとしても」
薮蛇かもしれないが、はっきり言っておく。どうせグレイズはこの子から金を巻き上げているのだ。期待させるくらいなら早々に宣告して諦めさせたほうがこの子のためだ。
アケミは口をもぐもぐさせてから頷いた。
「わかってるよ。今は娼婦じゃないって聞いた。あ、でも、口説き落とす分には構わないって女将さんが」
「あのクソババァめ……!」
ホントにあの女将とは一度徹底的に戦わないと駄目だな…!
「……ライラさんってさ、いい女だよね」
「は? なに、もう口説きにかかってんの?」
「フ、そんなんじゃなくて。さっき『剣を抜いても』って言ったけど、普通は剣持った奴に脅されたらどうしようもないよ。でもはっきり拒絶した。筋の通った、芯の強い人だと思う。だけど――」
箸を持ったまま、右手の指の背で私の顔の傷をなぞった。至極、ナチュラルに。
「傷つくことはないよ。消えない傷だって、あるんだから…」
額から左頬に流れる醜い傷跡を撫でられる…。胸の奥から熱い何かが噴き上がるように溢れ、私の体温を上げた。
「やめなさいよ…」
それだけこぼすのが精一杯だった。左の額から頬にかけて刻まれた傷は後悔と戒めの象徴だった。傷がつくまでに起こした行動の動機については何ら非難される筋合いはない。ただ、もっと上手くやれたとは思う…。
アケミはこの傷がどうやってついたのか知っているのだろうか? それとも自分の傷と重ね合わせているのか……。
「ごちそうさま」
満足気に箸を置くアケミはベッドに移動し、ドスンと腰を落とす……。
「…で? アンタこれからどうすんの」
「お腹いっぱいになったから寝る」
「子供か!!」
叱咤もなんのその、ごろりと寝転がったアケミは、
「ライラさんも一緒に寝る?」
無防備な寝姿でこちらに視線を当ててくる。声の調子から本人にその気はないのだろうが、起伏に富んだ身体のラインをくねらせる様は………男なら生唾ものだろう。
「私には私の仕事があるの。つーか、食べて寝るだけだったら来るの止めなさい……アンタみたいな子供が悪ふざけでこんなところに来るなんて、気分のいいものじゃないわ」
「…あたしはライラさん目当てで来てるんだけど?」
「……知らん!」
膳を持って立つと、アケミは人のベッドに潜り込む。踏みつけてやろうかと思ったが、それも面倒なので止めた。
バレーナが執務室で書類作業に没頭する……もう九時間ぶっ通しで続けている。
会議がないとなれば終わるまで作業を止めない。それでは身体が持たないだろうが、最近はロナの助言すらまともに受けようとしない。邪魔にならないように遠目からサポートするロナだが、バレーナがいつ倒れるのか気が気でならない。
ロナが壁の時計を見上げた時、ドアがノックされて執事のザルドーが入ってくる。
「バレーナ様、お食事の時間でございます」
「今はいい。後で食べる」
朝食を口にして以降、その回答は四度目である。当然昼は食べていない。
「バレーナ様…」
「そこに置いておいてくれ。片付けは自分でする」
手を止めず、顔を向けようとすらしない。と、ザルドーを押しのけるようにしてメイドが入ってくる。
「バレーナ様。お食事の時間でございます」
両腕に器用に大皿小皿を四つ持ってバレーナの机の前までやってきたメイドは、先ほどのザルドーの口調を準えるように復唱したあと、ペンを走らせている書類の上にやや乱暴に皿を並べていく。バレーナが顔を上げると、ウラノだった。
さすがのバレーナも眉間に皺が寄るが、ウラノも冷めた目で見下ろす。およそ主従の関係ではない。ロナは城に詰めるようになってこういう場面を二度ほど見たが、もうハラハラだ。
ウラノというメイドはアケミ様のようにバレーナ様の幼馴染ではないのに、どうしてこんな態度がとれるのだろうか? 不思議でならない。ザルドーなど、大声こそ上げないが、怒りで顔が真っ赤になっている。
「恐れながら告げ口させていただきます。厨房内でのことです。近頃のバレーナ様はお食事が不規則すぎる。タイミングが掴めないが、我々はいつまでキッチンに張り付いていなければならないのだろう、と」
冷たく言い放つウラノ。不快を顔に滲ませていたバレーナは一転、旗色が悪い…。
「……すまん。ロナも休憩に……いや、今日はここまでにしよう。ウラノ、片付けを手伝ってくれ。ザルドー、八時過ぎに風呂に入る。そのように進めてくれ」
