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 この時、喜助が


「だ、旦那。よだれが!」


「え?」

 我に返り、慌てて袖で口の周りを拭いている破近


「鼻血じゃなくってよかった……い、いやそんな事より、喜助!」


「へ、へい?」


「誰が事に当たったんや?」


「ああ、萩の旦那です」


「あいたた。よりによって、あのハゲかい!」

 先日、散々にいじめた相手である。


「まあ、旦那。向こうには親分が残ってますんで、とにかく参りやしょう!」


 これに姐さんも頭を下げ


「頼みますね、旦那!」


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