二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

三十一

「それが無銭飲食を働きまして、一昨日より入れられていると」

「無銭飲食やて？」

　破近が、いまだ目を押さえたまま

「そんなケチな野郎には見えんかったがな」

「確かに」

「ほな、いっぺん会いに……」

　この時だった、どこからか

「旦那ー、おはようございますー」

　この声の持ち主が即座にわかった破近、橋の上に目やり

「お、姐さん…」

　思わず振りそうになった手を中途で止め、深々とお辞儀をしだした。

「おはようございます、冷奴さん」