二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

二十五

　その翌朝、それも早朝より

「だ、旦那！　てーへんだ！」

　それにお富さんが

「あら、喜助さんおはようございます」

「おはようございます」

「では、起こしてまいります」

　奥へと姿を消したお富さん。

　やがて顔を現した破近に、喜助が

「あ、おはよう……ま、またですかい！」

　今は、相手の左目の周りまで青くなっている。

「あ、これ？　いや、壁にぶつかっちゃてな」

「何か、異国の生き物にでもいそうですね？」

　しげしげと見てくる喜助である。