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二十一
再び言葉を発したのは、お富さんの方だった。
「その吟見方役に就きますと、当分はこの江戸にいなければならないと思われます」
「それはそうだな。就いてすぐに、失礼しますとは言えんわな」
これにお富さん、目に涙をため
「私ども、形の上では夫婦ではありますが。夫が単身した後、一切それらしき振る舞いすらできておりませぬ」
思わず同情している木俣様が
「そ、そうか。ややこは、おらぬのか?」
「そ、それどころでは」
「ふうむ」
再び言葉を発したのは、お富さんの方だった。
「その吟見方役に就きますと、当分はこの江戸にいなければならないと思われます」
「それはそうだな。就いてすぐに、失礼しますとは言えんわな」
これにお富さん、目に涙をため
「私ども、形の上では夫婦ではありますが。夫が単身した後、一切それらしき振る舞いすらできておりませぬ」
思わず同情している木俣様が
「そ、そうか。ややこは、おらぬのか?」
「そ、それどころでは」
「ふうむ」
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