闇に紛れる者
『…』
学院から自宅に向かう帰路を歩きながら俺は今日の出来事を思い出していた。
訳のわからないまま図書室の壁に吸い込まれ、王城に続く美しい丘でルーナに出逢った。
そう言えばあの後学院の壁の一部にルーナが触れるとまた金色の五芒星があらわれて元いた図書室へと戻っていたのだが…、なんとも魔法とはよくわからない。
そして重要な謎がまだ解けていない。俺はなぜこの学院に呼ばれたんだ?頼みの種である学院長は詳しい事情は本当に知らなそうだった…学院にいればなにか分かるのだろうか…。
そんな事をもやもやと考えていたらいつの間にか見知らぬ十字路にたどり着いた。
考えことをするといつもこうである。どこなんだここは。
『…っ……戻るか』
少し舌打ちをして振り向いて顔を上げた時…今まで一人だったはずの十字路に黒いローブを纏った人間がざっと15人くらい俺を囲むようにして立っていることに気がついた。
『…は?』
俺は突然の出来事に目を見開いて固まる。
するとその集団の一人がゆらりと前へでて、口を開く。
『我々は…歴史を変えるため、貴方をお迎えにあがった…』
『……なに、言って』
俺は言葉の意味がわからなくて、動揺して後ずさった。
『…共に来ていただきたい…、抵抗するようであれば』
その時、俺の足元にいつくかの鋭い氷柱のようなものが突き刺さる。
『殺さぬ程度に痛めつけることになりましょう。』
最近俺はついていないらしい。
あの平凡な生活はどこへ行ったのか。