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九十三

「フン。それにしても、奉行所にはろくなヤツがおらん」


「そうね、ホント馬鹿ばっかし!」


 驚く事なかれ、前者が怪人、後者が花小路様の言葉だ。


「おまえさんの演技もなかなかのものだったぞ!」


「あ、いやん。もう、あれで目一杯だったのよお」


 この時、襖の向こうから


「お酒をお持ちしました」


 根っからの女声が功を奏する菖蒲殿。


「ああ、入れ」


 そして襖が開かれた瞬間、飛びかかった菖蒲殿


「よ、よくも、あんだけ走らせたわね!」

 

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