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「確かに空席でんな」

 こう言った破近だったが


「ねね。吟味方って、任期っちゅうもんがありますん?」


 この意外な問いかけに、木俣様


「任期だと? いや、特にはないが。何故に、そこにこだわる?」


「ま、よろしいやん。でも任期なしっちゅうのは、すこぶる魅力でんな!」


「そうか。それにな、与力独特の髷も結えるし、馬にも乗れるし。それに何がいいって、おなごにもてる!」


「うおっ! 目、目が落ちそうや!」


 要は単なる助平である。


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