二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

四十六

　ひとしきり嘆いた蕾だったが、ここは観念せざるを得ない。

「さあてっと、それじゃあ」

　だが

「え？　え？　ふ、覆面が！」

　どうにかしたいと言っていた覆面だったが、まさにその通りになろうとは――

「おはようさん！」

　広間で、一人飯を食らっている弥三郎。いきなり声をかけられただけでも驚いているのに、ましてや相手の姿を見て。手に持っていた味噌汁までこぼしてしまった。

「あっちっち！」

　そして、すぐに着物やら床を拭きはじめた。