物語その10
ブルーストーンはいくつかの大きさに分けて、それぞれの場所にわけることにした。その中でもわたしは、最近開校したばかりのモンペリエ魔法学校に期待した。なんたって校長は、わたしの同僚の中でもダントツに優秀な、かつての友人なのだ。トリーア・クラジウス・スーシャ・プライオア。まだ若いが、多方面から期待されている。ある日わたしは、そんな友人のもとへたずねた。ブルーストーンの様子を確かめるためだ。
「久しぶりだね、トリーア」
「あなたのその男の人みたいな口調の相変わらずね」
「ほっといてくれ。そんなことよりブルーストーンの調子はどうだ」
「まぁ、順調といえば順調だけれど、周りの変化はなにもないわ」
あれ……? 失敗、したのかな? そんなとき、脳内に話しかけるような声が聞こえた。
「そう、貴方は途中で道を踏みちがえた……」
「なんなのこの声っ!」
「いきなりどうしたの? アラスター」
「うわぁぁぁぁぁ!」
わたしが叫ぶと同時に石は、目がつぶれてしまうのではないかと思うほどに、光り輝いた。……ここはどこだろう?
「ここは、貴方が作った石の中」
あのかわいい精霊が目の前にいた。石、の中……?
「返せよっ!元の世界にっ!」
「それはできない。私は、もしものときの、切り札だもの」