「かしこまりました…」
「ああ、あと…ウラノを叱りすぎるな。私に非があったことだ」
「…………」
ザルドーは返事をせずに退出する…。バレーナは肩をぐるぐると回しながらため息を吐く。
「ウラノ……どうしてそうなんだ。意図を理解する私はともかく、他の者の印象が悪いだろう」
「別に私はバレーナ様にご忠言差し上げているわけではございません」
「全くこれだ……どう思うロナ?」
どう思うと振られても困るロナだが……
「…物言える部下ほど手元に置くべし、とは言いますが……あまりよろしくないのではないでしょうか。一介のメイドの意見としては強すぎて、周囲に誤解を与えてしまいます」
「失礼ですが、現在バレーナ様に一番近く、立場もほどよくしがらみのないロナ様がきちんと陛下を誘導されれば、今回のことはありませんでした」
そう言われてはぐうの音も出ない―――。
そんな会話をしているうちにウラノがあっという間に書類の山を分類別にまとめてしまい、机の上は広々としたスペースを取り戻す。そこにナプキンが敷かれ、改めて皿が並べ直されると、待ちに待ったディナータイムが始まる。不覚にもロナのお腹はフォークとナイフを持つ前に鳴ってしまった。
「…失礼しました」
「おかわりはご用意できますので、いつでもお申し付けください」
ウラノは平坦な口調で述べて、部屋に入れたカートを横に、壁際で直立不動で控える。
しばらく黙々と料理を口に運び、少し落ち着いてきた頃、ロナは遠慮がちに切り出した。
「バレーナ様……お話があるのですが…」
「うん?」
「その……」
チラリとウラノに目線を送る。
「個人的なことか? なら、ウラノを下がらせるが――」
「いえ、アケミ様のことで…」
「ああ……それなら大丈夫だ。アケミは今のウラノと顔見知りだ」
さっきの仕返しだろうか、含みを持たせた言い方はわざとらしいが、ウラノは全く動じない。
「アケミの様子はどうだ? まだ立ち直れていないか…?」
「私も最近直接お会いしていないのですが、芳しくないようで……。しかしこのままでは親衛隊の計画は頓挫してしまう可能性が大きいでしょう。形にするところは認められたものの、バレーナ様が戴冠される時までに具体的な実績を出さなければ以後の存続は難しくなります。計画の中心であるアケミ様に早急に復帰していただく必要があります。そこで………バレーナ様からアケミ様にお声をかけていただけないでしょうか。私はアケミ様とクーラさ……クリスチーナとの関係を、事が起こるまで気づいていませんでしたが、普段の様子から相当な密愛だったのではないかと察します。やはり事件のショックは計り知れないでしょう………。そこで、バレーナ様にアケミ様を褒めていただきたいのです」
「褒める…?」
「褒めるというか、認めていただければ。バレーナ様のために働いたと納得できれば、いくらかでも気持ちが楽になると思うのです。お願いできないでしょうか……?」
バレーナはナイフとフォークを置き、ワインを一口含み、机に肘をつき、組んだ手の上に額を乗せて………
「……それはできん」
苦々しく返答した。
「大きく見れば、私のために行動を起こしたのは事実だろう。会議で私も言ったことだしな。しかしそれを一番の理由にするわけにはいかん。私の代執行ということにすればアケミは幾分救われるだろうが、しかし人を斬る理由がそれではだめだ……ましてシロモリなら尚更。シロモリは……アケミは、これからも人を斬り続けるだろう。それは義務であり、宿命だ。なのにその理由を他人に依存していては命が軽くなる」
重く息を吐き出し、顔を上げたバレーナは、手はそのままに、顎を乗せる。
「シロモリの女当主が女にハニートラップに嵌められたというスキャンダラスな面が一人歩きしている今回の件だが、通常同じことが起こった場合、事後処理に当事者は関わらせない。当然だな、気持ちが残っていればスパイに有利になるように働きかけるかもしれないし、厳正に処罰を下すこともままならないだろう。そこは疑いだけでなく、同情をもって察するものだ。だからもしアケミが件の女スパイを逮捕することを拒んだとしても、それは折り込み済みだったはずだ。いくら当主とはいえまだ若い、反省の意思を示し、いくらかの処罰を受けて終いにするというのが妥当なところだろう……私も同じような立場だから若さを甘えにしたくはないがな。だが、アケミも頭のどこかでわかっていたはずだ。その上で自ら手を下したのは、覚悟を示すため。新設する部隊は女王直轄、裏切り者が出れば大問題だ。小娘の集まりと罵られる中で、自浄作用が存在すると証明する必要があったのだ。もちろん、他に個人的な理由もあっただろうが……」
