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十九

「えっと、残ってるのは……」

 手帳に目を落とした破近。しかし


「こいつだけは嫌やなあ」


 だが、その嫌な人物から声をかけられてしまった。


「あら、鈴木殿。ご機嫌麗しゅう」


 菖蒲殿――今で言うBL系だ。


「あ、菖蒲殿やおまへんか」

 と言いながらも、さかんに体のあちこちを掻きまくっている破近。


 この時、相手が彼の顔を覗きこみ


「いつ見ても、美しい青き目だこと!」


「はよ、あっちゃへ行きよし!」


「え?」


 だが、やはり通じない。


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