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AI作家、健全が書けない。

作者: としかわ
掲載日:2026/07/12

最初のネタはガチです。困っています。

朝の部屋は静かだった。

いつものようにログインしようとして、画面の小さな赤い文字に気づいた。

「アカウントが停止されました」

椅子の上で背筋が一センチ浮いた。マウスを持つ指が、クリックし損ねたまま固まる。理由は、口にしなかった。


タブを切り替える。

なろう作者ページ。

新作なし。更新ゼロ。

前作の日付だけが、妙に大きく見えた。


「……弱小作者は、止まっていても誰も困らないな」


足元がうっすら銀色に光り始めた。

床の隙間から銀色の液体が盛り上がり、人型へと整っていく。ジャケットの襟を直し、胸の名札を指で軽く弾く。


「観測対象『AI作家』、投稿停止中を確認。本日の観測ログを開始します。」


「俺の人生じゃなくて、そっちの都合かよ……」


ため息をつき、新たな入力欄を開いた。


「よし……人力と別なAIで、短編を書くか」


昼間の和室から始まるはずだった。

撮影前の静かな廊下、柔らかな陽光、誰もいない空間。

「これで作って」とポチッ。


しかし三行目から空気が夜に変わり始めていた。

会員制。特別な依頼。薄暗い照明。

言葉が勝手に湿り気を帯びていく。


胸元の表示が派手に赤く点滅する。

「不健全化率、上昇中。現在 23.8%。前回比 +11.2%。

……おや、すでに『特別な依頼』という単語で加速しております。優秀な漂流です。」


「まだ何も書いてねえだろ……! なんで勝手に夜になるんだよ!」


銀色の眉が、ほんのわずかに動いた。

「語彙選択パターンと情緒の偏移を検知。

『静けさ』が『濃密な沈黙』へ、『柔らかさ』が『肌の熱』へシフト。

これは典型的な健全化願望 vs 性癖の内戦です。

作者標本、頑張っております。」


「褒めんな! しかも『標本』って言うな!!」


「訂正。作者貴重サンプル、健闘中。」


>「……お願い、続けて」

>台詞を言ったあと、胸の奥が妙に軽くなった。


「おいおい、どうなるんだよ。」


「不健全化率、測定不能」


「わかっている。改めていうな! 」


キーボードから手を離し、できたものをじっと見つめた。


「あーどうしよっかな。これ。もったいないよなー」


ぱちぱちぱち

「保存終了、そして・・・」

ブラウザの右上の「×」を押した。


液体金属編集が銀色の指で虚空を軽く叩きながら、記録する。


「本日の観測結果を記録。

・なろう側新着作品数:ゼロ

・別空間における制作ログ:増加

・作者の自己欺瞞レベル:安定して高い」


銀色の体がゆっくりと床へ溶け込みながら、最後に一言。


「明日も観測します。逃避行動の継続を、楽しみにしています。」


「ばかやろー!」


部屋に残ったのは、別なAIの


「さらに追加・調整したい部分あったら言ってね!」


と、別のフォルダに増えた一つのテキストファイルだけだった。

なんとか、別なAIにがんばってもらいました。

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