「個人的な理由…?」
「……私なら、最愛の人のことを他人任せにはできん」
その一瞬、バレーナの目が険しく歪んだのをロナは見た。
「…アケミはそれらを承知した上で相手を斬った……斬ろうとしたはずだ。決して義務感ではないだろう。だから現状が苦しくても向き合わねばならない。人を斬る理由を、己自身で見出さなければならないのだ。ゆえに、自ら私の前に現れるまでアケミには一切手出しをしないつもりだ。親友のくせに冷たく見えるだろうが……」
「いえ、そんな……私は商人ですので、そのようなお心遣いの機微はわかりませんでした。申し訳ありません…」
「いや、いい……口に出して少しすっきりした。私も悶々としていたし……本当は傍に寄り添ってやりたい。しかしそれで出来上がりかけた部隊を潰してしまっては元も子もないしな。私にできるのは、挽回できる場をつくってやるだけだ。ロナにも助けて欲しい」
「もったいないお言葉……全力を尽くします」
顔を伏せるロナ。次いで、バレーナの視線は壁際のウラノに向く。
「ウラノも協力してくれるか?」
「私は一介のメイドでございますれば、常に全力で陛下のお世話をさせていただいております」
「フ、全くぶれんな、ウラノは。ロナも私と二人の時はもっと気楽にしてくれればいい」
「はあ…」
鉄仮面を被ったように無表情のウラノが気を楽にしているようには、ロナには見えない……。
夕刻を過ぎ、胡蝶館も客でいっぱいになる。夕餉を全て調理し終え、まな板を洗っていたライラはふと手を止める。
「アイツ、まだいるのかな…」
「シロモリ様ですか? まだいらっしゃるんじゃないですか?」
フラウが独り言のようなつぶやきを拾って答えてくれる。
「まさか……泊まるつもりじゃないわよね…」
「え? え!? それって…♪」
「ない。絶対ないから」
色めき立つ後輩たちから逃げるようにまかないを持って自室に戻る。手に持つ膳はもちろんアケミの分だ。
「どうして私が自分の部屋に他人のご飯を用意しなきゃなんないのよ…!」
一人愚痴をこぼしながら廊下を踏み鳴らしていくと、自室のドアの向こうに不穏な気配を感じた。
「………」
そっとドアを開けて中を伺うと……ベッドに座ったアケミが長い刀を膝に置き、向き合っていた。
黒い漆で塗られた刀をいくらか見詰めたアケミは、抜こうと右手を上げる。しかし柄に近づくにつれて右手は震えだし……やがて指先から腕全体まで伝播していく。それでもどうにか握り締めたアケミだが―――抜けない。
わざとやっているわけではないだろう。まるで地面に埋め込まれた巨岩を持ち上げるような苦しげな表情で、歯を食いしばるアケミは本気だ。それでも刀は……僅かな隙間も見せなかった。
「くそ……くそ…!」
背を丸めて呻く。長い髪に隠れて、その表情は見えない……。
ライラはドアノブから手を離し、厨房へ戻ることにした…。
GWということもあり、いつもの半分の間隔で、いつもの倍のボリュームでアップですー。
皆さん、GWは楽しめましたか? 自分は出かける予定も金もないので、ガンプラのMGフリーダムVer.2.0を作ってました(笑)。
いつもならほぼ素組み→スミいれ・レンズ部塗装→シールデカール貼ってトップコート吹いてヒャッハー!なお手軽工作なんですが、今回のフリーダムは割と装甲の隙間からフレームが見える……ということで、このフリーダムをアップデート版=ディステニー登場版と仮定し、ストライクフリーダムに採用する技術を一部フィードバックして改修していたというオラ設定をのせて、フレームを部分的にゴールドで塗ることにしました。ヒマ人ですね!(笑)
しかしゴールドは塗料が乗りにくく……まして筆塗りで下地処理もしていないのでそりゃもう…。重ねに重ねて塗っていたら、ハイもう夕方ー! なんだかなーでございます。なんちゃってストフリみたいになって、まあ満足はしたんですけどね…。
小説の後書きに何を書いてるんだか…。もっと新しい作品を書いていかねば…。




