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 しばらくして何故か正面の戸が開き、現れた二つの影。

 それを見た役人たち、這うように近づき


「今だ!」

 そう指示した同心だったが、すぐに


「えっ?」


 確かに一人が一方を抱え、その首に刃物を当てている。だが――


「おんどれ、何さらしてんねん!」

 逆に奪い取った刃物を男に当て、一喝したおなご。さらに


「鬼も小便をちびるっちゅうて有名な、河内のお富っちゅうのはな……」


 ここでハタと周囲の視線を感じ


「私の事でございますわよ」


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