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五十二

 この陽気な男の発言に、すっかり考え込んだ辰爺。

 やがて、その口からは


「まあ、それも致し方ないでしょう。とは言え、この私が素性を知る由もありませんがね」

 そう言いながら、目の前の男を注意深く横にした。


「では皆さん、よろしいですかな?」


 面々が固唾を呑む中、すぐに覆面を剥ぎ取られた男だったが


「ん? 知らねえヤツだなあ」


 この弥三郎に、もちろん蕾も


「私もですよ」


 それを見た辰爺が周囲に向って


「他の人は如何がです?」


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